がん患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて適した治療法を選ぶ最先端の「がんゲノム医療」で、全国展開に向けた実行計画をまとめた厚生労働省の報告書案が5月28日、明らかになった。
先行して本年度中に7ヵ所程度の「中核拠点病院」を指定。
2年以内に実施病院をさらに増やし、数年後には全都道府県の病院で実施することを目指す。
高い効果が期待される画期的な医療を地方でも受けられるようにし、がん死亡率のいっそうの低下を狙う。
5月29日の専門家会議に報告書案を示し、厚労省が予算措置を検討する。
がんゲノム医療は、原因となる遺伝子の変異を調べ、最適の薬や治療法を選ぶ。
病気の原因に直接対処することで、従来の肺や胃など臓器別の治療より効果的とされる。
現在は欧米が先行し、日本では一部病院が試験的に実施しているが、普及が進めば日本のがん治療の在り方を根本から変える可能性がある。
計画では、100種類以上の遺伝子変異を一度に調べられる検査機器を、優先的に薬事承認して開発を後押しし、医療現場での検査を早期に可能にする。
患者の負担を抑えるため、検査費には保険を適用する。
全国の病院からデータを集める「情報管理センター」も新設。
究極の個人情報とされる遺伝情報を長期間扱うため、国立がん研究センターでの運営を想定している。
ただ、現状では遺伝子を蟹にしても有効な薬は限られ、治療法の開発も課題だ。
情報管理センターでは、患者の遺伝子変異と治療成績、副作用の有無などの膨大なデータを人工知能(AI)で分析し、効果的な薬や治療法の開発につなげる。
中核病院の要件は、(1)遺伝子検査の技術がある、(2)結果を医学的に判定できる、(3)患者への遺伝カウンセリングが可能など。
中核病院の支援により、全国に約400ある「がん診療連携拠点病院」でも態勢が整えば、順次ゲノム医療を提供できるようにする。
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