国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が新型コロナウイルスの感染拡大による東京オリンピック(五輪)の開催の是非について「世界保健機関(WHO)の助言に従う」と発言し、初めて基準を示した。
中止や延期となった場合は、どうなるのか。
SMBC日興証券は、東京五輪が中止された場合、損失は大会運営費と観戦者の支出分だけで約6600億円にのぼると試算した。
SMBC日興証券は、バッハ発言2日前の3月10日、日本経済予測を改訂し「IOCは5月末までに開催の可否を決定するとみられるが感染拡大が7月まで続くならば中止となる可能性は高い」と指摘。
今後、発生=損失になりうるものについて、(1)宣伝、輸送、セキュリティーなどの大会運営費、(2)観戦者の支出と分析した。
大会運営費は、組織委が昨年12月に約4760億円と見積もった。
観戦者の支出については、海外からの訪日客と国内の観戦客に分け、訪日客は過去のデータを勘案し30万人と仮定。
17日間の開催期間中に1人当たり30万円を支出すると想定し、支出額は約900億円と試算。
一方、日本人の観戦客は900万人程度と仮定。
観戦の際にグッズ、飲食などに1人あたり1万円を使うとして、支出額は同じく900億円とし、支出額の合計は1800億円程度と試算。大会運営費を合わせた6600億円が損失となるとみている。
感染拡大が2月から7月まで半年続いた場合、経済収縮と五輪中止で国内総生産(GDP)は1・4%、7兆8000億円程度減少し、上場企業の純利益を表す企業収益は最大で24・4%程度減少するとみている。
SMBC日興証券は「感染拡大による消費手控えの影響が大きい」とした。
インバウンド消費の落ち込みに加え、中止や延期の場合、組織委には約900億円のチケット収入も入らない。
また延期された場合、選手村を改装するなどして作られるマンション「HARUMI FLAG」の入居予定が、2023年からずれ込む可能性もある。
関係者は「延期、中止など何も決定していない。 引き渡しのスケジュールまで予定通り整備するだけ」と答えるにとどめた。
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