ここまではS110のハードトップの話が多かったのですが、ハッチバックについても少し。ハッチバックはハードトップから少し遅れて市場投入。ここでもシルビアとガゼールの差異についていろいろ工夫しました。画像はガゼールハッチバックのテールランプと日東1/28のガゼール仕様。サイドのエアアウトレットやラジエータグリルもシルビアと違います。
ランプ類の技術はエクステリアデザインにたいへん大きな影響を与えます。現在はLEDのテールランプや車体と一体感のある大型の樹脂ヘッドランプが大流行です。このS110ハッチバックのテールランプは二重レンズといわれていた構造で、反射板がなく透明な樹脂レンズのカットによって直接光を拡散させるタイプです。反射板のふくらみが必要ないので奥行きを薄くでき、トランクスペースが少しだけ広く使えるというもの。当時の最先端技術です。
シルビアでは3つの大きなゼリーのようなレンズのアウターカバーが取り付けられ、ガゼールではこのカバーだけを横基調の凹凸ブロックにして差異をだしました。ローコストで大きな効果が得られる手法です。当時はヘッドランプも丸型2灯・4灯、角型2灯・4灯といった汎用型ヘッドランプが主流で、異型ランプはごく少数派。いまからみればとても合理的でエコロジーな仕組みだったと思います。いろいろな家電やパソコン、携帯電話などには各社共通にして欲しいパーツやシステムがたくさんあります。これからは各社共通の仕組みももっと必要なのではないでしょうか。
ランプ類の技術はエクステリアデザインにたいへん大きな影響を与えます。現在はLEDのテールランプや車体と一体感のある大型の樹脂ヘッドランプが大流行です。このS110ハッチバックのテールランプは二重レンズといわれていた構造で、反射板がなく透明な樹脂レンズのカットによって直接光を拡散させるタイプです。反射板のふくらみが必要ないので奥行きを薄くでき、トランクスペースが少しだけ広く使えるというもの。当時の最先端技術です。
シルビアでは3つの大きなゼリーのようなレンズのアウターカバーが取り付けられ、ガゼールではこのカバーだけを横基調の凹凸ブロックにして差異をだしました。ローコストで大きな効果が得られる手法です。当時はヘッドランプも丸型2灯・4灯、角型2灯・4灯といった汎用型ヘッドランプが主流で、異型ランプはごく少数派。いまからみればとても合理的でエコロジーな仕組みだったと思います。いろいろな家電やパソコン、携帯電話などには各社共通にして欲しいパーツやシステムがたくさんあります。これからは各社共通の仕組みももっと必要なのではないでしょうか。
3種類のトミカ 1/61。奥から西部警察ガゼール仕様、イベント会場限定仕様のガゼール、ミュージアムギフト館仕様のガゼール。トミカはこのようなバリエーションがたくさん出てくるので面白いですね。下にあるのはミニカーマガジン(2005年12月号)に掲載された「日産シルビア2000ZSE-X」のバリエーションに関する記事。ガゼールも一緒に扱われています。
ところで西部警察で使われたガゼールのグラフィックは特注のものなので、ボンネットグラフィック+ボディ下部を黒色にしてGAZELLEのロゴを入れた仕様は実車には存在しません。それにしてもこの白い車体色のトミカガゼール、「1HGo」といわれる金色のホイールを組み込んで特別な雰囲気を出そうとしているのは分かりますが、ボンネットグラフィックの手抜きが残念。それに幌を閉じた雰囲気に見えるかどうか・・。
ところで西部警察で使われたガゼールのグラフィックは特注のものなので、ボンネットグラフィック+ボディ下部を黒色にしてGAZELLEのロゴを入れた仕様は実車には存在しません。それにしてもこの白い車体色のトミカガゼール、「1HGo」といわれる金色のホイールを組み込んで特別な雰囲気を出そうとしているのは分かりますが、ボンネットグラフィックの手抜きが残念。それに幌を閉じた雰囲気に見えるかどうか・・。
左からバンダイ 1/20、ノレブ 1/43、トミカ 1/61。バンダイ製は1/20スケール・カーコレクションシリーズの中の1台。エンジンやシャシーも精密に再現されており、タイヤも中空ラバー製。デカールも金色と緑色の2色で再現されています。バンダイがガンプラ、色プラなどに進出する以前の硬派のスケールモデル。このあとバンダイの久々のモデルキットとなったのが前出の1/24のBe-1。自動車モデルのバンダイといわれた過去の実績を髣髴とさせる佳作キットだったといえます。
モデルの下にあるのは当時のガゼールのカタログ。
モデルの下にあるのは当時のガゼールのカタログ。
その頃はどのメーカーも国産初といううたい文句が大好きな時代でした。S110シルビア・ガゼールの国産初アイテムは「ドライブコンピュータ」と「ボンネットグラフィック(ガセールのみ)」。ドライブコンピュータは積算・減算トリップメーター&ストップウオッチ、設定車速と実車速を2秒ごとに時間差計算するというラリー用のナビメーターなどがついた計算機みたいなもの。必要かどうか疑いたくなるものでしたが、このあたりから自動車の電子化が加速していきました。
画像はガゼールのオプションカタログとボンネットグラフィックの取付要領書。モデルはノレブ 1/43 と トミカ 1/61。トミカは小さいので再現の限界を感じますが、金色のグラフィックと車体色のコントラストはそれなりにリアル。ノレブ製は金色の発色がやや鈍い仕上がり。隠し味のグリーンはさすがに両車とも省略。
画像はガゼールのオプションカタログとボンネットグラフィックの取付要領書。モデルはノレブ 1/43 と トミカ 1/61。トミカは小さいので再現の限界を感じますが、金色のグラフィックと車体色のコントラストはそれなりにリアル。ノレブ製は金色の発色がやや鈍い仕上がり。隠し味のグリーンはさすがに両車とも省略。
シルビアシルエットフォーミュラのところでニュースや記念日が飛び込んできて話が中断してしまいました。このシルエットフォーミュラ、S110シルビアのハッチバックがベースなのですが、2007年11月、ハードトップの方がアシェット婦人画報社の「国産名車コレクション VOL.47」に「ガゼール」のカタチで加わりました。なぜシルビアじゃなくて姉妹車のガゼールを選んだのでしょうか?
ガゼールといえば印象深いのがボンネットグラフィック。トランクリッドハンドルの次の仕事が「もっとシルビアとの差がわかる外観が提案できないか?」でした。そこでイメージカラーのダークブラウンメタリックと相性のいい金や銀のテープを使ってピンストライプなどを検討しました。なにしろ薄暗くて狭い倉庫みたいな場所しかなくてボンネットの上での作業がしやすかったからというのもありますが、車体上面を使ったところ大好評で、対抗案もなくプロモーションにまで大々的に使われることになりました。繊細な日本の伝統色を隠し味としていれたのも良かったようです。
ストライプも通常はちゃんと図面を描いて手配しますが、こればかりは複雑すぎて図面になりません。そこで正確に実車にテープドローイングをし、これを粘着フィルムにトレースして製造メーカーに渡す手法をとりました。この複雑なグラフィックがミニカーでどこまで再現できるか。国産名車コレクションのモデルは老舗のノレブ製。期待していたのですが、あっさりボンネットだけになってしまいました。実車はトランク上面やボディサイドにもあるのですが・・。
画像のノレブ 1/43モデルにはボディサイドに金の細いテープを追加。大量生産のためかやや作りが雑なのが惜しい・・。奥はVOL.1のスバル360。それにしてもこのパッケージや解説書、色や装丁もう少しなんとかならないものか・・。
ガゼールといえば印象深いのがボンネットグラフィック。トランクリッドハンドルの次の仕事が「もっとシルビアとの差がわかる外観が提案できないか?」でした。そこでイメージカラーのダークブラウンメタリックと相性のいい金や銀のテープを使ってピンストライプなどを検討しました。なにしろ薄暗くて狭い倉庫みたいな場所しかなくてボンネットの上での作業がしやすかったからというのもありますが、車体上面を使ったところ大好評で、対抗案もなくプロモーションにまで大々的に使われることになりました。繊細な日本の伝統色を隠し味としていれたのも良かったようです。
ストライプも通常はちゃんと図面を描いて手配しますが、こればかりは複雑すぎて図面になりません。そこで正確に実車にテープドローイングをし、これを粘着フィルムにトレースして製造メーカーに渡す手法をとりました。この複雑なグラフィックがミニカーでどこまで再現できるか。国産名車コレクションのモデルは老舗のノレブ製。期待していたのですが、あっさりボンネットだけになってしまいました。実車はトランク上面やボディサイドにもあるのですが・・。
画像のノレブ 1/43モデルにはボディサイドに金の細いテープを追加。大量生産のためかやや作りが雑なのが惜しい・・。奥はVOL.1のスバル360。それにしてもこのパッケージや解説書、色や装丁もう少しなんとかならないものか・・。
左からDISM 1/43、バンダイ 1/20、ノレブ 1/43 のガゼール。ガゼールは5系列あった販売店の中の日産モーター系で販売され、ラグジュアリーなテイストに仕立てられました。このトランクリッドに取り付けられたオーナメント兼ハンドルは、シルビアとの違いをだすための部品で、これが日産での見よう見まねの初仕事。工場実習での夜勤体験(切削油にまみれてコンロッドの穴あけ加工をやってました・・)や、全社的な教育を約半年受けた後、当時の造形部・第二造形課のシルビアのチームに配属になり(一般的には配属を希望する部を申告するのですが、課やチームまで希望したらすんなり叶えられてしまいました。)、すでに大雑把な条件や車名ロゴなどが決まっていましたが、小さい部品ながらも形状の決定から図面までのプロセスをひととおり学びました。
当時の図面は全て手描きで、替芯タイプのホルダー鉛筆や芯研器、バッテンといわれる自由曲線をつくる長いクサビ状の定規、ロッコツといわれるR定規、鉄道カーブ定規、三角定規などを駆使して精密な図面を描きました。美術大学で学んだ機械製図とは異なる世界で、この初めての図面が車体設計部を経て正規の手配図面に仕立てられ製品になったときは感激でした。その当時ドアミラーやフロントピラーガーニッシュの図面が描けるようになったら一人前と先輩に言われましたが、新米にはその意味が良くわかりませんでした。続きはドアミラーの話になったら・・。
当時の図面は全て手描きで、替芯タイプのホルダー鉛筆や芯研器、バッテンといわれる自由曲線をつくる長いクサビ状の定規、ロッコツといわれるR定規、鉄道カーブ定規、三角定規などを駆使して精密な図面を描きました。美術大学で学んだ機械製図とは異なる世界で、この初めての図面が車体設計部を経て正規の手配図面に仕立てられ製品になったときは感激でした。その当時ドアミラーやフロントピラーガーニッシュの図面が描けるようになったら一人前と先輩に言われましたが、新米にはその意味が良くわかりませんでした。続きはドアミラーの話になったら・・。