これまでは中・下部肋骨に対するモビライゼーションをご紹介してきました。
今回は上部肋骨にあたる第1肋骨です。
「じつは第一肋骨の位置が、はっきりとはわからないんです」という方、ときどきいらっしゃいます。
大まかには胸郭の上面を押さえればよいわけですが、第一肋骨動きを評価して治療するためには、きちんとわかってコンタクト出来ている必要があります。
というわけで第一肋骨の触診を練習しましょう。
まず、人差し指の橈側を、反対の首すじの外側に押し当てます。
このとき人差し指の指紋部は下方に向いています。
人差し指を首すじに押し当てたまま、下方に移動させます。
すると頸の付け根あたりで、指紋部分に骨らしき硬いものが当たって指が止まると思います。
ここは、第7頸椎の横突起である可能性が高いです。
触れているのは首の外側で、すぐ後ろには上部僧帽筋の前縁というところになります。
ひとりで練習をしていると、「ここが、第7頸椎の横突起なのかな?」と確信を持ちにくいかもしれません。
気持ちはわかります。
でも、あとから確認できるので、そこをひとまず第7頸椎の横突起と仮定して先に進みましょう。
第7頸椎の横突起を下方に押さえながら、指を外側に移動させます。
すると段差があって、もう一段下に下がるように指が落ち、また硬いところに当たって止まると思います。
そこが第一肋骨です。
もしわかりにくいという方は、肘をテーブルについて鎖骨が軽く上がるようにすると、このあたりの緊張が緩むので触れやすくなるでしょう。
段差を落ちて止まったところで、いちど大きく深呼吸をしてみてください。
吸気に伴って人差し指の指紋部が持ちあげられ、呼気の時には下がっていく感触がありますか?
何度か深呼吸を繰り返して確認してみてください。
では来た道を戻って段差を上がり、先ほどの第7頸椎の横突起と仮定したところを指紋部で触れ、もう一度深呼吸してみてください。
今度はどうでしょう?
指紋部が持ちあげられたり、下がったりする感触は、先ほどと比べて少ないのではないでしょうか。
そうだとしたら、ここが第7頸椎の横突起だと確認できたことになります。
頸椎だから呼吸に伴う動きは少ないのですね。
(斜角筋など周囲の軟部組織の緊張により、動きがあるように感じてしまうこともあるかもしれません)
再び一段下りて、第一肋骨に触れます。
そこから上部僧帽筋の前縁の前方をたどりながら指を外側に進めていきましょう。
そのルート上にあるのは第一肋骨です。
ここには前・中斜筋が付着しているので、この筋の緊張が強い場合は肋骨は触れにくくなります。
鎖骨まできたら第一肋骨は、鎖骨の下に入って内側の胸骨に向かって行きます。
左右の動きを比較してみましょう。
何か違いがありましたか?
さらに仲間にも触れさせてもらい、動きの個人差を感覚として覚えておきましょう。
第1肋骨には斜角筋が付着していますが、呼吸の補助などで斜角筋が働き過ぎて緊張すると、第1肋骨を上方に引き上げて吸気位で固定してしまいます。
そのため、第1肋骨は呼気制限が多いように感じています。
斜角筋が緊張していたら、それにアプローチした後、第1肋骨が呼気で下がるか再評価するというかたちでもよいでしょう。
個人的には、斜角筋の緊張や短縮にはASTRをよく用いています。
再評価しても第一肋骨が下がらない場合は、呼気制限のときの呼吸を用いた肋骨のモビライゼーションを行います。
呼気の時に肋骨を押し下げて、吸気で抵抗するわけですね。
第1肋骨は胸郭出口症候群の評価や治療などでも大切な部位となります。
よく練習しておきたいところです。
≪おまけの話≫
おすすめしたいアプリ、Vissible Bodyシリーズ。
解剖学のアプリなのですが、人体を立体的に好きな角度から自由に見られるものです。
また指定した部位を隠したり、半透明にしたりもできます。
今回のブログの解剖イラストにも使用しました。
これまでセミナーのレジュメなど資料を作るときも、ちょうどよい角度から描いた解剖のイラストがないこともあったのですが、これなら自分の思ったとおりのものが使えそう。
解剖実習をしたことのない、私のようなコメディカルの人たちには、人体の立体的なイメージが持ちやすくなって学習の助けになると思います。
私が購入したのはiphone用のHuman Anatomy Atlas2ですが、このようなアプリが3000円ほどなんてすごい時代になったものです。
はじめに買ったのは骨と筋肉だけのMuscular Premium Anatomyで、こちらも600円とコスパは高いと思います。
他にもいくつかシリーズがあります。
Vissible Body
今回は上部肋骨にあたる第1肋骨です。
「じつは第一肋骨の位置が、はっきりとはわからないんです」という方、ときどきいらっしゃいます。
大まかには胸郭の上面を押さえればよいわけですが、第一肋骨動きを評価して治療するためには、きちんとわかってコンタクト出来ている必要があります。
というわけで第一肋骨の触診を練習しましょう。
まず、人差し指の橈側を、反対の首すじの外側に押し当てます。
このとき人差し指の指紋部は下方に向いています。
人差し指を首すじに押し当てたまま、下方に移動させます。
すると頸の付け根あたりで、指紋部分に骨らしき硬いものが当たって指が止まると思います。
ここは、第7頸椎の横突起である可能性が高いです。
触れているのは首の外側で、すぐ後ろには上部僧帽筋の前縁というところになります。
ひとりで練習をしていると、「ここが、第7頸椎の横突起なのかな?」と確信を持ちにくいかもしれません。
気持ちはわかります。
でも、あとから確認できるので、そこをひとまず第7頸椎の横突起と仮定して先に進みましょう。
第7頸椎の横突起を下方に押さえながら、指を外側に移動させます。
すると段差があって、もう一段下に下がるように指が落ち、また硬いところに当たって止まると思います。
そこが第一肋骨です。
もしわかりにくいという方は、肘をテーブルについて鎖骨が軽く上がるようにすると、このあたりの緊張が緩むので触れやすくなるでしょう。
段差を落ちて止まったところで、いちど大きく深呼吸をしてみてください。
吸気に伴って人差し指の指紋部が持ちあげられ、呼気の時には下がっていく感触がありますか?
何度か深呼吸を繰り返して確認してみてください。
では来た道を戻って段差を上がり、先ほどの第7頸椎の横突起と仮定したところを指紋部で触れ、もう一度深呼吸してみてください。
今度はどうでしょう?
指紋部が持ちあげられたり、下がったりする感触は、先ほどと比べて少ないのではないでしょうか。
そうだとしたら、ここが第7頸椎の横突起だと確認できたことになります。
頸椎だから呼吸に伴う動きは少ないのですね。
(斜角筋など周囲の軟部組織の緊張により、動きがあるように感じてしまうこともあるかもしれません)
再び一段下りて、第一肋骨に触れます。
そこから上部僧帽筋の前縁の前方をたどりながら指を外側に進めていきましょう。
そのルート上にあるのは第一肋骨です。
ここには前・中斜筋が付着しているので、この筋の緊張が強い場合は肋骨は触れにくくなります。
鎖骨まできたら第一肋骨は、鎖骨の下に入って内側の胸骨に向かって行きます。
左右の動きを比較してみましょう。
何か違いがありましたか?
さらに仲間にも触れさせてもらい、動きの個人差を感覚として覚えておきましょう。
第1肋骨には斜角筋が付着していますが、呼吸の補助などで斜角筋が働き過ぎて緊張すると、第1肋骨を上方に引き上げて吸気位で固定してしまいます。
そのため、第1肋骨は呼気制限が多いように感じています。
斜角筋が緊張していたら、それにアプローチした後、第1肋骨が呼気で下がるか再評価するというかたちでもよいでしょう。
個人的には、斜角筋の緊張や短縮にはASTRをよく用いています。
再評価しても第一肋骨が下がらない場合は、呼気制限のときの呼吸を用いた肋骨のモビライゼーションを行います。
呼気の時に肋骨を押し下げて、吸気で抵抗するわけですね。
第1肋骨は胸郭出口症候群の評価や治療などでも大切な部位となります。
よく練習しておきたいところです。
≪おまけの話≫
おすすめしたいアプリ、Vissible Bodyシリーズ。
解剖学のアプリなのですが、人体を立体的に好きな角度から自由に見られるものです。
また指定した部位を隠したり、半透明にしたりもできます。
今回のブログの解剖イラストにも使用しました。
これまでセミナーのレジュメなど資料を作るときも、ちょうどよい角度から描いた解剖のイラストがないこともあったのですが、これなら自分の思ったとおりのものが使えそう。
解剖実習をしたことのない、私のようなコメディカルの人たちには、人体の立体的なイメージが持ちやすくなって学習の助けになると思います。
私が購入したのはiphone用のHuman Anatomy Atlas2ですが、このようなアプリが3000円ほどなんてすごい時代になったものです。
はじめに買ったのは骨と筋肉だけのMuscular Premium Anatomyで、こちらも600円とコスパは高いと思います。
他にもいくつかシリーズがあります。
Vissible Body
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