前々回にお伝えしたシリーズの最後のほうで、触れることで患者さんに伝わる情報の大きさをお話ししました。
記事を書いているうちに、触診で失敗した経験を思い出しました。
失敗体験というのは苦い思い出ですが、そのようなものこそ、みなさんの役に立つのかもしえません。
今回はそのエピソードを少しご紹介しましょう。
整形外科クリニックに勤めてまだ間がない頃、頸の寝違えの患者さんを担当したときのことです。
60代の男性だったのですが、見るからに神経質そうな方で緊張していらっしゃいました。
その様子をみた私も、一緒になって緊張してしまいました。
患者さんは仰臥位になり、私は頭方から頸の筋肉を触診していたときです。
突然「ヒッ!!」と奇声が上がったと思ったら、そのまま口から泡を吹いて気絶してしまいました。
私もビックリあわてて院長を呼びに行き、対応していていただきました。
幸いその場で意識を取り戻されました。
気絶した原因は、ただでさえ緊張していたのに、私も緊張して触れていることが患者さんに伝わり、さらなる緊張を招いて気絶してしまったのでした。
私は患者さんにお詫びし、先輩に担当を変わってもらいました。
もし、みなさんの経験がまだ少なく、緊張している患者さんをみて自分も緊張するのを感じる、あるいは状態から自分では手に負えないと感じたら、職場の責任者や先輩に話をしてサポートやフォローをお願いしておいてもよいかもしれません。
場合によっては、変わってもらうようにお願いすることも大切でしょう。
私はプロとして、身の丈に応じた治療をするのが大切ですといつもお話ししているのですが、時にはこうした判断も必要になります。
ただ、いつも逃げていては成長できませんので、経験を積んだ責任者が状況を判断して「やってみろ」と言ったらチャレンジしましょう。
とにかく、このように現場の責任者や先輩に相談しておくのはとても大切なことです。
セラピスト自身が先輩の後押しを受けて心理的により安心して臨めるというのと同時に、もし何かあっても早い段階で責任者が対応しやすいからです。
何も相談がない状態で大きなトラブルになっていったら、責任者にとっても寝耳に水で、対応が大変になるかもしれません。
経験の少ないうちは、いかに職場の先輩や責任者のバックアップを受けやすくするか、ということに頭を使うことも大切です。
頭を使うといったのは、現場の責任者は忙しいことが普通なので、一から十まで相談されてはたまらないからです。
責任者だって人間なのですから、パンクすることだってあります。
そのため要点を整理して、具体的にどのようなサポートを得たいのか、それは可能かどうかを相談するようにしましょう。
こうすることでミスの拡大を防ぎ、ヒポクラテスの誓いにも「傷つけることなかれ」とあるように、患者さん自身を守ることにもなります。
私もこのとき、すみやかに院長に対応していただけたので事なきを得ました。
もし患者さんに迷惑をかけるようなことがあっても、責任者がきちんと対応できれば、「あの病院の若いあんちゃん(この場合は私のことです)にヒドい目にあったよ」という話を外でされたとしても、あくまで私個人に対してであり、病院の評価は下がりません。
リベンジするチャンスはあります。
ところが、対応が後手後手にまわり「あの病院はダメだ」ということになると、病院そのものの評価が悪くなり、リベンジするチャンスも失われるかもしれません。
それは自分にとっても、職場にとっても、何より患者さんにとっても不幸なことです。
ですから経験が少ないからといっても、職場におんぶにだっこではなく、自分なりに考えて行動しておかなければならない訳です。
今回のような出来事を経験したら、もうひとつ行っておかなければならないことがあります。
≪次回に続く≫
記事を書いているうちに、触診で失敗した経験を思い出しました。
失敗体験というのは苦い思い出ですが、そのようなものこそ、みなさんの役に立つのかもしえません。
今回はそのエピソードを少しご紹介しましょう。
整形外科クリニックに勤めてまだ間がない頃、頸の寝違えの患者さんを担当したときのことです。
60代の男性だったのですが、見るからに神経質そうな方で緊張していらっしゃいました。
その様子をみた私も、一緒になって緊張してしまいました。
患者さんは仰臥位になり、私は頭方から頸の筋肉を触診していたときです。
突然「ヒッ!!」と奇声が上がったと思ったら、そのまま口から泡を吹いて気絶してしまいました。
私もビックリあわてて院長を呼びに行き、対応していていただきました。
幸いその場で意識を取り戻されました。
気絶した原因は、ただでさえ緊張していたのに、私も緊張して触れていることが患者さんに伝わり、さらなる緊張を招いて気絶してしまったのでした。
私は患者さんにお詫びし、先輩に担当を変わってもらいました。
もし、みなさんの経験がまだ少なく、緊張している患者さんをみて自分も緊張するのを感じる、あるいは状態から自分では手に負えないと感じたら、職場の責任者や先輩に話をしてサポートやフォローをお願いしておいてもよいかもしれません。
場合によっては、変わってもらうようにお願いすることも大切でしょう。
私はプロとして、身の丈に応じた治療をするのが大切ですといつもお話ししているのですが、時にはこうした判断も必要になります。
ただ、いつも逃げていては成長できませんので、経験を積んだ責任者が状況を判断して「やってみろ」と言ったらチャレンジしましょう。
とにかく、このように現場の責任者や先輩に相談しておくのはとても大切なことです。
セラピスト自身が先輩の後押しを受けて心理的により安心して臨めるというのと同時に、もし何かあっても早い段階で責任者が対応しやすいからです。
何も相談がない状態で大きなトラブルになっていったら、責任者にとっても寝耳に水で、対応が大変になるかもしれません。
経験の少ないうちは、いかに職場の先輩や責任者のバックアップを受けやすくするか、ということに頭を使うことも大切です。
頭を使うといったのは、現場の責任者は忙しいことが普通なので、一から十まで相談されてはたまらないからです。
責任者だって人間なのですから、パンクすることだってあります。
そのため要点を整理して、具体的にどのようなサポートを得たいのか、それは可能かどうかを相談するようにしましょう。
こうすることでミスの拡大を防ぎ、ヒポクラテスの誓いにも「傷つけることなかれ」とあるように、患者さん自身を守ることにもなります。
私もこのとき、すみやかに院長に対応していただけたので事なきを得ました。
もし患者さんに迷惑をかけるようなことがあっても、責任者がきちんと対応できれば、「あの病院の若いあんちゃん(この場合は私のことです)にヒドい目にあったよ」という話を外でされたとしても、あくまで私個人に対してであり、病院の評価は下がりません。
リベンジするチャンスはあります。
ところが、対応が後手後手にまわり「あの病院はダメだ」ということになると、病院そのものの評価が悪くなり、リベンジするチャンスも失われるかもしれません。
それは自分にとっても、職場にとっても、何より患者さんにとっても不幸なことです。
ですから経験が少ないからといっても、職場におんぶにだっこではなく、自分なりに考えて行動しておかなければならない訳です。
今回のような出来事を経験したら、もうひとつ行っておかなければならないことがあります。
≪次回に続く≫
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