対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

第67期本因坊戦総括

2012-07-21 23:55:55 | 雑談


第67期本因坊戦最終局の終局場面。
左下黒△のポン抜きが無意味になっているのが目をひく。

かって将棋の阪田三吉が銀が遊び駒(ポジショニングが悪く働いていない駒)になり、
それが原因で敗れた時に
「銀が泣いている」
という名言を残したが、
それに倣うと本局の黒のポン抜きは
「花が涙している」
といったところか。

本来、このポン抜きに押しつける形で下辺の白を圧迫、
あわよくば取りたかったところだが、それは結果論。
あるいは山下プロの構想に誤算もあったろうが、
させなかった井山プロの構想が巧みだったということだと思う。



結果論といえば第5局の白△のポカが本シリーズの分け目になった。
直前の黒△が無理で、ここでは山下プロが優勢になっていたのだが、
優勢になった瞬間が一番危ないという見本といえるだろう。
黒△を全く考えておらず、動揺してのミスというのが返す返すも惜しまれる。

これで井山プロは十段、天元、本因坊の三冠を獲得。
碁聖も獲得まであと1勝と迫っており、
早くも「井山時代」の到来かと思わされる。
張プロが五冠王になったのはついこの間だから、
月日が流れるのは早いものだ。

尤も私も井山プロが第1戦、第2戦と連勝した時は、
同じように「井山時代到来」を思い描いたのだが、
実際に本因坊を獲得した今、逆にそう単純でもないと感じた。

羽根プロはストレートで破らないと面倒な相手なのは
ファンの広く知るところだし、
今回の本因坊戦でもこういっては失礼だが、
むしろ山下プロの強さを見直した。

第7局を通じて、井山プロが終始リードしたという対局はなく、
むしろ内容は山下プロが圧倒していたと思う。
それでも防衛に至らなかったのはあるいは
山下プロそして日本棋士が世界で勝てない一因なのかもしれないが、
以前より序盤の巧みさが増してきたようでもあるし、
僭越ながらまだまだ伸びしろを感じる。

棋聖をもっている張プロも中々それを譲らないだろうし、
高尾プロも黙っていないだろう。

井山プロに中心がシフトするのは間違いないだろうが、
しばらくは戦国時代が続くとみるがどうか?

また今回の本因坊戦をこれだけ熱心に観戦したのは、
ニコニコ生放送で放送されたことが大きい。

今のところ今回の本因坊戦以降は予定はされていないようだが、
タイトル戦を盛り上げる効果はありとみるので、
棋院もしっかり広くリサーチして、今後も続けて欲しいものだ。


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4 コメント

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本因坊戦を通して (リー)
2012-07-23 00:02:29
山下プロが圧していたのは確かに感じます。シリーズを通して。
しかし井山プロは王立誠プロのように逆境で常に悩ませる手を打ってくる。
時には山下プロのミスを期待してるのか?足掻きだろ?というような局面もありましたが、観戦後で棋譜を冷静に並べてみるとそうでもない、粘りには違いないが狙いと可能性が確かに感じられる。
そして第3局と第6局は山下プロがそれらを完封ねじ伏せたところが一番印象に残ってます。何度逆転されたと思ったか。

今週のヤンジャンでハチワンダイバーにて鈴木大介八段が将棋の強さなんてものは「腕力」と「センス」だって台詞があり衝撃を受けました。漫画と思って侮るなかれ、おそらくは実際に言われた言葉なのでしょう。
特に局面をねじ伏せる力「腕力」のほうが囲碁だけど今期の本因坊戦で実感しました。

センスのほうはよくわかりません。
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追記 (リー)
2012-07-23 00:23:46
第5局のポカは本当に悔やまれます
棋聖戦の高尾九段(2局目)もそうでした
2日制でミスが出るというのは本当に体力勝負なんですね
白からノビキリでなく7L→7M→7N→6M→6Pで多分凌いでる
、というよりむしろ黒が打った分損をするところ。
しかし逆に言えば井山プロは「緩手」はあったらしいけどミスはなかったですよね。(プロレベルでいえばミスというようなとこはあるかもしれないけど)
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Unknown (taka)
2012-07-23 12:50:16
はじめまして。いつも楽しみに拝見しております。

あまり本題と関係なくて恐縮ですが、
いつも、棋譜のグラフィックが綺麗だなと思ってみているのですが、これは、何かのツールで生成されているのでしょうか?

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勝負術 (GO!)
2012-07-27 21:27:33
>りーさん

第3局と第6局は山下プロの好局だったと思います。
やっぱり今シリーズは「逆転するかさせてないか」の攻防でしたね。

ダイチくん(鈴木八段)は実戦(10秒将棋)オンリーでNHK杯優勝や八段になったんで、
「腕力とセンス」という言葉はいかにも言っていそう。
ただ鈴木八段は詰将棋は全然やらない(曰く3手詰でも怪しいときがある)ので、
ここでいう腕力とは実戦経験に基づいた、どちらかというと「形」と「勘」でしょうね。

>takaさん

ここに掲載している盤面図はmultigoを利用しています。

http://www.ruijiang.com/multigo/

バージョンを落とせば日本語化パッチもあり。
高尾プロや三村プロもこのソフトでブログの盤面を作成しているようです。
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