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対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

新刊棋書情報「手筋が分かれば碁が変わる」

2012-02-18 23:55:55 | 棋書
東京創元社の碁楽選書シリーズから
手筋が分かれば碁が変わる」という本が出ている。
著者は梁宰豪。

第1章 ノゾキ・オキの筋(7型)
第2章 コスミの筋(7型)
第3章 一間の筋(7型)
第4章 サガリの筋(3型)
第5章 ハネの筋(6型)
第6章 ツケの筋(4型)
第7章 ツギ・ナラビの筋(3型)
第8章 キリ・アテの筋(3型)

目次からわかるように、
手筋を石の動きによって分類し解説。

型数が少なく感じるかもしれないが、
これは「型」を「定石の型」「死活の型」「攻め合いの型」
といった分け方で分類しているためで、
実際は各型の中に様々なテーマ図が含まれる。

よって目次にある索引はあまり意味がなく、
各型のトップにあるテーマ図に1ページ使うのも
ちょっと無駄な感じ。

解説は1ページ2~3図。

解説の他に各型にちなんだ古今のプロの妙手を、
実戦例としていくつか挿入している。

必勝の石運び」と似た感じの本で、
碁楽選書の中では高水準。
両書を併せれば、ちょっとした基本手筋事典となる。

棋書評「碁どんどん勝てる3分間問題集」

2012-02-17 23:55:55 | 棋書


「碁どんどん勝てる3分間問題集」
(二見書房:趙治勲著)

ライターは江木久直。

大体「どんどん勝てる」だとか「3分間」だとか、
サブタイトルの「簡明流」なんていう
読者に甘い言葉が並んでいるハウツー本には
囲碁に限らずろくなものがないが、
本書も残念ながらその例に漏れずつまらない本。

…じゃあ、何で紹介するのと言われると
「ネタにつまったから」…なのだけれど。
申し訳ない。

形式はよくある問題集形式。

基礎死活や級位者向けの9子局の打ち方を解く一方で、
大斜定石やプロの妙手を紹介したりと、
ごった煮にもほどがあるという内容がダメ過ぎる。

まぁ、その一方で個々の問題中には、
それまでやその後の「治勲流」の
ダイジェスト的な考え方もあって、
全部が全部、役に立たないというわけではないけれど。

1.序盤「この定石で打ちなさい」
「この簡明策で『置き碁』なら負けない」(4テーマ)
「コレだけ覚えて星の定石、フル活用」(21テーマ)
「実戦でぐんぐん強くなる互先までの定石」(6テーマ)
「どこにでも顔を出す互先定石、これだけは」(11テーマ)
2.中盤「この手筋で打ちなさい」
「この実戦テクニックが勝ちを決める」(4テーマ)
「この手筋を知らないと碁にならない」(23テーマ)
3.死活「この法則で打ちなさい」
「ただヨムだけでは勝てない死活の重要点」(16テーマ)
4.終盤「このヨセで打ちなさい」
「たちまち差がつくヨセの原則がある」(4テーマ)
「名局と打ち碁、私の囲碁講座」(2テーマ)


「こんな本でも出版できた」
という今では考えられない時代を伝える遺産として、
ある種の感慨を呼び起こす効果はあるが、
お金を出してわざわざ買うような本…でもないと思う。

【追記】
尚、問題の余白を使って趙先生の当時の日常や
囲碁史、講座、名局などについて書いた一口コラムが掲載されており、
こちらは気軽に読める上に、結構面白い。

棋書評「山田規三生の碁」

2012-02-15 20:55:15 | 棋書


山田規三生の碁」(MYCOM:山田規三生著)

世界一わかりやすい打碁シリーズの第4弾。

第1局 vs井山プロ(王座戦)192手完(50譜)
第2局 vs劉昌赫プロ(三星火災杯第3局)185手完(50譜)
第3局 vs結城プロ(本因坊戦)122手完(31譜)
第4局 vs依田プロ(本因坊戦プレーオフ)245手完(50譜)
第5局 vs高尾プロ(本因坊戦第2局)206手完(51譜)
第6局 vs森田プロ(竜星戦決勝)204手完(54譜)
第7局 vs依田プロ(王座戦挑戦者決定戦)235手完(55譜)
第8局 vs柳プロ(王座戦第4局)141手完(37譜)

構成は「羽根直樹の碁」と同じく朴道純なので、
本の構成、コンセプトに関しての感想もほとんど同じ。
ただし1譜につき参考譜1つという縛りはやや緩くなっており、
また終盤や参考譜には10手近い長手数を進めている譜もある。
刊行時の印象はコチラ

山田規三生プロは昔「ブンブン丸」(懐かし)という異名があり、
攻めに強いというのが世間一般の碁の評価だが、
本書を一通り並べた感じでは攻めながら序中盤でリードを奪い、
後はじっくりヨセて逃げ切る、落ち着いた棋譜が多いなという印象。
「石取りでない」効果的な攻めを学ぶのには良さそう。

また比較的決まった定石を集中して打つ傾向があり、
同じ定石が複数回登場するので、その周辺の理解が深まるとも感じた。

採用された対局は山田プロのタイトル戦登場といった
大勝負を中心に構成されているが、
2年連続挑戦の王座戦は両方ともストレートで敗退したため、
1局も収録できなかったのは残念だったと思う。

棋書情報「手順つき実戦詰碁100」」

2012-02-11 22:15:55 | 棋書
自由国民社から「手順つき実戦詰碁100」という本が出ている。
著者は石田芳夫。

問題成立までの手順があるという本は、
石倉プロの「世界一役に立つ実戦詰碁」、
絶版ながら大竹プロの「基礎死活の独習法」など類書があるが、
本書は前にあげた2冊と違い講座的要素が少ない。
普通の詰碁集と同じように問題図が掲示され、
その裏に3図で解説という構成が淡々と続く。

問題図の下にはタイトルの通り
問題成立までの手順が掲げられている。
しかし元となっている詰碁(多分「碁経集妙」辺り)に合わせるためか
やや不自然な手順、形も散見されるのが残念。

低段、級位者には魅力的内容とは思うが、
比較するなら私は前2著、特に石倉プロの方を進めたい。

ただし本書はA4サイズなのでかなり図が大きく、
年配の方にはこちらの方が読みやすいかも。


棋書情報「韓国の新しい試み」

2012-02-09 23:15:15 | 棋書
東京創元社碁楽選書の新刊「韓国の新しい試み」は、
平たく言えば近年の新型、新定石を解説した本。

一度出版された本の翻訳なので、
「現在の」最新型…とはいかないのは当然だが、
いつ頃の型かがもう一つ判然としない。



恐らく2005年前後の内容と思われるが、
その一方で薫鉉(チョ・フニョン)プロの得意布石として紹介されている
上の図の布石に対して、黒Aの手しか示されていないのが気になる。

というのも「李昌鎬ファイル」では1998年に黒Bの対抗策が登場し、
それにて「黒有利」と解説されているから。
黒Bに対しても有効な応手があるので素通りしたのか、
それとも意識的に触れなかったのか謎だ。

また両ガカリ、ミニ中国流、中国流について多くページを割いているが、
これらに関しては日本の棋書や李昌鎬の本でも解説されているので、
結構重複している知識も多く、取り立ててわかりやすいわけでもない。
それ以外の項では他の本であまり見たことのない型も散見したが、
本書でなければという部分にやや物足りなさを感じた。

最新でないのでプロの碁の観戦ガイドとしても不適。
使い方がもう一つ見えにくいように感じる。

棋書情報「石田の基本詰碁160」

2012-02-04 23:55:55 | 棋書
紹介しそびれていたので結構前の本になるが、
棋苑図書から「石田の基本詰碁160」という本が出ている。
著者は石田芳夫プロ。

構成的には以前紹介した同じ石田芳夫プロの本、
三段挑戦の詰碁」「五段突破の詰碁」と同じ。

30秒の詰碁 40問
1分の詰碁 40問
3分の詰碁 55問
5分の詰碁 25問

(問題数はうろ覚えなので後でチェックします)

というように、章立てを考慮時間で区切っている。
…が、あまり時間の方は気にしない方が良い
…と個人的に思う。

ヒント付きで解説図は3図。
同じ構成とはいえ30秒と1分の詰碁は
1ページに2題掲載されているので
前に挙げた2冊よりはコンパクトにまとまっており、
160題という問題数が可能になった。

「30秒の詰碁」の第2問が、
詰碁マスター」中級詰碁の1問目と同じ
…ということからレベルの方は推してはかるべし。
特に目立った特色はないものの基礎死活が揃っており、
ネット碁初段以上が力をつけるための教材と思う。

棋書情報「定石は生きている」

2012-02-03 23:55:55 | 棋書
東京創元社の碁楽選書の新刊「定石は生きている」。

タイトルは大仰だが、その「定石は生きている」、
つまり定石も全局をみて使い分けなければいけないことを
読者に理解させる何か仕掛けがあるわけではなく、
中身は普通の定石カタログだ。

トップページに大きく1ページを使って解説する定石の出だしを示し、
以下、1ページ3図で定石や手順の意味、変化などを解説。

良い点を挙げれば図が大きく見やすいのと
索引がついているところだが、
同タイプの本は日本にも沢山あり、
わざわざ韓国の本を翻訳するほどの内容ではない…と思う。

棋書情報「戦いの碁力」

2012-02-01 20:55:55 | 棋書
昨年4月から9月にかけて放送された、
カナボー中野寛也プロのNHK囲碁講座「戦いの碁力」が
早くも書籍化されている。

番組放送時は対象棋力の曖昧さから、
段々と評価が落ちて観なくなってしまったが、
単行本化に当たり改めて整理、再構成したことで、
「戦い」のテキストとして割と良い感じになった。
構成は伊瀬英介。

内容は「ノゾキ」や「アテ」などの手法について、
使って良いケース、悪いケースをそれぞれ掲示し
学習するというもの。

基本1ページ全局図2図で一貫しており、
やや単調なレイアウトながら無駄な余白がないのは○。
各手法の使い方について良い対応には「○」、
悪い対応には「×」とマークし、
視覚的に読者の理解を助ける工夫がされている。
各局面図までの手順も基本掲載。

また各章末には腕試し問題やエッセイが収録されている。

取り上げられる手法は基本的なものが多く、
手数も短いのでネット碁級位者でも十分読むことは可能。
ただしその良さや局面に応じて収拾選択出来るようになるには、
ネット碁有段ぐらいの棋力が必要か。

似たような本は沢山あるが、他に比べて安いのが長所。
「戦いの力をつけたい」という人は
読んでみる価値はあると思う。

新刊棋書情報「苑田流 戦いの虎の巻」

2012-01-29 22:55:55 | 棋書
発売したばかりの苑田勇一プロの本「苑田流 戦いの虎の巻」は、
一昨年に出た「序盤で差をつける『場』の理論」と同じく、
東洋囲碁で開催されている音声講座をまとめたもの。

コンセプトも感想も「序盤で差をつける『場』の理論」とほぼ同じ。

前著の紹介で書かなかったけれど、
苑田理論や格言については前書きでサラッと触れている程度なので、
苑田プロのもっと初期の本(リンク先コメント欄参照)を別に読んで、
予め理論を把握しておく方が吉。

前著で感銘を受けた人や東洋囲碁で講座を受講して「良かった」と感じた人が、
「追加問題」「復習」という意味で購入する本かと思う。
次の一手本としては問題図までの手順が明記されているのが丸。

新刊棋書情報「定石の急所 完全版」

2012-01-28 21:55:15 | 棋書
MYCOMから「定石の急所 完全版」が出ている。
2006年に発売された「定石の急所」上・下巻を一冊にまとめたもの。

底本は刊行当時としては良い感じの内容だったが
昭和の頃の本(編集協力が田村竜騎兵)ということで
今となってはやはり古さは否めない。
最新の定石も収録しているとあるが、
詳細については不明。

ざっと見た範囲では手抜き定石や定石後の打ち方が豊富な一方、
星の定石、特に近年変化が著しいハサミや両ガカリについてが、
非常に少ないことに驚いた。

まぁ「ハサマない、ハサまれたら三々入り」で
打ち進めるという手はあるし、
アマチュアで使われている定石は新旧で差がつかないので、
これで十分といえないことはないが…。

ただし索引がついているわけではないので、
「定石事典」としては使いにくそう。
ページ右上の見出しで検索するのはあるだろうが。

またホントにプロで流行している最新定石は掲載されていないので、
観戦ガイドとしても不適。

「定石本」をとりあえず安く買うという意味ではありだろうが、
ネット碁級位者や低段者は「ひと目の定石」「簡明定石だけで勝つ方法」の方が
紹介する定石を絞っていて適切だと思うし、
それ以上のレベルなら「基本定石事典」を買ってしまった方が
プロの碁の観戦ガイドにもなって結局は安上がりでないかと思う。