これまで脊椎側弯症の治療を基本指圧で行い、総合医療療育センターの整形外科医師に「治っている」と認められた事例があります。
今回は、日本のダウン症研究第一人者 H 先生から紹介された、11歳のダウン症男子の例です。彼は急激に身長が伸びると同時に側弯症を発症。角度38度で、療育センターの医師から指圧治療を勧めてもらったそうで、H 先生を通してお話がありました。
電話で、まず親が指圧を受けて納得された後、予約してもらうことにしました。子供の治療は、いつも親の納得の上で行っています。
4月17日に治療院へ初めて当日、お母さんが、彼の身体を支えながら歩を進めて何とか到着。 前もって、「脚が悪いのであまり歩けないが、車椅子スペースはありますか?」と問い合わせがあったので、「治療院は、入り口が広く車椅子もOK」と伝えてありました。
まずお母さんの指圧。どういうものかを体験してもらいます。
ついで本人の治療です。初めての場所は拒否しがちだとご両親が説明されていましたが、彼は来ると体を重そうにして畳にゴロン! 極端に筋肉が萎えていて、座っているのも大変です。先ず、お父さんが畳に座ってその股の中に彼を抱えた形でお話を伺うことしました。
ご両親が、「これを持たせると落ち着くので」と出されたのが「玩具」。大きな音を出す丸い玉が3~4個付いて、振り始めるとずっと「コンコン、コンコン」と鳴り続けているのです。これには驚きました。私の治療院は狭いうえ、耳に響く大きな音です。別に治療を受けに来ている患者さんもいます。まいりました。
そのうえ私は11年前に重篤な脳出血を患い、後遺症で大きな音や強い光でてんかん症状が起きてしまいます。恐怖を感じたので急ぎ発作止めの薬を飲んで対処しました。圧し始めは本人の抵抗をご両親が抑えつけての治療です。これが治療? 私も初めての経験です。どう考えてもこれでは「無理やり指圧?」です。
急展開の勢いにのまれ、そのまま圧す羽目になりました。でも気持ちがいいのか、ずっと動いていたのが、ジッと指圧を味わっている時間が増えてきたのです。私の指と彼の身体とのコミュニケーションは、取れているとの手応えも十分でした。H 先生からは、ダウン症を持つ脊椎側弯症と聞いていました。でも、どう考えても「プラス自閉症」?
子供の治療のときには、気を付けていることがあります。
*できるだけ手短に飽きないように圧す。
*ダウン症の場合は、独特の緊張を理解。
*自閉症はコミュニケーションの取れない状況を覚悟。
*今回は激変する脊椎側弯症38度。この角度がどの程度改善できるか?
これらをプラスした指圧治療の第1回目は、終わってみたら不思議な満足感を得た治療でもありました。