「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

基本指圧の施術で二分脊椎症の排便管理を

2010年01月13日 | 素晴らしい指圧効果
 年末年始はゆっくり休めたので、タップリ鋭気を養うことができました。今年も頑張ろう! と張りきっています。  

 話は旧聞に属しますが、昨年11月、埼玉県久喜市在住の二分脊椎症のSさん(18歳女子)のお母さんから、排便管理について指圧施術を希望する電話がありました。昨年内は予定が一杯でしたので、空きができたら電話をすることにして待機していただきました。 
 患者さんの、それまでのおおまかな経過をファックスで送ってもらいましたが、その内容に強く興味を引かれるものがありました。これも何かの縁でしょう、一度会いたいと思いつつその機会を待ちました。  

 しかし私には、「時間」という大きな壁があります。二分脊椎症の排便管理を基本指圧で行うためには、最低でも週2回の施術が必要です。どう考えても時間の工面がつきません。機会を待つ間、なんとなく指圧を受けに見えている方々に、「これこれしかじかで、こういうお嬢さんがいるんです」と話していました。 
 すると、「ずっとでなければ月1回くらいなら時間を譲ってもいいわよ」、と申し出てくださる方が出はじめたのです。超多忙な私には、とうてい無理と思われた時間の工面が、つきそうな気配がしてきたから不思議です。  

 12月13日、待ちに待った? キャンセルが出ました。久喜市から川越までは車で1時間半近くかかります。親子は予定時刻より1時間も早く来院しました。昨年学会で報告された同じ二分脊椎症の達也クンのお母さんも駆け付け、話も弾み、その親子に初対面とは思えない親しみを感じました。 
 さっそく基本指圧を体験してもらいました。施術後起き上がった彼女の顔がスッキリと素敵になっていたのには一同驚きました。
「わーっ、何か違う!」 
 彼女が驚いたように腰の辺りを撫でていたのが印象的です。 
 彼女は生まれて以来、この18年間に10回の外科手術を受け、全身の19箇所にメスが入っているのです。とにかく、我慢強いとしか言いようがありません。両親はどんな思いで育児にあたってこられたか、想像を絶するものがあるだろうと感慨深いものがありました。  

 私がいちばん心を動かされたのは、彼女の障害に対して家族・親戚一同が一丸となって向き合っているということです。力を合わせて、現実から目をそむけることなくしっかりと向き合っているのです。施術時間の工面に協力くださる方たちや、家族・親戚など、多くの人たちの気持ちが寄せ集められて、新年から治療がスタートしました。大勢の方たちの思いは必ず天に通じ、嬉しい成果になると確信しています。  

 2008年7月に計測された彼女の身長は142.2センチでした。そこで成長は止まったと医師から診断されています。 
 昨年末、2回の基本指圧の施術が叶いました。新年からの排便改善プログラムのために、基本指圧研究会研究員高畑氏が、記録係をかってでてくれました。彼は達也クン施術のときも自主的に記録を担当し、その効果に感動して自らも指圧を志したほどの熱血漢です。 
 年末2回の施術の手応えで、身長が伸びていると私は感じていましたので、高畑氏に身長の計測もお願いしました。私の感覚では、2センチほど伸びていると思いましたが、実際には、145センチになっていました。2回の施術で2.8センチも身長が伸びていたのです。

「生活身長」という言葉があるそうですが、それは145センチだそうです。社会生活に必要な成人の身長なのだそうですが、これを一気にクリアーできたのはとても嬉しい効果でした。しかしまだまだ全身が骨格的につまっています。これが施術により緩んでひろがることで、彼女の身体に内在する能力が引き出されてどのような効果がでてくるか? 本当に楽しみです。  

 色々な痛みも隠れているでしょうし、今後の経過に一喜一憂することなく、将来の彼女の姿に思いを馳せて施術していこうと考えています。やりがいのある仕事を与えていただけることに感謝しています。それに応えられる技術の研鑽に精進して行くことに、力の限りを尽くしたいと思っています。
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