青木ヶ原樹海の後、ドライバーさんは、精進湖へ案内してくれました。精進湖北岸にある他手合浜(たてごうはま)、ここから富士山を眺めると、富士山の手前に小さな山が見えます。大室山という側火山だそうですが、富士山が小さな子供の山を抱いているように見えるため、土地の人たちにいつしか「子抱(だ)き富士」と言われるようになったそうです。
富士山にちなんで色々な名前が付けられて、それを当たり前に思っていました。「富士見町」「富士見市」「富士見橋」「富士見中学校」etc。でも「子抱き富士」とは、とても素敵なネーミングです! 日本語と日本人の感性に脱帽しました。
この日から、優しいお母さんみたいな富士山をひとつ知りました。嬉しい。ありがとうございました。
つづいて本栖湖で、千円札の裏側の富士山が書かれた地点へ連れて行ってもらいました。車を降りて、
「本当だ!」
いつも使っているお札に、確かに描かれていました。知りませんでした。
お札と一緒に写真を撮りました。湖は、右手前に樹木もありました。これは季節ごとに変化するでしょうから、それもきっと趣のあるものだと思います。
千円札に描かれている富士山は、実は本栖湖から見える富士山だと教えてもらいました。この日、おかげでずいぶん物知りになりました。
千円札を身近に思うようになりました。シワシワのお札で、恐縮です。
富士山はほんとうにきれいです。
風がないときは、湖面にクッキリ逆さ富士が現われるそうです。そんなときにまた見に来たいと思いました。
東海道新幹線から見える富士山は、裾野が見事に長く広い富士山です。お札に描かれてあった富士山は、山梨県側からのもので、裾野はそれほど長くなく、山の部分が高く近く、山自体が大きく重量感を感じました。
日本一の富士山を堪能する旅です。私たちがどこにいても、常にその勇姿を見せつけてくれました。それも感動でした。
最後に忍野八海に行きました。散策路からの景色です。
忍野八海は、今まで見たことのない圧倒させられる水の透明度です。遠方からわざわざ訪れる方が多いのも、納得できる美しさです。
この忍野八海から見る富士山がいちばん美しい、と聞いたことがあります。1回行って見たいと思って、憧れを持っていた場所でもありました。平日で、この日はまだゴールデンウィーク前だったのに観光客でごった返し、真っ直ぐには歩けないほどでした。
いくら何でも混み過ぎです。中国からの観光客ばかりで、耳から入ってくる大声のために、私達の会話も不自由なほどでした。中ほどに有料の散策路があり、300円で喧騒から逃れ、池の鯉に餌をやって遊び、ゆっくり湧水と景色を楽しむことができました。富士山が湧水の透明度で世界遺産に登録にされた、と聞いたことがありますが納得できました。やはりこの村から見る富士山は、まさに絵になるというのが実感でした。
入り口には人工的な池があります。それは、池の深さをわかってもらうためにあるそうです。深さが7メートルあると言われましたが、透明度の高さのために池の底が、すごく近く見えてしまい不思議でした。
透明度をこれほど感じたことは、経験したことがありませんでした。
奥の方にあった大木とその湖面も、表面に木の葉が浮いていて写真では分かり難いのですが、それがあることでかえって池の深さがわかりやすいと思いました。浮いているものがないと、透明度が高いために湖底がすぐ見えてしまい、私は浅く感じてしまうのです。
ここは先ほどのような喧騒もなく、鳥のさえずりを聞きながら、静かな中で、深くて澄んだ湧水に感動しました。素敵!
ドライバーさんはもっと案内したかったようですが、我われに多少疲れも出てきたので、予約していたホテルまで案内してもらいました。富士五湖エリアの中でも、絶景の富士山と豊かな自然を誇る山中湖に位置する「富士マリオットホテル山中湖」です。
温泉で疲れを洗い流すこともでき、好評裡に終えることができた旅行でした。
〈おわり〉