「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

沖縄でレース中落車に巻き込まれる、骨折予後の指圧治療で川越へ

2016年06月08日 | 指圧の活動

 528日、沖縄・西表島のタケル君が、指圧を受けたいと川越の治療院まで来院しました。彼は石垣島の高校2年生、自転車部で頑張っていますが、先日レース中に落車事故に巻き込まれて左鎖骨を骨折したのです。骨折から3週間、装具をつけたままですが、予後を見据えた指圧治療のためにはるばるやって来たのです。
 
 「どうしてわざわざ西表島から?」とお考えの方も多いかと思いますが、彼に関しては生後間もないころから、基本指圧でいろいろな治療を行ってきました。彼のお母さんは川越で何代も続く開業医のお嬢さんで、西表島に嫁いでいます。
 出産で里帰りして、1ヵ月検診でタケル君に斜頸があると分かり、担当医から整形外科への通院を勧められました。整形外科へ行ったからといって、斜頸はなかなか治らないとの内科医のお祖父さまの意見で、私の指圧による治療を依頼されたのです。もちろん基本指圧で、斜頸は完治しました。 

 タケル君4歳の時。高所から落ちて左鎖骨骨折をしたと聞いていたのですが、約1ヵ月のコルセット装着で左の肩幅が狭くなり、背中に丸みが出てしまったというのです。素人目にもはっきりわかるほどで、両親がとても心配していました。タケル君のお父さんが所用でこちらへ来るとき西表島から連れてきてもらいました。こちらでの治療は4回でしたが、レントゲン写真の治療前と後で、左鎖骨骨折による体側の変形が回復したのは明らかでした。 

 11年前、タケル君が保育所で友達とぶつかり、左右の前歯がグラグラになってしまいました。歯科では脱臼というそうです。実はお母さんが第3子出産のために帰省した折、ついてきたタケル君の歯の状態に気が付いたのです。永久歯が映えるのにはまだ3年前後あり、損傷のひどい左前歯は抜歯するか、自然に抜け落ちるのを待つつもりのようでした。
 日曜日の早朝で非常識を承知のうえで、川越の清水町須藤歯科医院に電話して、診察をお願いしました。急きょレントゲン撮影をして診察してくださいましたが、歯の脱臼の整復は受傷直後でなければ不可能なことは歯科の常識だそうです。

 ほかならぬタケル君のこと、私は何とかならないかと思いながら圧してみました。下腹部に「あれ、耳鼻咽喉科に異常が?」と思うような張りがいくつもありました。ミズオチの張りも上腹部全体に広がっており、受傷から2ヵ月半も体が頑張ってきた印象を強く受けました。
 指圧が有効な手ごたえがあったので、時間を作って十数回施術。歯科医院での2回目のレントゲン写真撮影と診察を受けると、左前歯の根は溶けてなくなったままで、歯はきれいに征服されていました。その後も治療を続行。ある日、指圧に行こうと促されましたが「僕テレビを見たいから行かない」。結局この日で乳歯脱臼の治療は終了しました。 

 これだけではありません。体に異常がない時も、毎年の夏はお母さんの実家に泊まり、指圧治療院に何日か通って来ます。何かあるたびに、指圧で対処したことが多かったので、彼は小学校の卒業文集にも、「将来、指圧師になりたい」と書いたほど。その気持ちは今も変わっていないようです。 

 前置きが長くなってしまいました。
 タケル君は今、石垣島の高校生になっています。部活は自転車部に入って活躍し、去年の新人戦では有望株と目されて、新聞にもずいぶん出ていました。沖縄地方(石垣島含む)は自転車レースがとても盛んで、優秀な選手を輩出しています。タケル君も自転車三昧の生活を送っているようです。若い時に、打ち込めることがあるのは素晴らしいことです。周囲の人々は、私も含めて、心からエールを送ってきました。
 そのタケル君がレース中、なんと! 落車事故に遭い鎖骨を骨折、負傷したというのです。 

 57日、沖縄で行われた自転車レース「チームパシュート」という3名のグループで走る競技で、他のチームの先頭が交代する時に、落車した選手に巻き込まれてしまいました。彼は今回「1人トライアル・1㎞の部」で好成績を狙っていたので、とても残念だったと言ってうなだれていました。
 タケル君の状態は、左鎖骨の単純骨折です。直ぐにも行きたい気持ちを抑え、川越行きの日程だけを直ちに52829日の両日と決めました。骨折から3週間です。私も細心の注意を払って圧しました。寝返りができない向きがありましたが、圧すごとに体幹がゆるんでいくのが見えて、いくのが不思議でした。 

 1日目の指圧時には、右肩を下にして寝ることができないので、姿勢を工夫しながら圧しましたが、納得できる効果を得ることができました。彼も、はるばる来た甲斐があったと感じていたようです。
 翌日の指圧の後、彼は「もう装具は、いらない」「これ、洗えなかったから臭いが凄くて」 と、楽になったことを喜んでいました。何かの縁でしょうか? 赤ちゃんの時から、なぜかことが起きると、いつも指圧で解決してきたのです。
 骨折後、いつ圧すかを慎重に考えて、日時を3週間後と決めたのが、当たりだったと思いました。指圧を受けたタケル君が、素晴らしさを一番実感していることでしょう。



痛々しい装具で、骨折した箇所を保護していた


1回目の指圧で、「なんか楽になってきた」。
でも、まだまだ右肩の肩幅が狭いのです



翌日、2回目の指圧のあと「これ(装具)もういらない。すごく
汗臭いんだ!」。肩幅は左より広いぐらいまでに回復しました


「学期末のテストが終わったら、また来たいな」。よかったね!

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