「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

がん患者の施術で、親子の絆を再確認

2007年09月18日 | 素晴らしい指圧効果
  当治療所のスタッフNさんは、患者Oさん(女性23才)を担当していますが、彼女はすっかり指圧のファンになりました。
  圧すごとに体調が改善して、楽になっていくので、とても喜んで通っています。そこで、「癌で苦しんでいる父親にも指圧を」と考えたようです。

 「このような状態ですが、指圧は有効ですか?」

  お父さんの状態を彼女から詳しく聞きました。病状が重いほど、基本指圧を正しく施術すると、体が楽になるのが分かります。そのことを話して、たとえ一時でも楽になってくれたら、という希望だったので、私がお手伝いさせて頂くことにしました。
  ただ予約がつまっていて、空き時間がありません。近所なので、キャンセルがでたら電話をする、ということで了解してもらいました。

  偶然Oさんの予約と同時刻私に空きが出たので、さっそく親子で来院してもらいました。お父さんは、両手に持った杖に身体をあずけきって、かなり辛そうな、重い足の運びです。左腸骨の腫瘍が、曲者だそうです。
  転移癌らしいのですが、原発が見つからないというのです。十分な検索にもかかわらず、転移巣のみが判明し、原発巣が不明な癌です。この6年間、放射線と抗癌剤の繰り返しで、なんとか抑えているということでした。
  指圧開始時、ご本人は「こんなにひどかったら、1回位圧してもどうにもならないでしょう?」と、指圧に対して疑心暗鬼でした。
 
  仰臥位と座位しか圧せない状況で、しかも同じ姿勢は辛くて短時間しかできません。患者さんの感覚に聞きながら圧し進めました。圧すごとに状態がかなり変わってくるのを感じます。疑心暗鬼は、じきに信頼に変わり始めました。

 「楽だ、まるで魔法の手ですね。明日も来ていいですか?」
 「すみません。今月は今のところ空きがありません。空いたらすぐに電話します」

  50分ほどの施術時間でしたが、この方が楽になっていくのが、圧していてよく分かりました。
  お父さんには、娘さんの施術が終わるまで待って頂きましたが、その間2度の排泄があり、トイレへ行くにも足の運びがどんどんよくなっていくのです。ご本人も回りで見ていた人も目を見張りました。
  圧して癌が治るわけではありません。ただ、たとえ一時でも楽になってくれたら、と誠心誠意圧させて頂きました。

  娘さんの施術が終わり、喜んで一緒に帰られる後ろ姿を見送りながら、Nさんが「親子っていくつ(何歳)位までつながっているものですか?」 と感動した顔で話していました。圧していて、お父さんが楽になっていく様子に、娘さんの体調がすごく反応していたと驚いています。
  特に親子と限らず、家族に重病人を抱えていたら、「なんとか少しでも」との想いは切実でしょう。楽になって喜んでいるお父さんの様子に、「連れてきてよかった」との思いがOさんの身体に表れたのか、彼女にもいつもより高い治療効果を生んでいました。

  その人にあった圧を自然に加減できる、基本指圧の素晴らしさを実感した治療でした。まだまだ課題山積(さんせき)ですが、まずは、そこそこ納得のいく治療であり、Nさんにとっても、机上では学ぶことのできない貴重な体験でした。
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