「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

指圧で炎症を抑え、外科手術を回避

2007年06月12日 | 素晴らしい指圧効果

  6月6日、少し遅い昼食を摂っていると電話がかかってきました。Nさん(43歳男性)からです。

 「今群馬の高崎の病院からです。昨夜から腹痛があり普通じゃないなと思って、会社の社長が知ってる病院で受診したんだけど、白血球が1万5千もあって虫垂炎と診断された。すぐに開復手術と言われているんです。切るのはイヤなんだけど、先生は盲腸治せる?」
 「できるけど」
 「じゃあこれからすぐ運転して帰るからお願いできますか」
 「わかった! とりあえず8時に来てください」
 「ハイッ! 今から帰ると4時半までには、家に着くと思います」

  とりあえず予約の仕事がすべて終わる8時としましたが、少しでも早いほうがよさそうなので、必死に時間の工面をして、6時に治療できることになりました。
  約束の時間の少し前、身体をゆがめてやっとやっと歩いて来たNさん。動くと腹部に響いて痛いそうです。少しの間も、痛みでじっと寝ておれません。よくこんな状態で運転してきたものだ、と本人自身が驚いていました。ただ切られたくない一心だったようです。

  いつも緊急で難しそうな仕事の時は、必ず鈴木林三先生の指導を受けることにしています。盲腸炎は、過去3回の治療経験がありましたが、
どれも1回の施術でクリアーできていました。この日は先生の定休日でもあり、どうしようかと迷ったのですが、やはり電話で状態を話して指導をいただきました。
  施術の手順、施術上の注意等伺った後、先生から次のような話がありました。

 「それは、1度じゃ無理かもしれない。近々、もう1回圧すようになるかもしれない。もし病院に行くようなら、行ってもらってもかまわないから」
  いつもの指導と少々違う言葉でしたので、耳の奥に残りました。

  右下肢からの施術開始ですが、痛くて姿勢をつくれないため、ちゃんと圧せる状態ではありません。そこそこ圧せるようになるまでに、かなり時間がかかってしまいました。
  うつ伏せで圧すことはまったく無理です。「ここまでかな?」と、ある程度の手応えを得るまで2時間かかりました。ご本人はずいぶん楽になって、「なんか腹減ってきたなぁ」「何か飲みたいなぁ」などと言い始めました。少しだけ痛みがまだあるけど楽になったと喜んでいました。
  腹部の緩みは、まだ正常とはいえません。「
とりあえず明日また電話をください」と言って治療を終えました。ところが寝る前にオレンジジュースを飲んだせいか、夜中の1時ごろから、激しい腹部の痛みで朝まで眠れなかったというのです。次の朝、一番で私に電話があり、群馬の社長から「憩室炎(けいしつえん=大腸の病気)の可能性もあるそうだから早く病院へ行ってくれ」と言われたそうです。
  ビックリです! 鈴木先生が言われた“近々”とは、昨夜1時過ぎだったようです。やはり病院に行くことになりました! スタッフ全員で“何で分かるの?”と不思議がったものです。
 
  後日、治療を受けながら先生に報告しました。それにしても何で様子を読めるのか、不思議なので聞いてみました。

  「頭で考えていないから――」

  そうか、感覚なんだ! 磨き抜かれた感覚は、すごい! 私は、実際に電話でやりとりしているので、なんとなく納得できます。今までも何度も同じようなことがありました。
  Nさんは憩室炎と診断され、その場で入院。状態がよかったので、外科手術をせずに絶食で点滴治療となり、その日の内に外出許可を得て挨拶にみえたのでビックリしました。
  命に係わるときは仕方がありませんが、できるたけ身体にメスが入ることは避けたほうがいいのです。その影響は身体中に広がりますから。
  昔、盲腸炎で開腹したら違っていて、切ったついでだから虫垂を取ったというケースがよくありました。今回がそれであったかどうかは分かりません。ただ、Nさんが元気を取り戻すための、お手伝いはできた気がしています。
  施術中、Nさんの身体がカーッとすごく発熱し、局部の熱が全身に散りました。これが2度あって局部の熱がとれたのです。

  緊張感が高まる仕事、嫌いではありません。それにしてもいつもながらの適切な指導、鈴木先生には心から感謝しています。


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