「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

“ 飲むときは、身体と相談して ”

2007年06月18日 | 素晴らしい指圧効果

  事業家であり画家でもあるM(69歳男性)さん、いつもにこやかで、素敵な紳士です。
  ところが16日の朝のことです。青ざめた顔色をして、見るからに具合が悪そうな身体を、引きずるようにして治療所に来られました。こういう状態の方は普通ではあまり指圧に来ません、病院へ行くからです。

  「どうしたんですか?」
  ビックリして聞くと、前夜は仕事で夕食が遅くなってしまった、ということです。

 「おまけにグラスが大きかったんです」
  冗談めかして言っていましたが、アルコールの摂取も過ぎたのでしょう。夜中の3時に、吐いて下して大変だったそうです。
 「まだ水を飲んでも戻してしまう」と仰っていましたが、顔色が悪くげんなりしています。ムカムカして気持ちが悪いのも、まだ続いているとのことでした。
  このようなときは、分かり切っているようでも念のため、鈴木林三先生に電話で指導を受けることにしています。さっそく状態を話しました。

 「気持ち悪いなら、うつ伏せで圧すのは様子を見てからにしたらいい。顔色や悪寒等への対応は、初めに上肢、そして下肢を圧してみなさい」
  先生の言葉として耳に入ってくると、不思議に自信をもって治療に向かえます。
  注意深く観察しながら圧してみますと、上肢を圧しただけで顔色がよくなりました。続いて下肢を圧し、右足が温かくなり始めたころ「悪寒がスーッと消えてきました」と言われ、全体に楽(らく)になった様子が感じられました。
  改めて“人間の身体ってすごいなぁ”と感心しました。上肢と下肢を圧しただけで、こんなに楽になれるのが不思議です。ついさっきまで、あんなに辛(つら)そうだったのです。
  でもとりあえず、うつ伏せで圧すのは止めて、腹部の指圧に重点をおきました。

  さすがにミズオチがかなり張っています。ゆっくり圧していく中に、“これならうつ伏せでも圧せそう”との手応えを感じました。そこで、うつ伏せになってもらって圧したところ、よく弛み、ミズオチの張りも取れました。満足できる手応えを得て、今回の治療を終えることができたのです。

 「このあと、お昼頃にぬるい白湯(さゆ)を少し含んでみて、大丈夫であれば、空腹感を感じた後に少しづつ食べてみてください」
 「いやー、スッキリしました。ここのところ、あんまり調子がいいので、つい飲み過ぎていましたから。いやー、楽になった! よかった、よかった」

  とても喜んで帰られましたので、その日のうちに一部始終を先生に報告しました。

 「まず上肢で神経的な疲労を取ってから、下肢で内蔵の疲れを取るから楽になる。それから全身を圧すことの効果は計り知れないものがある。この方、こういうことは前にもあったんじゃない?」
 「?? 指圧を始めて1年4カ月です。その当時は、好きなお酒もあまり飲めなくなっていて、指圧を受け始めてからは“また美味しく飲めるようになった”と喜んでいましたから、以前に同じようなことがあったかもしれません」

  すっかりご隠居さんのようになっていたMさんですが、今は新しい事業をつぎつぎに展開して、とてもイキイキしていらっしゃいます。すっかり若返ってしまい、指圧はどんな予定より優先して受けに来てくれます。
  さすがに芸術家だけあって、身体が弛むと、仕事やその他への発想が変わることが、よく理解できるようです。

  体調が悪い時ほど、指圧の有り難さを感じるものです。圧し手もその効果に驚きます。圧されるほうも楽になるのがよく分かります。また指圧愛好者が1人増えました。
  鈴木先生の適切なアドバイスには、いつもながら感謝しています。有難うございます。


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