以前、訪れたことがある田町駅近くの「港区立郷土歴史館」が「旧公衆衛生院」の中に移転したことを知り建物についての興味もあり訪れた。
最寄り駅である白金台駅で下車する。東京大学医科学研究所付属病院の案内板が大きく目立ったが隣が「旧公衆衛生院」である。前の通りが目黒通りで交通量が多いところであるが、旧公衆衛生院の全体は見えない。通路を下ると建物の全体像が現れる、思わず、まだこんな偉容な建造物があったんだ!!まさに迎賓館や東京駅の建物と同じレベルである。
日曜日2時から1時間程度の説明会があり参加した。設計者は、建築家・内田祥三氏で専門は建築構造学で防災、都市計画、文化財修復など業績を残し、1943年には東京帝国大学総長に就任、1972年には文化勲章を受章している。安田講堂も内田氏の設計であり、どことなく旧公衆衛生院と似ている。「内田ゴシック」といわれるデザインの建物を造ってきた。
内田ゴシックは、米国で広まったカレッジゴシック様式を基調とし本郷キャンパスに活かされている。
旧公衆衛生院は、昭和13(1938)年、米国ロックフェラー財団の支援・寄附のもと、国民の保健衛生に関する調査研究及び公衆衛生の普及活動を目的に国が設立し建築された建物です。構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1階、地上6階、塔屋4階となっており建設は大倉土木(現・大成建設)でした。
公衆衛生院は、2007年に用途廃止となりましたが、2009年に港区立鞆絵小学校(1991年統合により廃校)敷地と等価交換により港区所有となりました。改修にあたっては、歴史的建造物の意匠を生かし、耐震補強やバリアフリー化等の改修工事をしましたが、改修工事のコンセプトは、「保存と活用」で、どこを改修したかが分かるようにしているそうです。外壁にわざと改修したところのスジを残したり、バリアフリーでカットしたところをわざと残したり、改修ヶ所の見える化をしていました。
2018年に大規模改修が完了し、現在は郷土歴史館他の複合施設として活用している。
【旧公衆衛生院 建物見学のご案内】資料・・・ゆかしの杜