Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

「XO用WindowsXP」の実現

2007-12-07 22:00:55 | Technology

 途上国の「子供向け」として開発されたOLPCのXO、いわゆる「100ドルPC」ですが、「1台買って1台寄付」キャンペーンは非常に好調なものの、肝心の子供への配布は余り芳しい状況ではないようです。

 その理由は、同じようなコンセプトのPCに大手メーカーが続々と参入し、XOの市場、つまり途上国政府との交渉を荒らしているということです。Intelは「ClassmatePC」、ASUSは「EeePC」をそれぞれ開発し、各国政府と交渉。XOを蹴ってそれらの導入を決めたところもあるとか。

 Linuxスキーの人や、FreeSoftwareFoundationの人には申し訳ないですが、最大の問題はやはり、ディファクトスタンダードであるWindowsが搭載できないところにあるようです。IntelのClassmatePCは元々WindowsXP搭載前提ですし、ASUSのEee PC用にMicrosoftはカスタマイズ版WindowsXPを用意し、大量導入には格安で答えているとか。PCリテラシー教育を目的とするならば、理想とかお題目よりも、現実的なシェアと実用性を考えた場合、デスクトップ環境としてマイナーなLinuxよりも、圧倒的に一般的なWindowsを選ぶのは必然と思われますので、導入を蹴った政府の判断は客観的に見れば「正しい」と言わざるを得ません。

 必ずしも利益中心で事を進めてこず、且つ、XOを世界中の子供に配布することだけを目的に邁進してきたOLPCがこのまま埋没してしまうのはあまりに惜しい、と言うか不憫です。しかしながら、Microsoftが一時敵対してきたこのプロジェクトをも、自社のプラットフォームとして取り込むべく進めてきた「歩み寄り」が身を結びかけていることで、このような状況が変わるかも知れません。

Microsoft,発展途上国向け教育用ノートPC「XO」に軽量版Windows XPを提供へ ITpro

 米Microsoftは,発展途上国の子供向け低価格ノート・パソコン「OLPC XO」用として,軽量版「Windows XP」の限定的な実地試験を2008年1月に実施すると発表した。問題が発生しなければ,XO用Windows XPを2008年下半期より提供する。

 XOは,非営利団体One Laptop Per Child(OLPC)が発展途上国の子供1人ひとりに配布しようとしている教育用ノート・パソコン。LinuxベースのOSを採用している。 MicrosoftはFlashベースの軽量版Windows XPをXOに供給する計画だ。

 ついこの間、「開発している」という発表があったので、このリリースの早さには個人的に驚きました。あと、Flashベースというのが「フラッシュメモリ動作」ではなく「Adobe Flashベース」とあり得ない勘違いをし、一時混乱したしたのはここだけの秘密。

 これによってXOは、他社製プラットフォームと同じステージに立てるだけでなく、クランク式充電器やツインロッドアンテナによる無線LAN、デュアルモードディスプレイなどの他社には無い「個性」を大きな武器に出来る可能性があります。改めてXOの躍進と、ひいては日本での展開にも期待です。ついでにASUSのEeePCにも期待しておきますけど。

 今回の話は、要約すれば「シェアは力」と言うこと。ディファクトスタンダードはやっぱり強いってことですよ。今後、導入コストだけを考えて「学内全部Linuxに」とか考えている中堅大学なんかは再考をおすすめします。・・・あと、日本政府とかね。