Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

光ファイバーの速度を1000倍以上にする新たな通信技術

2011-03-15 23:59:59 | Technology

 大地震などの災害に直面したとき、必要なのはとりあえずでも衣食住。そして、正確な情報です。友人が宇都宮にいるのですが、震災後に電話したとき「ラジオは重要だ。電気が止まって真っ暗な中、ラジオの情報は何よりもありがたい」と言っていました。・・・どこにあったっけか、ラジオ。

 テレビやラジオ、そしてインターネットで末端に伝えられる情報にしても、それを伝えられる基盤となっているインフラは光ファイバーでしょう。大量に、早く、そして安定して情報を伝達するために、ワイヤードの通信手段の重要性は揺るぐことはないでしょう。
 その通信手段を大幅にアップグレードするという、今後をにらんだ技術が発表されました。

1000倍以上の通信速度実現にも期待、光ファイバー1本で109Tbps(1秒間にDVD約2900枚分)の伝送に成功 GIGAZINE

独立行政法人 情報通信研究機構のプレスリリースによると、同機構はオプトクエストと住友電気工業と共同で、新型の光ファイバー1本で今までの世界記録である毎秒 69.1テラビットを大きく超えた毎秒109テラビット(=毎秒13.625テラバイト、4.7GBのDVD換算で2899枚分)の信号伝送実験に成功したそうです。

 この技術のキモは、情報を伝達する部分である「コア」と呼ばれる芯材を、現行の「光ファイバー1本につき1本」を7本にすること。単純に通信量は7倍/本になり、7本になることで別の通信技術と組み合わせることができるようになったため、通信速度が従来の1000倍に増強できると言う事らしいです。
 要するに、通信できる芯材を単純に増やしたと言う事なのですが、

「それぞれのコアから漏れた信号が干渉しあう」「ファイバの結合時にコアがずれる」といった技術的問題が解決され、7コアを実現しています。

という、技術革新があったようです。

 今後もますます、信頼できる高速度の通信技術は必要性が増していくことでしょう。クラウドの利用が増えていくならばなおさらです。その基礎となる技術故に、今後の普及具合に期待してしまいますね。


Webビデオの変革・・・やっぱりH.264がスタンダードか?

2011-03-03 20:59:08 | Technology

  世の中ではiPad 2が発表され、タブレットの世界では凄まじい早さで世代交代が進んでいますが・・・こっちの世界でも、事態は思った以上に早く進行しているようです。

 Webでのビデオコーデックシェアの63%がHTML5対応になったそうです。もうちょっとFlashビデオが持ちこたえると思ったんですけどね。

Webビデオの63%がHTML5対応になった TechCrunch

HTML5に準拠したビデオを採用するビデオWebサイトやビデオプレーヤーが急速に多数派になりつつある。今日(米国時間3/1)、ビデオ検索エンジンMeFeediaがリリースした調査結果では、同エンジンのインデクスにある3000万のビデオの63%がHTML5に対応している。

 やはりYouTubeが採用したのが大きかったんでしょうかねえ・・・大手はこぞってHTML5対応に鞍替えし、それに中小のサイトも追従するという動きが加速しているようです。また、IEやSafariといったディフォルトブラウザがいち早く対応したことも採用障壁を押し下げた要因の一つでしょうね。

 ところで、このHTML5対応コーデックのほとんどは、Googleの推すWebMではなく、言わずと知れたH.264です。Googleが要らない横やりを入れてきたことで、今後しばらくはFlashの天下が続くのか?と思っていましたが、思った以上に移行(と棲み分け)はスムーズに進んでいるようですね。このままH.264が天下を取ったなら、一社が全てを握ってしまうようなフォーマットでもないですし、ユーザーとしては楽で良いんですけどね。

 逆に、今後WebMはどうなってしまうのでしょうか?Chrome OSやAndroidではWebMしか使えないという、Apple式の囲い込みをするとか。Google傘下のYouTubeのビデオを全部WebMでエンコードし直して、他のビデオを排除するとか・・・出来そうですけど、やったらネガティブキャンペーン以外の何物でも無いですよねえ。

 さて、Googleはどう動くのでしょうか?そして、その他H.264関連企業はどうしていきたいのでしょうか?


「板ばね」でコンピュータ?

2011-02-23 23:59:59 | Technology

今目の前にあるPC・・・だけではなく、携帯電話にテレビ、レコーダー、果ては掃除機や炊飯器まで、最近の家電にはほぼ集積回路が搭載されています。

これらは、半導体で作られた微細なトランジスタ等の電子素子を組み合わせて、様々な機能を実現しています。具体的にはAND、OR、NOT等の論理ゲートを組み合わせ、複雑な計算処理を行っているのですが、極論すれば、別に半導体を使ったトランジスタを使わなくても、論理ゲートさえ作ることが出来れば変わりに使うことが出来るのです。珍しい例としては、水を使った回路なんてのも存在しますし、電気の代わりに光を使った回路が将来的に有望だと言われているようですね。

さて、今回紹介するのは、半導体の代わりに「板ばね」を使うという、何とも荒唐無稽に聞こえてしまう画期的な新技術です。

マイクロマシン技術を用いたデジタル演算の新しい手法を開発 NTTニュースリリース

通常のコンピュータでは、最も基本的な論理演算であっても複数のトランジスタが必要ですが、今回NTTの物性科学基礎研究所が開発した手法では、マイクロマシン技術を用いて作製した厚さ1.4µm(ミクロン:1ミクロンは100万分の1メートル)という微細な板バネ素子をたった 1個だけ使い、周期的な電圧を加えて発生させた約10 nm(ナノメートル:ナノは10億分の1)の微細な板バネの振動に複数のデジタル情報を異なる周波数を用いて入力する事で、複数の論理演算を同時に実行することに成功しました。

技術の内容を見ると、正直「!」な内容が多いですが・・・いや、本当に画期的なんですよ。

要するに、半導体の論理ゲートの場合は「電圧」、電気が来ているか来ていないかで入力を制御していましたが、この板ばねの論理ゲートの場合は信号の入力を周波数で行っています。例に出されている、AND、ORゲートの動作例についてを確認すると、入力された二つの周波数について、両方とも入力されたANDの時、片方だけでも入力されたORの時に特有の周波数が出力されています。・・・これだけでもANDとORの二つの論理ゲートを一つの素子、しかも板ばねで実現しているという結果なんですけれど、恐ろしいことに、

今回開発した手法では、新たな周波数振動を次々と作り出すことで、20個以上のトランジスタを複数連結した複合論理回路と同等の演算機能を、たった1個の板バネ素子で実現しました。

なんてことも出来るそうです。むしろ周波数制御に大きなリソースが食われそうな気もしないでもないですが、将来に期待が持てそうな技術ですよね。

まだ基礎研究の状態ですので、製品化までには時間がかかるでしょうが、こういうニュースは、まだまだデジタル分野には伸びしろがある事を示しているようで、なんというかうれしいですね。


未来を変えるか?「塗って焼く」太陽電池

2011-02-09 18:33:42 | Technology

家庭用太陽電池が急速に普及しているみたいですね。屋根を見上げると、所々に黒っぽいパネルが乗っかっています。

設置した後はCO2を一切出さず、ランニングコストもほとんどかからない太陽電池。太陽光さえあれば発電し続けられるその性質から、次世代エネルギーとして大きく注目されているところです。
ただ、今も昔も変わらない問題なのが、その製造コスト。いくらクリーンで低コストなエネルギー供給源とは言え、製造コスト故に初期導入費用が高く付くとなると、なかなか採用まで至らないのが悩みどころです。

ところが、その製造コストを大幅に引き下げることが出来る新技術が発表されたのです。

コスト3分の1「塗る」太陽電池 北陸先端大・JSRなど 日本経済新聞

開発したのは、汎用品として普及しているアモルファスシリコン太陽電池の新しい製造技術。高分子のシリコン水素化合物を有機溶媒で溶かして3種類のインクを作った。ガラス基板の表面に3種類のインクを塗り、セ氏400度で加熱すれば太陽電池になる。現段階では太陽光を電気に変える変換効率が低く、今後改良を加える。

液体シリコンを塗ったあと、表面を焼いてやれば太陽電池が出来ると言うのですから、実に画期的。製造設備の簡略化や原料使用量を低減出来るようですが、製造設備の大規模化にも寄与しそうですね。

多少変換効率が悪くても、例えばこういう大規模発電施設を作る場合、十分に面積を使うことでカバーできる場合もあると思う訳ですよ。洋上に浮かべてみるとか、砂漠に敷き詰めてみるとか、効率よりもむしろ生産能力とコストを武器に、そういう用途に使っていけないものでしょうか。

資源が乏しいと言われている日本ですが、有り余る海洋面積と、降り注ぐ太陽光を資源に変えることが出来る可能性のある今回の技術。個人的には期待しています。


IPv4、ついに枯渇

2011-02-01 22:17:10 | Technology

今から20年前くらいに流行ったフレーズ、「石油は後10年でなくなる」。結果はご存じの通り、未だにアラブ諸国はオイルマネーでブイブイ言わせており、私たちは車にガソリンをゴクゴク飲ませ続けています。プラスティックもなかなか決定的な代替材料が無いですしね。

まあ、当時の試算よりも多かったとか、当時に比べて節約しているとか色々理由があるとは思いますが、石油に比べ、こちらは当初の目論見よりもずいぶんと早くなくなってしまいました。

IPv4、IANAの中央在庫がとうとう枯渇 ITpro

IANA(Internet Assigned Numbers Authority)は現地時間の1月31日(日本時間の2月1日未明)、自由に割り当て可能なIPv4アドレスとして最後に2つ残っていた/8ブロックをAPNICに割り当てた。これにともない、IPv4アドレスの中央在庫が実質的に枯渇したことになる。

これによって、明日からIPv4の運用が大きく制限されると言うことはありません。しかしながら、今後、新規事業者や事業の拡大に伴う、新たなIPアドレスの取得が大きく制限されるのは間違いなさそうです。

ちなみに、今回の枯渇で今後起こることについて、たぶん一番詳しく解説しているのがこちらのページ。

Geekなぺーじ:IPv4アドレス枯渇 その意味と恐らくこれから起きること 毎日jp

これによると、IANAが在庫の元締めで、世界各国を5つの地域に分け、それぞれのRIR(Regional Internet Registry)が、ARIN(北アメリカ)、LACNIC(南アメリカ)、NCC(ヨーロッパ・西アジア)、AfriNIC(アフリカ)、そしてAPNIC(アジア・オセアニア)がIANAから割り当てられたアドレスをさらに国ごとのNIR(National Internet Registry)に割り当てるという階層構造を取っています。RIP、そしてその下位のNIRにはまだ在庫があるので「明日にもIPアドレスの新規発行が停止」という事態にはならない様ですが・・・なんでも、日本も管轄下にあるRIR、APNICが一番はやく在庫を使い果たすとか。

そりゃあ、ARINなんてアメリカとカナダだけ、AfiNIC管轄のアフリカはそもそもインターネットの普及率が少ないし・・・APNICは日本や韓国だけではなく、中国、インド、インドネシアという爆発的な人口を誇る国が目白押し・・・なんでも後数ヶ月で割り当てを使い切るらしいですよ。

ならば、それを逆手にとって、なんだか遅々として進んでいるように見えないIPv6の普及を、日本発で大きく進めるような施策がとれないものでしょうか?逆に遅くなるとか、機器の対応の問題など色々ありますが、そういうのはお上が・・・えーっと、ISPの皆さんがIPv6を利用すると安くなるとかのサービスをはじめれば、徐々に普及していくはず。家庭内のルータやハブについても、各社が足並みを揃えて対応機器を増やしていけば、元々テレビなんかよりもずっと早いサイクルで買い換える製品のことですから、5年もすれば家庭内の機器が入れ替わるのではないでしょうか?

まあ、末端ユーザーにはあんまり関係ない・・・というか、実感が湧かない話とは言え、これまでの周知にも色々と問題があったのではないか?という思いはぬぐえませんが・・・ソフトバンクがYahoo!BBをやったときのように、価格攻勢をもって乗り換えを訴えれば、不景気の今、結構な速度で機器が入れ替わると思いますよ。ISP各社やNTTにとっては、早めに手を打っておいた方が後の痛みが和らぐ問題だと思うんですけどね。

 


全国のFMラジオが聴けるLISMO WAVE KDDIがサービス開始

2011-01-25 20:23:56 | Technology

以前にも言いましたが、私の自宅は、屋内ではラジオが入らない・・・もしくはとても入りづらいです。なので、必然的にラジオの出番は少なくなり、今現在、すぐに聴き始められるラジオは無い状態が続いています。車のラジオで楽しそうな番組を聴いていても、ドライブが終わればそこで終わり・・・ラジオライフとしてはあんまりよろしくありませんでした。

ですから、「インターネットがあればラジオが聴ける」というradikoには期待をしていたのですが・・・サイトにアクセスすると、無情にも「サービス地域外のためラジオを聴くことができません」との表示が。そう、まだ関東・近畿の都市圏しかサービス範囲になっていないのです。人口密度の高い場所でサービスインすれば、一気に人口カバー率を稼げるとかの理屈は分かるんですけど、あれだけ話題になったんだから、そろそろ他の地域にもサービスを提供して欲しい所です。

と、そんな風にradikoが足踏みしている間に、KDDIがラジオに関して正に革命的なサービスを開始するというのです。しかも、発表の次の日から!

KDDI、LISMOで民放FM52局が聞けるサービス ケータイWatch

今回開始される「LISMO WAVE」は、民放FM52局のFMラジオ放送を全国どこでも聞けるというサービス。3Gのパケット通信もしくは無線LANを利用し、楽曲情報などとともに聞けるほか、番組でかかった楽曲を購入することも可能。Twitterとの連携機能も用意されている。

ちなみに、全国のFMラジオを聴けるラジオチャンネルは月額315円と有料。しかし、52局の通常は聴けないような地方FM局の放送が聴けることと、3G・WiFiのエリア内ならクリアに聴けることを考えると、通常のラジオに比べても利便性は高いと言わざるを得ません。

KDDIの担当者は、

「radikoは、放送の延長で、難視聴地域向けに整備されているが、根本にはリスナーを増やしたいという思いからスタートしていると思う。私たちも同じだが、私たちは音楽にこだわってきた。FMはアーティストを育てるところだったが、今は聴取環境が狭まり、(FMを通じて)さまざまな音楽に触れる機会が少なくなっている」と、同社が繰り返し強調している“音楽に触れる機会の増加”を目的に挙げる。八木氏は「良い音楽を聞いてもらえれば、音楽を買ってもらえる。そういった行動につながる」

と、radikoとの違いと、自社の音楽サービスへのPRにもつながるというサービス提供理由を語っていますが、放送の延長であるradikoが出来ない、「放送エリア外へラジオ放送を持ち出す」という事は、本当に革命的な事だと思います。なんというか、放送の一つの枠組みが崩れた、歴史的な事業じゃないかなあと。

発表の中でCATVセットトップボックスへの波及も言及されていましたが、3G対応フォトフレームのような単機能デバイスとして、月額いくらで利用できるラジオ端末を作ったならそれなりに需要があると思います。3G回線じゃなくてWiFi専用、据え置きのみでもかまわないと思うので、商品化されたら面白いと思うんですけどね。

・・・さて、次はテレビの番でしょうけれど。海の向こうではHuLuみたいなサービスが生まれていますが、日本での夜明けは遠そうですよねえ・・・


ARM版Windowsの登場で変わる世界

2011-01-24 19:33:59 | Technology

先日、ARM版のWindowsの開発が発表され、ネットニュースでもいくらか話題になっていました。現在、x86の世界ではWindowsがシェアの9割を握る状況に変わりはありません。しかし、スマートフォンなどのモバイルの世界では、AndroidにiOSなどのARM勢が、モバイルノートを押しのける形で普及してきています。ハードウェア的にも、バッテリーの持ちが数時間がやっとのx86勢に比べ、コンパクトで長時間使えるARMが、スマートフォントとの相性も相まって一大勢力を築いていると言えるでしょう。

その状況下において、今までx86に落ち着きすぎていたWindowsが、ARMにも食指を伸ばすのは実に自然だと言えます。これらの逆境に対し、IntelやAMDなどx86メーカーがどのような対抗策を打ち出していくのかが大きなポイントになりそうです。

しかしながら、今回の話のキモはそういう点ではなく、Windowsが今後どういう方向性に進むのか?という話です。というのも、ARM版のWindowsでは、現在のx86版Windowsのネイティブアプリはほとんど動かないだろうと言われているからです。

そこでポイントとなるのが.NET Frameworksです。マイクロソフトが打ち出していたコンセプトとしては、.NETの登場によって、ハードウェアの区別無くプログラミングが出来る様になること。現に、XBOX 360のXNA Game Studioはそのコンセプトによって、Windowsと同じ環境で開発が出来る様になっています。

要は、Javaと同じで、ハードウェアの上にヴァーチャルマシン(VM)をのっけて、VM用の開発をすると言う事。VMさえそのハードウェアに対応していたならば、動かすプログラムは一つで良いと言うわけです。マイクロソフトは、ARM版とx86版のWindowsを繋ぐため、これまで以上に.NETを推進してくることになるんじゃないでしょうか?

・・・と、このような事が以下の記事にも書いてありましたが、私もほぼ同意見です。

ARM版Windowsで始まるx86対ARMのCPU戦争 PC Watch

最終的に、マイクロソフトは、全てのOSの開発環境をVisual Studioにしたいんじゃないか?とも思うんですよね。iOSやAndroidのソフトを、C#+Visual Stubio+Windowsで開発する。当然、x86版とARM版Windowsのソフトは共通の物が使える・・・邪魔なのはネイティブアプリですか。

Linux版の.NET FrameworksであるMONOもある事ですし、一つの開発環境を使えれば、全ての開発が出来る世の中が来る化もしれない・・・そう考えるとすばらしいかも知れませんね。


ARM版Windowsの登場で変わる世界

2011-01-24 19:33:59 | Technology

先日、ARM版のWindowsの開発が発表され、ネットニュースでもいくらか話題になっていました。現在、x86の世界ではWindowsがシェアの9割を握る状況に変わりはありません。しかし、スマートフォンなどのモバイルの世界では、AndroidにiOSなどのARM勢が、モバイルノートを押しのける形で普及してきています。ハードウェア的にも、バッテリーの持ちが数時間がやっとのx86勢に比べ、コンパクトで長時間使えるARMが、スマートフォントとの相性も相まって一大勢力を築いていると言えるでしょう。

その状況下において、今までx86に落ち着きすぎていたWindowsが、ARMにも食指を伸ばすのは実に自然だと言えます。これらの逆境に対し、IntelやAMDなどx86メーカーがどのような対抗策を打ち出していくのかが大きなポイントになりそうです。

しかしながら、今回の話のキモはそういう点ではなく、Windowsが今後どういう方向性に進むのか?という話です。というのも、ARM版のWindowsでは、現在のx86版Windowsのネイティブアプリはほとんど動かないだろうと言われているからです。

そこでポイントとなるのが.NET Frameworksです。マイクロソフトが打ち出していたコンセプトとしては、.NETの登場によって、ハードウェアの区別無くプログラミングが出来る様になること。現に、XBOX 360のXNA Game Studioはそのコンセプトによって、Windowsと同じ環境で開発が出来る様になっています。

要は、Javaと同じで、ハードウェアの上にヴァーチャルマシン(VM)をのっけて、VM用の開発をすると言う事。VMさえそのハードウェアに対応していたならば、動かすプログラムは一つで良いと言うわけです。マイクロソフトは、ARM版とx86版のWindowsを繋ぐため、これまで以上に.NETを推進してくることになるんじゃないでしょうか?

・・・と、このような事が以下の記事にも書いてありましたが、私もほぼ同意見です。

ARM版Windowsで始まるx86対ARMのCPU戦争 PC Watch

最終的に、マイクロソフトは、全てのOSの開発環境をVisual Studioにしたいんじゃないか?とも思うんですよね。iOSやAndroidのソフトを、C#+Visual Stubio+Windowsで開発する。当然、x86版とARM版Windowsのソフトは共通の物が使える・・・邪魔なのはネイティブアプリですか。

Linux版の.NET FrameworksであるMONOもある事ですし、一つの開発環境を使えれば、全ての開発が出来る世の中が来る化もしれない・・・そう考えるとすばらしいかも知れませんね。


PS3ハックで一般ユーザーにとばっちり Modern Warfare 2 オン対戦で

2011-01-18 18:48:35 | Technology

チート。ツールを使って、ゲームデータを改変したり設定を変更したりする事。
例えば、RPGで経験値やお金を大量に獲得したり、アクションゲームで攻撃力を跳ね上げたり、あるいは敵に攻撃されてもダメージを受けなくなったり・・・と、要するに「開発者の意図しない形でゲームを楽しむ」手段の一つです。

個人で楽しむ分には、プレイ時間の短縮に非常に大きな効果が見込まれますので、忙しいなら別に良いと思います。しかしながら、これが他人と一緒にやるオンラインゲームとなると話は別です。例えば、こんな風に。

PS3ハックでModern Warfare 2 オン対戦が混乱、パッチによる対応不能 engadget

Geohot らハッカーの手でプレイステーション3のセキュリティ機構を含む全システムが丸裸にされたことで、PSNを介した一般のオンラインマルチプレーヤーゲームにも影響が出ています。人気 FPSゲーム Modern Warfare 2 で報告されているのは、なんら改造や不正をしていないプレーヤーでも、通常のオンライン対戦を選ぶと不正な設定のいわゆる「チート部屋」に接続してしまい、まともなゲームが不可能になる問題。

今回の問題のキモは、「PS3に搭載されている暗号化システムが破られたので、ソフト側では対応不能」という点。ただ普通に遊びたいユーザーは、ソニーが対応するまで、自分のデータを危険にさらして果敢にオン対戦に飛び込むか、または信用できる知り合いとだけ遊ぶかを強いられることになります。

このような「オンラインゲームのチート」は、程度の差こそあれ、日常的に起きている事だそうです。が、今回の件については「ハードウェアメーカー側が用意した、安全であると保障されていた機構」すら信用できない事を暗に示したといえます。ちなみに同社は心の底ではソニーを信用していなかったらしく、

今回のような問題が発生しているのは MW2 や CoD4のような「レガシー」ゲームだけであり、すでに販売中の最新作Black Ops 以降はプラットフォームつまりPS3側のセキュリティシステムだけに依存しないことで、こうした問題が発生する可能性を低減すると述べています。

と、新しいゲームではすでに自前のセキュリティを組み込んでいる模様。オンラインゲームの開発負荷がますます上がってしまうようなニュースですけれど、日本勢の今後はどうなんでしょうか?


東芝の新しいCELL、CEVOが作る「次のREGZA」

2011-01-14 23:35:17 | Technology

CELLといえば、昨年はPS3に採用しているソニーよりも、むしろ東芝の方が、CELL REGZAにSpursEngine・・・そして、ソニーから買収したCELLの工場をまたソニーに譲渡した・・・と、色々と話題の尽きない一年だったように思います。

SonyのPS3のようなハードウェアを持たない東芝は、CELL REGZAによってテレビにインテリジェントな機能を持たせる方向性を大きくデモンストレーションしましたが、その路線は今後も継続していく、という決意表明であるかのような、新たなCELL REGZAの心臓部である新しい映像エンジン「CEVO」を発表しました。

東芝がCESで発表した新映像エンジン「CEVO」とは? CNET Japan

CEVOは、「CELL Evolution」を語源とする。2009年12月に発売されたCELL REGZAに搭載した「CELL REGZAエンジン」のDNAを受け継いだ新たな映像エンジンと定義されており、今後の東芝の薄型テレビ事業における大きな差異化ポイントになるものだ。

よりパワフルで汎用的なプロセッサをコンパクトかつ低消費電力で提供する、という理念を持ったCEVOは、従来のCELL REGZAのようなハイエンドの製品では無く、ミドルレンジの製品に搭載することを目標として開発されている様です。
それを踏まえて、4K(4000×2000ピクセル。フルHDの4倍)の高解像度の実現を前提としてCEVOが開発されていることに注目。もちろん、3D映像をフルHDで表示するためには表示するためには必要な措置(左右の目様にピクセルを割り振るので解像度が半分になる)と言えますが、それよりも2D表示でのより一層の高精細化がきがかりです。正直な話、ネット対応とかREGZAアプリとかはどうでも良いので、ミドルレンジに4K解像度のテレビが降りてくると言うのはすばらしく刺激的です。

今年地上アナログ放送が停波となり、テレビ需要が落ち込むと言われていますが、そんなときこそ、他社との差別化のために「最強の2DTV」なんていうのも良いんじゃないでしょうか?テレビに関してはソニーフリークの私ですが、CEVOの行方には期待してしまいますね。