こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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すべては君に会うためだった・・・2015年11月の読書記録

2015年12月02日 | 読書、映画、音楽、美術

謹訳源氏物語、全56帖、十巻読了。日本の歴史の一つであるこの大作を先月読み終えることができた。

読み終えることができたのは何よりもこの謹訳のおかげであるのは間違いない。原文ではないから訳者である林望氏の解釈が多少なりとも入り込んでいるだろうが、十分客観的な現代語訳だと感じながら、いいペースで読み進めることができた。

第一巻を手にとったのが6月。通勤の往復、出張などの移動時間に読んで、およそ半年。 読み進めるうち、私の人生観は少なからず変わった。

昨年来いろいろなことがあり、へこんでばかりだったが、あれもこれもすべては私が源氏物語を読むため、いや私が源氏の君と彼を取り巻く多くの登場人物たちに出会うために出来したことだったのだと思うことにすればいくらか気も晴れる。

自分を超A級男子の光源氏になぞらえることなどとうていできないが、源氏にも人生の浮沈があったと思えば、私の人生もこんなものかとしみじみと思う。

先日、源氏物語絵巻が修復されたという話をテレビで知った。その時の報道を見て、この本の栞に描かれている絵が源氏が薫を抱いているところだとはじめて知った。 これが、もう10巻にさしかかっていたところ。そして、こんな大ニュースとして報じられるのを見て、源氏物語が日本文化と不可分と言っても過言ではないほどものなのだと知った。

内館牧子の『十二単を着た悪魔』を読んだのは9巻を読み終えたところ。当時のことを知るのに、ちょうどいい参考書となった。宇治十帖に入る前あたりで読んでも面白かったかもしれない。

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1132ページ
ナイス数:113ナイス

謹訳 源氏物語 十謹訳 源氏物語 十感想
20代男性、匂宮程度の好き者珍しくない。浮舟との房事の下りは官能小説。当時の人はこの辺りさぞドキドキして読んだのではないか。薫は八の宮のことを姫君達よりずっと慕っていた。薫は同性愛者で、女性は性愛の対象ではないからあれほど淡白だったのではないか。すごい物語だ。一方、浮舟の物語を読むうち、ふと玉鬘を思い出す。今も昔も女性は男次第、それとも千年前から男性が女性を虐げていただけか。日本の至宝、源氏物語全54帖読了。光源氏と過ごしたこのおよそ半年で私の人生は大きく変わった。これも謹訳のおかげ。林氏に深く感謝する。
読了日:11月21日 著者:林望


十二単衣を着た悪魔十二単衣を着た悪魔感想
林望の謹訳源氏物語を9巻まで読み終え、いよいよ最終巻というところで、娘が参考書に買ったこの本に出会った。読み始めてすぐに引き込まれた。筋は原典に忠実で、面白い。孤軍奮闘する弘徽殿女御の姿は映画での編集長そのもの。源氏物語には400人以上の登場人物がいるから、各人の視点からそれだけの数の物語が書けてしまう。源氏物語は老女房が語っているという形式だが、ここではそれが雷君の回想。ここまで凝るとは、内館牧子の源氏物語への愛情が感じられる。そしてやっぱり光源氏が大好きなのだろう。感動のラストでは泣けました。
読了日:11月10日 著者:内館牧子


謹訳 源氏物語 九謹訳 源氏物語 九感想
薫と匂宮、それぞれのおじいさん頭中将と源氏に比べるといかにも残念。まあ、2人とも二十代半ば、恋の駆け引き今も昔もこんなものか。女三の宮の降嫁あたりから、物語がずっしり重くなっている。別の作者の手によるように思えてしまうが、全体のストーリー展開からこの物語は無くてはならなかったのだろう。裏を返すとこのことが、源氏物語の完成度の高さを示している。三世代もみれば、人の愚かさが繰り返されることがわかる。あれほどいじらしかった姫たちも、自分たちがたどった道を娘たちに歩ませる。いよいよ次は最終巻、大団円となるのか。
読了日:11月6日 著者:林望

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浮舟

何度か読み直したいけれど

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