こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

命を守っているという意識

2018年10月26日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

病理診断をしていて、少し難解な症例の診断書を書き上げ、やれやれと思ったあと、サインアウトする前にもう一度見直したらちょっと怪しい所見が出てきた。そんな時にそれをめんどくさいからとか、診断を始めてからずいぶん時間が経ってしまっているからなどという理由で診断を終わらせることはできない。

なぜなら、そんないい加減なことをしたらその患者さんへの治療方針が変わってしまうかもしれないからだ。考えていたよりも状況は悪くて、強力な追加治療が必要なのに少し軽いというような診断をしてしまったら、そのまま放置されてしまうかもしれない。逆もある。患者さんの診断に病理診断は重大な役割を持っているが、もちろん臨床医と協力して診断を進めているので、病理だけが暴走するということはないが、それでも患者さんは迷惑を被ることとなる。

免震や制振用オイルダンパーの検査データを改ざんしていたという報道を見て、いい加減な病理診断に通じるものを感じた。納期に間に合わせるため、なんてまったくの言い訳だ。できないならできない。それほど重大な仕事なのならば高い金をとって人を多く雇ってやらなくてはいけないという話だ。方向がどこでどう逸れてしまったのかわからないが、真実はいつか明らかになる。なんでそんなことがわからなかったのだろう。それが今回の会社だけではないということが深刻だ。私自身だって人ごとではない。上にあげたとおり、忙しいだのなんだのと理由をつけて、いつ"いい加減"の誘惑に襲われるかも知れない。病める人の命を守っているのだという気持ちを忘れず、真摯に仕事をしていきたい。

 

日本の劣化は底なし

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