こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

海外に出て見聞を広めることのすすめ

2018年10月25日 | 日本のこと、世界のこと

若い人の留学数が減っているそうだ。現実問題として資金不足で、海外に行きたくても行くことができないというのが最大の理由のようで、実際は留学したいと考えている人は少なくないようだ。「内向き志向」なんて言い方をするが、若者に海外に”行かせてあげる”ことのできなくなった大人=日本社会、の言い訳のような気がする。もう一つの理由として社会が若い人を急がせているということもある。人手不足からだろうけど、若者をどんどん囲い込んで、”のんびり”勉強する暇も与えない。人間の20代は見聞きすること全てが人生の糧であって、悪いこと以外ならなんでもしていい。海外留学なんて悠長なことを1年、2年やっていたらどんどん周りから取り残されてしまう、そんな空気を”大人=社会側”が醸成しているのではないか。

こんなことを考えたきっかけは、もちろんシリアで拘束されていたジャーナリストが解放されたという報道を見聞きしてで、”島国に住む日本人が海外に出て行くことの意義とは何か?”と思ったから。件のジャーナリストがずいぶん叩かれているらしいが、彼は『虎穴に入らずんば虎子を得ず』を地でいっただけで、ジャーナリストであれば”真実”という虎の子を得るには、紛争地域であっても危険を顧みずにそこに乗り込んで行かなくてはならないと考えたのだろう。そう考えた人を叩くのは、弱い者いじめに過ぎない。

危険の有無にかかわらず、なんにしてもそうだ。海を隔てているとはいっても、地球上にいるのは日本人だけではない。世界で起きていることは、テレビやスマホのモニターの中で起こっているのではない。難民にしても、紛争にしても、全ては地球上の同じ時間に生きている人間が実際にやっていることだ。無事帰国したら、拘束されていた期間のことをぜひ世に知らしめて欲しい。

一般の人は、危険な地域に足を踏み入れる必要はない。それでも、”日本以外”で起きていることを知る必要はある。でも、日本にはそのチャンスが少ない、というか、システムが無い。これから医者になろうという人にも留学のチャンスは少ない。医学部6年、初期研修2年、後期研修3年を終えたら、たとえ”現役”で入学しても29歳になっている。この間にお金を貯めて、1年でも2年でも留学して見聞を広めるということになるが、留学をバックアップしてきた大学医局が解体されつつある状態では、なかなか難しい。それでもやっぱり、ほんの少しでも留学するチャンスがあればその機会を逃さず海外に出て欲しい。

ものづくり大国、という評価が、自画自賛でしかなかったことは、大企業による相次ぐ偽装工作の発覚で明らかになった。いつの間にか日本国内でタコツボ化した企業風土がこうした風潮を生み出したということだろう。このことについてはこれまで何度か書いてきたが、不祥事は後を絶たない(日本企業の金属疲労 2018年03月01日)。海外で何が起きているのか、海外からだと日本はどう見えているのか、ということを知るだけでもずいぶん違う。海外に出て見聞を広めるということはとても大切なことで、そうしようとしている人を応援して、送り出すという気持ちが私たち年配の者には必要だ。

皆が日本代表

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