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『明治の津和野人たち:幕末・維新を生き延びた小藩の物語』 山岡 浩二

2023-01-15 21:36:17 | 


島根県西部の津和野にスポットを当てたなかなかにマニアックな本だ。なんで読もうかと思ったかというと、思想家である西周(にしあまね)について知りたかったからだったと思う。

筆者は生まれも育ちも津和野の生粋の津和野っ子。本には津和野の偉人が様々登場するが、中にはwikiの項目すらない人物もいる。しかし、そんな人物に対しても筆者はべた褒めでかなりの思い入れを感じることができる。

とはいえ有名無名にかかわらず歴史というのは面白いものだ。桑本才次郎いう有望な数学者が同僚に殺されるエピソードはなかなかに興味深く、歴史に埋もれさすには惜しいものである。

肝心の西周は大雑把なバイオグラフィに触れただけで、肝心の思想等には深く触れられていなかったのが残念だ。しかし、知識人として津和野の後進の育成の関わっていることから影響が大きいと言えよう。

もうちょい身近な話だと福羽逸人という人は農学者、造園家で日本で初めていちごの品種改良を行ったり新宿御苑の設計なんかもしている。現在栽培されているいちごも元をたどると、この福羽氏のいちごだったりするらしい。

また、津和野という土地はキリシタンが迫害されていた悲しい土地でもある。今でも乙女峠というところにはその名残があるらしい。ここには遠藤周作も訪れているらしい。本文では触れられてはいないが、『沈黙』へも影響しているのではと考えざるを得ない。

他にもいろいろな人物が取り上げられているが、避けては通れないのが森鴎外である。3章あるうちの1章をまるまる鴎外について取り上げているのでその思い入れが伺える。

しかしながら私は鴎外を一冊も読んだことがない。これはあかんなと反省して近いうちに読みたい。

以下の写真は2018年に津和野に旅行で行ったときの写真。ザ・地方の町という感じながら雰囲気は良くて気に入った。こうして本を読むと、もうちょい歴史を勉強していくと良かったな。何も津和野に限ったことではないが、歴史は知っておくべきだ。
森鴎外記念館は行こうとは思ったが閉館中だった。

駅に近い食堂のような店でダチョウ肉のカレーを食べるかマヨネーズラーメンどちらを食べるかはものすごく悩んだ。