ちょっとの努力で、本格的な水彩画を描く方法ってありますか?
トレース水彩画は最も簡単に本格的な水彩画を描けることを前提に開発された画法で、初心者も上手に描くために創られた画法ともいえます。
今回はその中でも特に簡単に描ける描き方をご覧ください。
どんな絵を描くにも、「(鉛筆等での)線描き」と「色を塗る彩色」の2つの行程で絵が出来上がることがお分かりだと思います。
従来の描き方では「線描き」では描きたいモノの形を決める行程ですから、それには正確にモノをとらえるデッサン力が必要のため、とても難しい行程となり、ほとんどの初心者はデッサンの壁で挫折してしまうのです。
しかしトレース水彩画ではこの工程は写真をなぞる(トレース)だけですから、初心者でも完璧なデッサンを描くことが出来、それほど練習しなくとも完璧なデッサンの「線描き」を描くことができるのです。つまり
絵はバランスですから、「線描き」が強ければ「彩色」を弱くすることで、調和が図れます。
トレース水彩画では「彩色」よりも「線描き」がはるかに簡単なので、線をしっかり描き、逆に彩色を軽くすれば、簡単にしかも上手な絵を描くことができます。
線描きのポイント
トレース水彩画では、線描きは簡単といいましたが、簡単であるものの絵の出来栄えを左右する重要な行程でもあるのです。
それではどうしたら魅力的な線が描けるのでしょう?
それは何よりもていねいにそして正確に描くことです。
心を込めて力強く描くといったほうがいいかもしれません(初心者の9割は線に筆圧がなく、弱すぎます)。器用さは必要ありません。
そのコツとして、たとえば「十」の字を描くとき、縦の線はしっかり描けますが横の線はスムーズでない場合、画用紙を90度動かせば、しっかりした線を描くことが出来るように、生きた線を描くことです。
私は描く内容、たとえば強いもの・柔らかいものにあわせて、線に強弱をつけることに心掛けています。
彩色のポイント
「簡単に彩色する」と前記しましたが、それはどんな描き方なのでしょう?
絵具をたっぷりの水で溶き、淡い色・薄い色にして描くことです。
原色ではなく色を混ぜて多少濁らして描いたほうが無難です。
そして最大のポイントは、極力塗らないこと、彩色の面積を最小限に少さくすることです。
どこを塗り、どこを塗らないかをどのように決めるのでしょう?
その決め方は、絵の「主役」となる部分はしっかり彩色し、「脇役」となる部分は淡く彩色し、それ以外は彩色する必要はありません。
その彩色も少し塗ってはしっかり絵の出来栄えを見、また塗っては見と、繰り返すなかで、「ここだ!」と判断して筆を置き、絵の完成とする勇気が必要です。
上の絵の主役となるのは船と漁師で、波は脇役として軽く塗りましたが、その作業行程については、ここをクリックしてご覧ください。
絵画教室では、初心者の方は彩色で苦労していますが、最初から画用紙全面に塗り残しなく彩色するのはちょっと難し過ぎるかもしれません。
そのため最初は「簡単な彩色」に心がけ、この行程を踏みながら、徐々に自分の描きたい方向に彩色を広げていくことが、上手な上達方法かもしれません。
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