近年、秋の抜けるような青空にめぐり合う機会がほとんど無くなってしまいました。大陸からの飛来物質としては黄砂が有名ですが、これは季節的なものでした。しかし最近は年がら年中、晴天でもどんよりと霞んだような日が多くなりました。空を飛んでいるとこのような気象現象には敏感になります。遠方の地上目標が見づらいと神経を使います。フライトを楽しむといった余裕は全くありません。ひたすら計器に頼って飛んでいるといった感じです。
その原因は、大陸からの大気汚染物質が飛来しているのではないかと言うことです。九州大学/国立環境研究所「化学天気予報システム(CFORS)」による黄砂・大気汚染物質分布予測なるものが公表されております。シミュレーション結果をみると一目瞭然です。そういえば、ここ数年は「光化学スモッグ警報」が出されていたという報道をよく耳にします。私が小さい頃は、夏場に毎日のように工業地帯では発生していた記憶があります。しかし、このところトンと聞いたことがなく、日本では死語になったものと思っておりました。
このような状況が続くと健康被害が気になります。日本でもかつて公害が発生し、大きな被害を招きました。この時には、国内問題であった訳ですが、今回のそれは国際問題と言えます。日本では公害問題を克服してきた経験と実績があるのですから、この技術を活用して新たな公害の発生を防止する手段を真剣に検討しなくてはならない時期に来ているのではないかと思います。