2年前の2017年1月に開催された日本共産党第27回大会決議は、「見過ごすことのできない問題点」として次の4点を指摘しました。(大会決定パンフ―15~17頁)
第1は、「核兵器問題で、中国に深刻な変化が起こっていることである」ー その特徴点について次のように指摘しました。
「変質が際立ってあらわれてたのは、2015年~16年の国連総会で、核兵器禁止条約の国際交渉を現実の日程にのせようという動きに対して、中国が、P5・核保有5大国の一員としてこれに背を向ける態度をとったことである。『段階的アプロ―チ』を主張し、核兵器に固執する立場に、公然と身を移した」「少なくとも核兵器問題については、中国はもはや平和・進歩勢力の側にあるとはいえず、『核兵器のない世界』を求める動きに対する妨害者として立ち現われている」
第2は、「東シナ海と南シナ海での力による現状変更をめざす動きである」
「東シナ海で、中国は、2008年12月、尖閣諸島の領海に初めて公船を侵入させるという行動をとった」「中国側にどんな言い分があろうと、他国が実効支配している地位に対して、力によって現状変更をせまることは、国連憲章および友好関係原則宣言などが定めた紛争の平和解決の諸原則に反するものであって、国際社会で決して許されものではない」
「南シナ海について、中国は、2009年、国連への提出文書で南シナ海のほぼ全域について自国の権利を公式に主張するようになり、とりわけ、2014年以降、南沙諸島での大規模な人工島の造成、3000㍍級の滑走路、レーダーサイトの建設など力による現状変更をあからさまにすすめている」「仲裁裁判所の裁定は、南シナ海水域に対する中国の独自の権利主張を『根拠がない』と退け、力による現状変更を国際法違反と断じたが、この裁定に対して、中国は『無効で何の拘束力もない』と非難している」
「国連憲章と国際法の普遍的に承認された原則に反して、自国の利益を第1に追求する態度は許されない」
第3は、「国際会議の民主的運営をふみにじる横暴なふるまいである」ー2つの国際会議でのふるまい
【その1】ー「2016年9月のアジア政党国際会議(ICAPP)―マレーシアのクアラルンプールで開催」
「『クアラルンプール宣言』の採択にいたる過程で、日本共産党代表団は、『核兵器禁止条約の速やかな交渉開始のよびかけ』を宣言に盛り込む修正案を提起した。 宣言起草委員会は、中国を含めて全員一致でわが党の修正案を受け入れることを確認し、総会最終日に参加者全員に配布された宣言案はわが党の修正案を取り入れたものとなった」
「ところが宣言採択の直前になって、中国共産党代表団は、この部分の削除を強硬に求め、削除されるという結果となった。 宣言起草委員会が全員一致で確認したことを最後になって一方的に覆すというのは、覇権主義的なふるまいそのもである」
【その2】-「2016年9月―非同盟首脳会議(ベネズエラで開催)」
「東南アジア諸国連合(ASEAN)は、最終文書案の南シナ海問題を扱った部分について、最新の情勢を反映させ、『非軍事化と自制』などを強調する修正を求めた。 しかし、それが拒否され、ASEANは採択された最終文書に保留を表明する事態となった」
「オブザーバーとして参加していた中国政府は、『非同盟運動は南シナ海問題を討議するのに適した場ではない』と断定」
「ASEANで中国との調整役をつとめているシンガポール政府は、この異例の事態に対して、『地域の項目を、地域グループが外部勢力の干渉なしに作成する重要な原則が尊重されなければ、非同盟運動とその加盟国の利益に反する』と厳しく指摘した」
第4は、日中両党で確認してきた原則に相いれない態度ーICAPP総会での中国共産党の態度
「日本共産党代表団は、中国共産党代表団に対して、修正案の内容が宣言に盛り込まれるよう、真摯に話し合いを求め、協力を要請した。 ところが、中国共産党代表団は、わが党の強力要請を、まともな理由をなに一つ示すことなく拒否したうえ、最後は『覇権主義』という悪罵をわが党に投げつける態度をとった」
「1998年6月、『日本共産党と中国共産党との関係正常化に関する合意』で確認してきた原則とはまったく相いれない態度である」
★ 「日本共産党と中国共産党との関係正常化についての合意」については、不破哲三氏の「日本共産党史を語る」(下)(280頁以降を参照下さい)
大会決議は、「中国にあらわれた新しい大国主義・覇権主義が今後も続き、拡大するなら、『社会主義への道から決定的に踏み外す危険』が現実のもとなりかねないことを率直に警告しなくてはならない」
「中国は、戦後、『平和5原則』(1954年)や『バンドン平和10原則』(1955年)など、国際政治の重要な民主的原則の形成に関与してきた国である。 それだけに、これらの原則の否定ともなる大国主義・覇権主義の誤りを真剣に是正し、国際社会の信頼をえる大道にたつことを求めるものである」