眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

大河ドラマの憂鬱

2019-11-15 18:09:22 | 忘れものがかり
そこに生きているのだ
と信じられていた
顔が
役者の顔に見えてきた
 
主人公に近い人物が
バタバタと死んでいく
12月の大掃除みたいに
急に慌ただしくなって
 
いなくなってしまっても
みんな帰る場所があるんだ
 
いいな
 
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あなたでなく、作品でなく

2019-11-14 23:33:00 | 【創作note】
漫才を見るのが怖くて
タブレットに向いている

映画を見るのが怖くて
うさぎの絵を描いている

下手だな
うさぎに見えないな
戸惑いながら
パレットをつついている


少しも
笑えなかったら…
感動できなかったら……

理由はこっちにあるのではないか

(何をみても心がふれないなんて)
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イージー日記

2019-11-13 20:18:00 | 【創作note】
いつから僕らは
日記を書きながら
読者の存在を
思い浮かべるようになったのだろう

上手に書こうとか
自分をよく見せようとか
よい人に思われたいとか
笑わせたいとか驚かせたいとか
(共感を誘おうとか……)

ああ なんだか疲れたな

「日記」くらいは
もっと楽に書けないものか
他人から映る自分などまるで気にせず
思うままに肩の力を抜いて
広告の裏にでもする落書きみたいに
書けないものかな

明日は きっと明日は
もっと楽に「日記を書くよ」
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評価値よりの飛翔

2019-11-12 05:07:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
あわよくば桂馬をぴょんと跳んでいく兎の棋士は振り飛車使い
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pomeraはpomera

2019-11-12 02:03:00 | 【創作note】
もしもpomeraでピアノが弾けたら
秋の虫たちと競演しなくちゃ

もしもpomeraでラグビーができたら
強いスクラムができるかな
何度トライを決められるかな

もしもpomeraで眠れたら
もうぐっすり眠りたい
工事が始まっても目覚めない
夏の分まで取り戻すんだ

もしもpomeraで海を渡れたら
カルチョの国へ行こう
向こうでのんびり暮らすのもいい

もしもpomeraでギターを弾けたら
あいつのエアギターを上書きしよう
オリジナル曲を作るんだ

もしもpomeraで猫を描けたら
猫を描きに遊びに行こう
何匹も何匹も猫を描こう
夜通し猫を描こうかな

もしもpomeraで踊れたら
猫もミイラも踊るだろう

もしもpomeraで魚を焼けたら
旬の秋刀魚が焼けるかな
一緒にご飯を食べようかな
残ったら猫にあげようかな


いつまで空想に耽っている?
pomeraが疑問を投げかけている

まだまだ続くよ

だって
pomeraはpomeraでしかないんだから

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ケミカル・ミルフィーユ

2019-11-11 03:20:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
ホエールの
目玉が踊る
恋しさは
ロンTからの
シンギュラリティ

「ほめ殺し」


縫いかけの
タペストリーに
奪われた
涙はラスト
キッスの海辺

「ヌタウナギ」


カルガモの
カルボナーラと
ミルフィーユ 
いまにときめく
シェリーを添えて 

「鏡石」


長編の
恋を封じて
春めいた
月夜に独り
解く詰将棋

「チョコバット」



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両替タヌキ

2019-11-11 02:50:00 | 夢追い
「5千円お預かりします」
 ん?
 何か妙な間があった。
 見つめれば1万円札だ。
 失礼しました。
「1万円お預かりします」
 客はいえいえという笑顔だった。
 1、2、3……。そして10枚の千円札を手渡した。
 それは見慣れないタイプ。少し前に出てあまり世間に流通しなかった1万円札に違いない。よく見ると札の端が5ミリばかり破れていた。念のためにそれを手にして事務所に持ち込んだ。支配人がいた。

「これ。少し破れてますけど……」
 ん?
 何か妙だった。
 見つめるとそれは玩具のようだった。
 しまった! やられた!
 あっ。あれだ。出てきます。

「ちょっと、これ!」
 客は偽物であると素直に認めた。
 返して!
「返す返す」
 男は小さな声で言った。(あとで返す)
 今すぐに!
「返す返す」
 ささやきながら、男は徐々に縮小していった。
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コーヒー&フリスビー

2019-11-10 10:26:00 | 【創作note】
フリスビーをくわえて戻ってきた犬
一跳ねしながらドッグフードを口に入れ
またすぐに駆けだしていく
犬にとってどちらが本編なのだろう
ずっと笑っているように見えるけれど



一編書き終えて
一口二口コーヒーを飲む
瞬間がとても好きだ
そのペースでいくと
一杯のコーヒーに
90分くらいかかってしまうから
だんだん冷たくなっていく
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オー!pomera

2019-11-09 13:46:00 | 【創作note】
もしもpomeraが水族館だったら
どこかに連れて行くこともできない

もしもpomeraが百貨店だったら
あちらこちらに行って迷子になってしまう

もしもpomeraが1万円だったら
両替機の中に吸い込まれてしまう

もしもpomeraが冷蔵庫だったら
自分一人では抱えきることができない

もしもpomeraが缶詰だったら
いつ開けたらいいのかわからない

もしもpomeraが傘だったら
僕よりも雨に打たれてしまう

もしもpomeraがアイスクリームだったら
僕を通って甘く消えてしまう

もしもpomeraが猫だったら
懐から滑り抜けて消えてしまう

もしもpomeraが重要文化財だったら
乱暴にタッチすることができない

オー! pomera
君はどうしてpomeraなの

君が君でいなければ

僕はどこにも行けないよ
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指さし数え歌

2019-11-08 15:47:00 | 短い話、短い歌
 王は最大の防御であったはずの攻撃をついに断念したようだ。城を明け渡し、小さな犠牲を甘受しながら、中盤を越えて、赤い国境を目指して逃亡の旅を続けている。欲を出して敵に捕まっては元も子もない。秩序ある陣形も、連携を重んじたスクラムももはや遠い過去の話。
「向こうに行ったら何もいらないよ」
「みんな変わってしまう。好きなもの、大事なもの、みんなみんな」
「あとは置いて行こう。行ける内に行かなければね」
「守るべきもの、教え込まれたもの、みんな意味がなくなってしまう」
「だけど、もう行かなくちゃ。これはゲームなんだから」
 馬が先に道を切り開く。金も銀も乱れながら、王の後に従って、未開の地へと流れていく。何層にも垂れた歩が境界を越えて、新しい金となって厚い防御網を築いていく。
「もう負けはない」
 王は確信の中で世界を見渡した。
 その時、遥か上空でナイトの数え歌が聞こえてきた。



最大の防御を歌う拳銃をゴミ箱に投げ目指す入玉
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パラパラマンガ

2019-11-07 22:56:00 | 忘れものがかり
窓の外に目を向けたまま
動かない
ミルクを何度か口にする

あくび
またたき
ためいき

条件次第で道を渡る人
立ち止まる人
振り返る人

目を閉じてもっと先をみる

私たちの一日は
ほとんど何も変わらないまま
ゆっくり前に時に後ろへ
よく忘れごく希に成長する

大きな時が流れ去ったあとで
何もなかった一日は
遠い人がパラパラとめくる
指の中で日々となって
筋書きになる

その時になって
私たちは物語の中に定められる
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家出飛行機

2019-11-06 16:42:49 | 自分探しの迷子
 狭苦しい自分の部屋には無数の逃げ場所がある。
 ノートを開いても何ページ進めるかわからない。罫線の先を追っている内に僕は気がついてしまう。そこにリモコンがある。扉がある。スイッチがある。スナックがある。シャワーがある。何よりもあたたかい布団がすぐそこにある。もしも一瞬でも誘惑に負けてそこに手を触れてしまったら、もう永遠の夢に向けて一直線さようなら。自分の弱さがわかっているから、僕はここを出なくちゃならない。逃げ場のないところへ逃げ出さなくちゃならない。
 逃亡の計画を練りながら部屋の中に縮こまっている私は震えが止まりません。リモコンが、コミックが、扉が、スイッチが、何よりもあたたかい布団が……。無数に存在する逃げ場所を置いて、私はどこにも逃げ場所のない世界へと逃げ出さなければなりません。一歩踏み込めば届いたようなバスルームが、今では遙か宇宙の彼方のように遠いのです。
 エアコンが息を吐き切った後で静かになった。リモコンの背中を開けて新しい乾電池を入れる。それでも駄目。換えても換えても換えても換えても、吹き返さなくなったエアコン。家中の乾電池はみんな古いガラクタで、それは室温を突き抜けて人生の評価値までも急激に降下させてしまうのでした。
 キッチンの片隅に積み上げられた無数の缶詰の中に含まれているのが、私という存在です。この先誰が、私を見つけることがあるでしょう。私を私と証明する手立ても持てず、開かれた瞬間の世界を受け止められるよう、心の準備だけはしておこうか。なんてことを想像しながら、私は逃げ場のない世界へ逃げ出すことにさえ恐れを抱き、言い訳ばかりを探しているようです。
 
 恐れが狭い室内で飽和に達した時、俺はドアを蹴り破って自分の中から飛び出した。広さはさほど変わらない。
 小さなコックピットの中が、今は俺の居場所になっている。
 世の中に出て行くということは、社会という翼を背負うことだ。
 俺はもう戻れなくなっていた。
 命が欲しければ飛び続けなければならない。
 未来が欲しければ飛び抜けなければならない。
 そんな空の中に俺は浮いていた。
 
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時の不思議

2019-11-05 03:44:00 | 忘れものがかり
今では考えられないことだが
人生は果てしなく長いもののように
感じていた
午前は長く
午後はもっと長く
1日遊ぶならその内にさえ
起承転結があった
大人になるというのはずっと先だし
その先のことは
まるでおとぎ話のように思えた

蔵の中に閉じこめられた時間は
止まってしまったようだった
(ぼくは何をしたというのだろう)
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走り出せたら

2019-11-04 10:31:00 | 【創作note】
走り出したら
徐々に自分らしくなる
走っている内に
完全に自分になっている

「いつでも走り出せたら」
だけど
どうしても走り出せない時がある

走っていない時の自分は
もう一人の別の自分だ
走り出した時の自分からみれば
それは自分ではない

自分でない者が
自分を封じ込めている

静かなる未熟者が

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「冴え」短歌

2019-11-03 10:39:00 | 【創作note】
 起きたい時に起きられず、眠りたい時に眠れない。自分の意思とは反対にそいつは動いているようだ。眠ろうとして眠れないのは苦しい。何度も何度も試みる内に、もう眠れないのだと自覚する瞬間がある。(ああ。今は眠れない時なのだ)睡魔の子分も気配も見当たらない。完全に冴えきっている。
 その時、その「冴え」を使って歌を作ることを覚えた。睡魔に打ち勝って何かを作ることは困難。ならば睡魔がみえない時間は一つの機会とも取れる。筋書きを組み立てるような体力はなくても、生み出せる何かはあるのではないか。
 眠りたいという願望と眠れないという悟りの間に生じた「冴え」の中にいくつもの歌が生まれた。その時は意味なんて一つも望んでいない。あるいは歌の誕生こそが意味なのだ。おかしな歌がいくつも生まれた。眠りへの挑戦とあきらめの代償に、いくつもの歌を作り枕元に残した。少しだけ苦しみが和らぎ、罪悪感が薄れていった。歌うことによって眠らない時間が、許されているようだった。歌うにつれて「冴え」も徐々にすり減っていった。(もっともっと歌うよ)歌はぼんやりと浮かびかけて散っていく。使い果たした「冴え」の向こうにようやく睡魔が帰ってくる。もう少し、もう少し……。

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