起きたい時に起きられず、眠りたい時に眠れない。自分の意思とは反対にそいつは動いているようだ。眠ろうとして眠れないのは苦しい。何度も何度も試みる内に、もう眠れないのだと自覚する瞬間がある。(ああ。今は眠れない時なのだ)睡魔の子分も気配も見当たらない。完全に冴えきっている。
その時、その「冴え」を使って歌を作ることを覚えた。睡魔に打ち勝って何かを作ることは困難。ならば睡魔がみえない時間は一つの機会とも取れる。筋書きを組み立てるような体力はなくても、生み出せる何かはあるのではないか。
眠りたいという願望と眠れないという悟りの間に生じた「冴え」の中にいくつもの歌が生まれた。その時は意味なんて一つも望んでいない。あるいは歌の誕生こそが意味なのだ。おかしな歌がいくつも生まれた。眠りへの挑戦とあきらめの代償に、いくつもの歌を作り枕元に残した。少しだけ苦しみが和らぎ、罪悪感が薄れていった。歌うことによって眠らない時間が、許されているようだった。歌うにつれて「冴え」も徐々にすり減っていった。(もっともっと歌うよ)歌はぼんやりと浮かびかけて散っていく。使い果たした「冴え」の向こうにようやく睡魔が帰ってくる。もう少し、もう少し……。
その時、その「冴え」を使って歌を作ることを覚えた。睡魔に打ち勝って何かを作ることは困難。ならば睡魔がみえない時間は一つの機会とも取れる。筋書きを組み立てるような体力はなくても、生み出せる何かはあるのではないか。
眠りたいという願望と眠れないという悟りの間に生じた「冴え」の中にいくつもの歌が生まれた。その時は意味なんて一つも望んでいない。あるいは歌の誕生こそが意味なのだ。おかしな歌がいくつも生まれた。眠りへの挑戦とあきらめの代償に、いくつもの歌を作り枕元に残した。少しだけ苦しみが和らぎ、罪悪感が薄れていった。歌うことによって眠らない時間が、許されているようだった。歌うにつれて「冴え」も徐々にすり減っていった。(もっともっと歌うよ)歌はぼんやりと浮かびかけて散っていく。使い果たした「冴え」の向こうにようやく睡魔が帰ってくる。もう少し、もう少し……。
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