王は最大の防御であったはずの攻撃をついに断念したようだ。城を明け渡し、小さな犠牲を甘受しながら、中盤を越えて、赤い国境を目指して逃亡の旅を続けている。欲を出して敵に捕まっては元も子もない。秩序ある陣形も、連携を重んじたスクラムももはや遠い過去の話。
「向こうに行ったら何もいらないよ」
「みんな変わってしまう。好きなもの、大事なもの、みんなみんな」
「あとは置いて行こう。行ける内に行かなければね」
「守るべきもの、教え込まれたもの、みんな意味がなくなってしまう」
「だけど、もう行かなくちゃ。これはゲームなんだから」
馬が先に道を切り開く。金も銀も乱れながら、王の後に従って、未開の地へと流れていく。何層にも垂れた歩が境界を越えて、新しい金となって厚い防御網を築いていく。
「もう負けはない」
王は確信の中で世界を見渡した。
その時、遥か上空でナイトの数え歌が聞こえてきた。
・
最大の防御を歌う拳銃をゴミ箱に投げ目指す入玉
「向こうに行ったら何もいらないよ」
「みんな変わってしまう。好きなもの、大事なもの、みんなみんな」
「あとは置いて行こう。行ける内に行かなければね」
「守るべきもの、教え込まれたもの、みんな意味がなくなってしまう」
「だけど、もう行かなくちゃ。これはゲームなんだから」
馬が先に道を切り開く。金も銀も乱れながら、王の後に従って、未開の地へと流れていく。何層にも垂れた歩が境界を越えて、新しい金となって厚い防御網を築いていく。
「もう負けはない」
王は確信の中で世界を見渡した。
その時、遥か上空でナイトの数え歌が聞こえてきた。
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最大の防御を歌う拳銃をゴミ箱に投げ目指す入玉