昔むかしあるところにおじいさんがいたのだけれど、今はいませんでした。
「御免ください」
旅人はおじいさんの家をたずねました。
「おじいさんは今はいないよ」
と奥から若者が出てきました。
「おじいさんには世話になってね」
と言う若者は他の惑星から来た凄い男でした。
「今まで数え切れないほど地球のピンチを救ってきたし、人々から感謝もされてきたけれど」
若者はもう十分だという顔で、空になった缶を右手1つで握りつぶしてしまいました。
「これ以上こんなところにいたら自分が駄目になってしまう」
つぶれた缶を投げ捨てながら若者は言いました。
「地球はどうなるんだ?」
旅人は、こんなところなんて言う奴はとっとといなくなってしまえと内心思いながらも、一応問いかけてみました。
「知らんがな」
若者はそう言い捨てると飛んで自分の星に帰っていきました。
めでたしめでたし。