眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

さよなら鼻毛(アクロスティック)

2019-01-15 21:05:57 | アクロスティック・ライフ
永遠に焦がれるように
どこまでも伸びていく鼻毛
仕方ないや
苦しくても
寂しくなっても

映画のワンシーンのように
どこまでも鼻毛は伸びていく
しあわせを置き去りにして
来る日も来る日も伸びていく
定めなのよそういうことよ

餌をあげたわけじゃない
どういう原理で伸びていくのか
知らされていない知りたくもない
クイズに出されても知りたくない
さっぱり興味なんてないんだよ

AIにコントロールされていた
どこまでも伸びていく鼻毛
システムに逆らうことはできない
靴紐をしめて歩き出した道
寒くないね12月と言うのに

エピローグにたどり着きたくて
とめどなく前進する鼻毛
沈む夕日に照らされて
悔し涙が通り過ぎる
参加賞はなぜか園芸鋏だよ

怨恨の線を追って
ドローンに引かれた鼻毛
出発したのは遙か氷河期
繰り返される争いの中
さよならを見送ってきた

絵に描いた鼻毛だったなら
友が弱音を吐いているのは
師走の喧噪に負けていたから
腐っていても仕方がないさ
蔑む奴らは放っておけって

Sになって気まぐれに
飛び出していった鼻毛を
紳士たちは追いかけもしない
口から吐き出された白い息が
魚になって街を泳いでいる


 アクロスティック「江戸仕草」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする