5筋を突くと3筋を突いてきたので5筋を突き越した。7筋の歩を突いて6筋に銀を上がる。相手は4筋から3筋へと玉の囲いを急いだ。僕は銀を5筋から繰り出した。相手はようやく8筋の歩をぐんぐんと伸ばしてきた。僕は7筋に角を上がって受ける。1筋9筋の端歩を突き合って、相手は3筋から4筋へと銀を繰り出してきた。
僕は恐ろしくなって4筋の歩を伸ばして銀を押し返そうとした。すると相手は銀を3筋の上の方に繰り出した。僕は恐ろしくて早くその銀を追い払いたかったので4筋に銀を上げていくことにした。相手は今度は7筋から6筋へともう1つの銀を繰り出してきた。
僕は3筋の歩を突いて銀を追った。すると相手は銀を2筋に後退させた。僕は玉を2筋に寄せた。すると相手は左桂を跳ねてきた。銀だけでも角頭が破れていそうなのに更に桂まで参戦させてくるとは。僕は恐ろしくて6筋の歩を突いて桂跳ねを封じた。相手は玉の側に金2枚を並べた。僕は金を締めて木村美濃に組んだ。銀冠と違って玉頭は薄く銀冠の小部屋も存在しないが、5筋と4筋のバランスはよさげだ。
一安心していると相手は3筋から歩を突いて銀を繰り出してきた。僕は恐ろしくて素直に歩で銀を追い返した。銀が下がったのをみて2筋の歩を1つ突いた。2筋の銀が端を攻めてくるかもしれず、少し恐ろしげだったのでこの歩は突いておいた方がいいと思った。相手は8筋に飛車を浮き桂頭をカバーした。
僕は金を5筋に寄せて木村美濃の薄さをフォローした。すると相手は7筋から歩を突いて攻めてきた。僕は7筋に歩を垂らした。これはしょうもない歩だった。相手は8筋から棒銀のように突破してきた。
僕は7筋にと金を作った。すると相手は7筋に歩を成り捨て桂頭に歩を打った。相手のと金攻めの方が数段恐ろしげだ。僕は手筋とばかり8筋に歩を打った。飛車取りだ。しかし、あっさり横にかわされて無駄打ちに終わった。僕は6筋に桂を跳ねた。すると相手は7筋に歩を成ってきた。7筋が崩壊した。とは言え振り飛車の左辺はもはや空き地なのでダメージはないと思うこともできる。攻め合いにできるかどうかだろう。
僕は角を4筋にかわした。攻防の要所を占める好位置だ。相手はあっさりとと金を捨て桂を取り返すと今度は銀を成り込んできた。銀は活用できたがと金が成銀になった分だけ攻めの脅威は少なくなった。僕は銀取りを手抜いて手筋とばかりに7筋に歩を打った。飛車取りだ。すると相手は7筋にあったと金を食いながら飛車を引いた。僕は銀を逃げた。相手は歩を食いながら飛車を出た。
そこで僕は3筋に桂を打った。角金取りだ。ふんどしの桂が打てて急に僕は元気になった。(こうなってみると序盤の3筋の交換が相手には裏目に出た。傷の方が大きすぎたようだ)角を逃げたので手順に金をはがして5筋の歩を突き出した。すると相手は素直に同じく歩とした。7筋の飛車と成銀が重く、有効な攻めがないのだろう。
僕は香を取りながら9筋に角を成った。相手は飛車を8筋に寄った。4筋に歩を突き出し取った手に対してもう一度4筋に歩を打った。継ぎ歩だ。同じく歩に同じく銀となり急所の4筋に銀を繰り出すことに成功した。相手は歩を謝った。
そこで僕は5筋の空間に歩を打ち込んだ。手順に銀を進出させると5筋の真ん中に馬を引きつけた。馬が輝いてみえる。5筋に振り飛車の銀と馬と飛車と金が連なっていた。この時、僕はようやくこの将棋が1本の線としてつながったように思えた。
すべてはここへたどり着くための道だった。眠っていた中飛車が遠く敵陣の金をみている。振ってから今までずっと動かずにいたことが、ついに報われる時が訪れたのだ。
相手は馬の利きを遮ろうと4筋に桂を打った。僕は4筋に香を打った。相手は成銀を寄せて飛車に当てた。僕は5筋にいた銀を歩を食いながら4筋に成り捨て、同じく金に対して5筋にいた馬を桂を食いながら相手の金の頭に出て、同じく金に対して、当たりになっていた飛車を5筋に王手で成り込んだ。一間竜だ。この形になれば寄りは近い。もしも相手の持ち駒に金があったら竜に当てて先手を取られてしまうが、金がないことを見越しての手順だった。歩の合駒に対して、僕は香を走り4筋に浮いていた金を取った。受けのない相手は玉を2筋に早逃げした。
僕は3筋に桂を打った。相手は1筋に玉を逃げた。僕は端玉に端歩とばかりに1筋の歩を突いた。ところが、そこは序盤で3筋から撤退して2筋にいた銀が端の守りに利いていて、少し甘い攻めになっていた。端を攻めるならガツンと歩の頭に金を打つのだった。もっと明快なのは玉の斜め後ろから金を打つ手だった。(格言にない手が有効になることもある。寄せは深い)次に端の香を取る手が詰めろになるが、上が詰まっているため受け方がないのだ。相手は端歩を取らなかった。取られていたら、寄せ間違えながら時間切れになったかもしれない。8筋に飛車を成り込んできたのは、どうしても竜を作りたかったのだろうか。最後は1筋の歩を取り込んで簡単な即詰みとなった。
中飛車は7、8筋を破られても構わないのではないか。受け止めるのではなく受け流す。そして、5筋から反撃する夢を描くのだ。恐れから解かれ、強く戦える中飛車を指してみたいものだ。