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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

壊れかけのポエム

2019-11-01 17:05:00 | 忘れものがかり
「何しに来たんだったかな?」
おじいさんは途方に暮れたように
立ち尽くしている

「またその内に思い出しますよ」
「いや。今思ってたとこなんだが」
おじいさんは腑に落ちないといった表情を浮かべている。
「大した用でもなかったのかも」
「おかしいな……」
おじいさんはやっぱり顔を曇らせたまま。

(わかってる)

思いついたまま結べない詩
行き場を失った言葉の断片が
いつもノートの中をさまよっている
だから、僕だって本当はわかってるんだ。

見つけることよりも
取り戻すことの方がずっと難しい
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実況あるある&スリープ

2019-10-31 10:42:00 | 忘れものがかり
実況がある
僕は背中でみる

走る
ボールが出る
抜け出る
ネットが揺れる
吠える
踊る
旗が上がる
覆る
まいる

みんな頑張れ!(僕は寝る)

駆け上がる
ラインが上がる

エジルから
出る
抜け出る
旗が上がる
オフサイド!
戻る

みんな頑張れ!(僕は寝る)

駆け上がる
ラインが上がる
インターセプト
蛍から
出る
抜け出る
競る
削る
引っ張る
倒れる
鳴る
あやまる

みんな頑張れ!(僕は寝る)

VAR
知る
悟る
散る
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ドラマ愛

2019-10-30 06:23:00 | 忘れものがかり
「置いていかないで」
少しよそ見をしたところで
背景を見失ってしまった

「駄目駄目ちゃんと見てないと」

えー 何
ぼーっとしてたら駄目なの
もっと教えてくれないの?

ダメダメもっと全力で見ないと
「想像を働かせながら見ないとついていけないよ」

厳しい!
ドラマなのに?

そうよ ニュースともバラエティーとも違う
「これは平成のドラマなの」


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都会の夜

2019-10-29 23:25:00 | 忘れものがかり
都会の夜はお祭りのようだ
人通りが絶えることはなく
ふーふーたこ焼きを食べ歩いている

都会の夜はパレードみたい
笛や太鼓が鳴り乱れ
バイクが道を暴走していく

都会の夜はオリンピック
異国の言葉が飛び交っている
青年はスケボーに乗っている

都会の夜は目映いばかり
虫も人をも引き寄せて
そこで男女は抱き合っている


都会の夜はお祭りなんだ

おやすみのない夜なんだ

もう疲れっぱなしなんだ
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希望があることは幸いだ

2019-10-28 04:28:00 | 忘れものがかり
美味しいものは
たまに食べた方が美味い

今日じゃなくていい
今日は今日で
他のものでいい

それは先の楽しみにしてもいい

食べたいものが浮かぶことは幸いだ

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セルフ・ジャッジ(読まなきゃよかった)

2019-10-27 10:42:00 | 忘れものがかり
玉頭に手裏剣(焦点の歩)が飛んできた

王手に応じることは絶対だったが
選択肢が多すぎることは人間にとって
喜ばしいことではなかった

金で取れば玉の腹が空く
玉で取ればコビンが空く
端に寄れば金が浮く
端に上がれば端攻めが来る
下段に落ちれば玉が狭い

そのどれもが危険で
勝ち筋につながる手は一つだけ
私は持ち時間を投入し
慎重に読みを入れた
(感覚が正しいこともあればそこに落とし穴があることもある)

(直感は正しかったのに)
熟考の末に指した手は悪手だった

何も読まなかったら
間違いなく
私が勝っていたのだが
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昨日へ届け

2019-10-26 13:28:00 | 忘れものがかり
イヤリングをさがして
彼女は来た道を戻る

薄暗い夜道の中でさがすには
それはあまりに小さすぎ
手がかりがなさすぎる
余計なゴミが多すぎる
道が広すぎる

ひっきりなしにサイレンの音が
鳴り響いている
街の治安は悪すぎる

また明るくなってから
と一旦そう考えたけれど

来た道をずっと戻れば
明るかった頃まで戻れるのでは……
そのような着想をはじめて抱き

想いながら歩く内に日付をまたいだ

月夜から夕暮れへと遡り
やがて白昼の自分を見つけ
はっとした

「絶対にそれを落とさないで」
すれ違いざまにメモを手渡し

急ぎ足で今日に戻る


ちゃんと伝わっただろうか……


彼女は恐る恐る硝子戸に向かう

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月のバトン

2019-10-22 12:19:00 | 忘れものがかり
バッタ色の信号機が
星の終わりのように瞬いて
人々はそれにつられるように
駆け足になっていく

おっとっとっと

手に手に猫や冷蔵庫を抱えて
こぼさぬように落とさぬように

「月が切り替わる前に」
合い言葉を口にしながら
次から次に渡り人が現れる

さっさっさっさ

大きな紙袋にあふれるほどの生活雑貨
高級時計にブランド・バッグ
汚さぬように騙されぬように
エアコン、ステレオ、4Kテレビ


みえないコーナーから
バトンを持った男が駆けてきた

「0.1秒でも速く」

ランナーは輝く月へ向けて

バトンをさし出した
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再生クラブ

2019-10-17 23:28:00 | 忘れものがかり
一度だけチームに入ったことがある
僕が適当に考えてつけたチーム名は
英文法として正しくはなかった
発足当初のチームはギリギリの戦力で
リーグ戦で初勝利した日は泣きそうになった
メンバーの一人が友人を誘う形で
戦力が充実していくにつれて
僕はだんだん幽霊になっていった

「解散することになりました」
主力メンバーから知らせを聞いて
僕のチームプレーは終わった



数ヶ月して新しいリーグが始まっていた
ネットにアップされた集合写真には
解散したチームの主力の顔が並んでいた
(新しく始めたかったのかな)
新しいチームの名前は「FC……」とあった
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校長先生の話

2019-10-16 16:13:47 | 忘れものがかり
校長先生の話は長い
 
大事なことが3つあると言い
1つ目辺りであくびが出る
2つ目の途中で喩え話が始まり
途中で迷子になって抜け出せない
鴉が降り立って現実にかえる
3つ目の半ばで逃亡者が多数
 
それでもまだ
熱心に耳を傾ける生徒もいるのは
校長先生はレアキャラだから
 
節目節目の挨拶だけに顔を出し
それ以外の時間は謎
(みんなは知らないけれど校長先生の本当の正体は世界を股にかける大泥棒なのだ)
 
オチも感動もないけれど
終わることによって満足できる
それが校長先生の話だった
 
他のどんな先生よりも
愛されて、リスペクトされていた
 
ただ校長先生だけが
何のハラスメントとも
結びついてなかったから
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みんなのマスクマン

2019-10-11 05:30:28 | 忘れものがかり
ぼくはマスクマン
トウモロコシを食べる時も
ブルースを歌う時も
ヒーローと戦う時も
ぼくのセンスは譲れない
 
顔を決めるのはぼく
 
ぼくはマスクマン
ハーモニカを吹く時も
愛と平和を歌う時も
マシンガンに対する時も
デザインばぼくのマインド
 
感情をみせるのはきみ
 
ぼくはマスクマン
うたた寝をする時も
未来の自由を歌う時も
独裁者に立ち向かう時も
クールにみせたマスク
 
心を決めるのはぼく
 
 
ぼくはみんなのマスクマン
大観衆がコールする
1、2、3
さあ 行くぞ!
 
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デジャビュ・コンタクト

2019-10-10 23:42:00 | 忘れものがかり
引きずってしまうより
あったことはみんな
忘れてしまうようにした

「おはようございます」
1時間前にあったかな
そんな気もするがまあいいや
(言わないよりは何度も言おう)

「相変わらずですね」
そんな台詞は慣れっこだ
「成長しませんね」
多分それもね

近頃は似たような人が増えた

前にもこんなことを書いた
そんな気のする10月の日記は
やっぱり3月頭の日記と
まるでそっくり

色々とあって
またあなたにあった
「どうも。はじめまして」
もう何度もあったかな
そんな後ろめたいところもあるけど
(また新しい気持ちで)
そういう意味であってもいいね

(恥も感謝も)
どうせみんな忘れるのだから

やっぱりここで言っておこう

「はじめまして」

どうぞよろしく
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放課後の海賊船

2019-10-02 14:34:13 | 忘れものがかり
夕暮れの豪華客船に乗り込むと
大勢の人がくつろいでいる
 
二階へ上がると
突然そこは海賊船の中だ
 
背中の教科書を下ろした子供たち
腰を振り
軽やかにステップを鳴らし
カーテンを引き伸ばす
即興が冴えるパーカッション
流行のギャグが頬を張る
 
ゴミ箱の前に散らばった
弾丸と紙屑はいつまでも手がつけられない
治安をコントロールする
クルーは誰一人上がってはこない
 
ここでは子供たちの自由が何よりも尊重される
 
闇が巨大な船を呑み込んでなお
宴の勢いは衰えをみせることはない
 
あなたが放課後への階段を上るなら
広い心を持っていくこと
海のように広い心を持って
上がるがよい
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ドクター猫

2019-09-13 02:23:22 | 忘れものがかり
「30分押しとなっております」
 
ファイルを手にして待合所に行くと
100人程の患者が既に待っている
 
これはとてもじゃないぞ
 
複数の科が混在しているにしても
人が多すぎる
 
窮屈な長椅子が
果てしなく伸びて見える
いつまでも名前を呼ばれないまま
時間は過ぎていく
 
小さな子の泣き声
1時間経っても人の多さは相変わらず
みんな昼ご飯食べないの?
 
耐え切れなくなって
僕はpomeraを開いた
 
ボランチとサイドハーフが
議論を交わしている
ドーナツの穴の向こうに
もう一つの居場所はあった
 
つながるパス
優れた戦術
心強いチャント
見えないゴール
ファールを告げる笛
13時
 
アナウンスの声が
がたつくpomeraを閉じさせる
 
「……さん。3、5、2好きな番号にお入りください」
 
僕はドーナツの絵を引きずりながら
2番の診察室の扉を開けた
 
「お待たせしたにゃー!」
 
しまった!
 
ここは猫の先生だ
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ハーフタイム・ジャーニー

2019-08-23 08:27:00 | 忘れものがかり
ハーフタイムに入ったら
羽を伸ばしてヨーロッパへ行こう

30秒で国境をまたいで
5分間のティータイム
3分で写真を撮って
5分で買い物を済ませて
30秒で国境をまたいで

10秒でホットドッグを手にしたら

さあ あらためて 
イニエスタをみよう
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