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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

街のすみか

2019-12-31 21:49:00 | 忘れものがかり
曲がり角には
街に一つのファミリーレストランがある

ファミリーレストランのそばには大きな木がある
木の下には茂みがある
茂みの中には猫のすみかがある
茂みの脇には小皿がある
小皿の上には
時々猫のごはんがある
街の誰かが時々それを持ってくる

猫はこの街の猫である

信号を渡る時
私は時々すれ違う

すみかにしゃがむ人の影と
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生者のミッション

2019-12-27 04:52:00 | 忘れものがかり
磨かなきゃ……
寝る前に磨かなきゃ
自らに言い聞かせながら
ずるずると
布団の上に伸びている

(もう少し、もう少し)
遅延を繰り返す内に
現在から離れていく
列車に揺られて
僕は緑を見ていた
どこまで行っても緑だ
トンネルを抜けて
かえってくる緑
またトンネル
そして玄関に着いた

「あんた帰ったの」
母が台所に立っていた

「いつ行くの?」
「すぐ」
ご飯を食べたら
もう行かなくちゃ
(起きている内にやることがあるんだ)

「そう。忙しそうね」
「まあね」
道草食ってる暇なんてない

「おにぎりでいい?」
いいに決まっている
だけど妙だな

さっき食べたような気がするんだよ
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感想マッチ

2019-12-26 10:53:00 | 忘れものがかり
向き合って座ったまま
声1つなく
意志と意志がぶつかり合う
2人は動じないまま
1時間が過ぎる

「ビーフストロガノフ」
「カレーうどん」

短くささやいて
沈黙にかえる

あっ、そっかー
ひえー
時々口から漏れる
それは会話とは程遠い


「負けました」
(少し無理でしたか……)
敗者は7筋辺りを指して
勝者と初めて視線を交わした

2人はふりだしに戻って
今日1日の感想を述べ合う
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ニュー・レコード

2019-12-20 02:18:00 | 忘れものがかり
ライオンは
柵の向こう
行ったり来たり
落ち着かない

(早くみんな帰らないかな)
愚か者たちの好奇の目
薄い関心はまっぴらだ

ライオンは
深い溝の向こう
行ったり戻ったり
落ち着かない

(日が暮れればいいのに)
野次馬たちのひそひそ話
上から浴びせるエールはうんざりだ

(早くあの子が来ないかな)
あの子のことだけ待ちわびながら
行ったり来たり

ライオンの歩いた距離は
ボローニャのトミーを超えた
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ナビゲーター&pomera

2019-12-12 10:44:00 | 忘れものがかり
ナビに従って
右へ左へ歩いて行く

どこで間違ったか矢印がずれていく
進んでいるのは明後日の方向だ

東の方へ進んでください

ほら
やっぱり方向が違う
左に行ってください
そのまま直進してください

こんなところに道が
こんなところに町が

人々が歩いている
郵便屋さんが開いている

細い道
古風な壁
探していた名の看板が
突然現れる

「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ」

こんなところにこんなところが

江戸のような天井
クジラの中のような明かり
クリスマスみたいな小枝に豆粒電球
ガラス戸の向こうに庭がある
武家屋敷のような塀
ハワイみたいなパラソル

2003年のロックフェスタのちらし
囲われたストーブの中にかわいいやかん
夏ばての虎がキャップを被っているみたい
風もなく揺れる風鈴
寄せ集められたアンティーク家具

美味しい珈琲

忘れられた商店街の入り口に
ちょうどいいカフェがあった
ちょうどいい机
ちょうどいい椅子

さあpomeraを開いて

どこへ行こうかな

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ベッドイン・ポエトリー

2019-11-25 21:39:00 | 忘れものがかり
机が消えた

椅子がなくなった

ペンが折れた

ノートが散った

消しゴムが転がった

雨が止んだ

明日が逃げた

夢が尽きた

友がいった

pomeraが飛び去った

あなたが消えた


ベッドの中で詩をつくり出すことはできる
周りからすべてが離れていってしまっても

最後に残った

私の意識と

あなたへの愛で
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初恋

2019-11-23 10:33:00 | 忘れものがかり
初めて恋をしたのは
5歳の時だった

おやつを食べて
隣で寝た

周りのみんなは
本当に眠ったみたいだけど
素直でなかった僕は
寝ぼけた振りをしながら
彼女の気を引くことに夢中だった

彼女とは1年で別れた
体の事情だった


3年後
僕らは新しい場所で再会した

誕生会に呼んでくれた
彼女は僕を覚えていてくれた

それから何度か手紙をやりとりした

返事を書かなかったのは僕の方だ
おじいちゃんの事情だった
そのあとは自然消滅

おじいちゃんは何も悪くなかった
僕と彼女は
ずっと話せる距離にいたのだから

僕は本気ではなかった

昼寝の時間が
ちょっと恋しかっただけ
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微笑まぬ店

2019-11-21 20:26:00 | 忘れものがかり
入ってみたい店がある
そのために訪れた時
店はシャッターを閉ざしている
(決まっていつも)

たまたま
通り過ぎる時
店は暖簾を出し
前に自転車が数台見える
看板に今日のおすすめ
中から美味しそうな匂いがこぼれてくる
その時の僕には他に行くところがある

店はいつ開きいつ閉じるのだろう
(いつになっても謎のまま)

その店の名は
いつも僕の胸の中にある
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人生ゲーム

2019-11-20 01:47:00 | 忘れものがかり
主人公は杖を持っている
魔法の杖だ
敵は見当たらない

静かな庭の中にいる
主人公を僕はコントロールできない
光が落ちてくる
(僕が落としている?)
炎を扱うゲームらしい

光の力でまだ道は開けない
主人公はまだ一歩も進まない

難しいゲームだ

早く次の面が見たい
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苦手のリフレイン

2019-11-19 16:26:00 | 忘れものがかり
「苦手なんですよ」

そう言うと
「えーっ」
と驚いたような顔をする
あなたは忘れた頃に
プリッツを持ってくる

他人の趣味に
興味なんてない

あなたはたまに
僕の名前を間違えて呼ぶ


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鑑賞コーナー

2019-11-17 23:19:00 | 忘れものがかり
スナック菓子の前に
おじいさんは立っていた

「いい香りだなあ」
えっ
「玩具屋さんを思い出す」
ええっ
「お1ついかがですか」
(早く床掃除したい)

おじいさんは
キャベツ太郎と生茶を買った

イートインコーナーに座り
しばらくの間
駐車場を眺めていた
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ニュー・シングル

2019-11-16 20:28:00 | 忘れものがかり
新しい曲はわからない

上がるのか下がるのか
ささやくのか叫ぶのか
はねるのか沈むのか

耳を澄まして聴かなければ

どこでどうして生まれたのか
誰をどれだけ思ったのか
繰り返すのか
あと何度


ドキドキしながら聴かなければ

新しい曲はわからない

好きかどうか まだわからない
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大河ドラマの憂鬱

2019-11-15 18:09:22 | 忘れものがかり
そこに生きているのだ
と信じられていた
顔が
役者の顔に見えてきた
 
主人公に近い人物が
バタバタと死んでいく
12月の大掃除みたいに
急に慌ただしくなって
 
いなくなってしまっても
みんな帰る場所があるんだ
 
いいな
 
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パラパラマンガ

2019-11-07 22:56:00 | 忘れものがかり
窓の外に目を向けたまま
動かない
ミルクを何度か口にする

あくび
またたき
ためいき

条件次第で道を渡る人
立ち止まる人
振り返る人

目を閉じてもっと先をみる

私たちの一日は
ほとんど何も変わらないまま
ゆっくり前に時に後ろへ
よく忘れごく希に成長する

大きな時が流れ去ったあとで
何もなかった一日は
遠い人がパラパラとめくる
指の中で日々となって
筋書きになる

その時になって
私たちは物語の中に定められる
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時の不思議

2019-11-05 03:44:00 | 忘れものがかり
今では考えられないことだが
人生は果てしなく長いもののように
感じていた
午前は長く
午後はもっと長く
1日遊ぶならその内にさえ
起承転結があった
大人になるというのはずっと先だし
その先のことは
まるでおとぎ話のように思えた

蔵の中に閉じこめられた時間は
止まってしまったようだった
(ぼくは何をしたというのだろう)
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