連休初日、良い天気の中、いつものようにぶらぶらと犬の散歩に出た。いつものように犬の糞の始末をしている間、犬の紐を左手小指にかけ、ビニール袋の口を縛ったりしていたのだが、その瞬間は周囲への確認は一切怠っていた。わが家の愛犬は、性質が悪い。機嫌がよい時は引っ込み思案風を装ってうつむき加減にシッポなどわずかに振ってみるのだが、機嫌が悪いときは一気に吠え掛かったりする。この日は機嫌が悪かった。
通りががったひ弱そうな少年に向けてガオガオ吠えながらロケットダッシュを行った。その時の犬の紐に引っ張られて鳴ったあわれな小指の音を思い出すとやるせない。紐は指からはずれ、犬は子供に跳びつき子供は犬のトラウマを背負って声にならない声を上げながら足の動きが見えないぐらい高速に足を動かしつつ、ごめんごめんと謝る私の声も耳に入っていないかのような恐怖の表情のまま走り去った。
左手小指は急速に心臓と一体化し、ドクンドクンと脈打ちながら青紫に変色しつつ膨れ上がった。何と言うことだろう。楽しい連休の初日なのに。ま、いきなり犬のトラウマを背負わされた少年に比べたら何と言うことはないか、などと思いながら、家に帰って湿布で小指をぐるぐる巻きにし、痛いのを我慢しながら洗濯物干しに取り掛かった。
当然左手をかばう動きになり、右手だけで作業したりするが、なかなかうまく行かない。洗濯物は両手で干すに限る。体の不自由な人や片腕が使えない方はさぞ大変だろう、などと思いながら、洗濯ばさみを使っていると、なんと間抜けなことだろう。大型の洗濯ばさみの先で右手小指の先、指紋のある部分の皮の表面だけをなぜかバチンと挟んでしまった。痛い。な、な、なぜ?などと思っている間に、指先に血豆ができて来る。ああこれで、左右の小指が使い物にならないことになったか、などと劣勢の軍隊の作戦参謀のような気持ちで両手の指を見る。ふん、これぐらいで、という気持ちも逆に強くなって、このことはすっかり忘れることにした。
その夜、ホットプレートでお好み焼きと言うことになった。長く使っていなかったホットプレートを引っ張り出して来たが臭い。きれいにしてしまっているはずだが、やはり汚れていたのだろう。とにかく洗ってしまえ、と洗ってみた。ゴシゴシやったあとテーブルでスイッチを入れて見たが熱くならない。濡れて壊れてしまったのだろうか。何度かスイッチを入れたり切ったりした後、電源ケーブルをぐいと引き抜き、本体のプラグ差込口に右手人差し指を持って行ってしまった時の音。肉が焼ける音。自分の体の一部が焼ける音を聞くというのはあまり心地よいものではないが、ジュウというその音はあまりにはっきりくっきり耳に届き、何回でも再生可能な脳の部位に一気に記憶された。電熱機械は思わぬところが思わぬ熱さになっている場合がある。注意が必要だ。
そんなわけで、連休は右手人差し指と小指、左手小指が使えないという、日々になった。
この一連の負傷で気がついたことは、私の脳を、脳だけ取り出して機械の体に入れ替えても、私は私として再生することはできないだろう、ということだ。私は脳にもいるが、左手小指にも右手小指や人差し指にもいる。体中のいたるところにいる私の総体が私だ、ということに、改めて気がついた。
左手小指は今もまだドクンドクン言っていてShiftキーが押せない。天気の良い連休で良かった。
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製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
通りががったひ弱そうな少年に向けてガオガオ吠えながらロケットダッシュを行った。その時の犬の紐に引っ張られて鳴ったあわれな小指の音を思い出すとやるせない。紐は指からはずれ、犬は子供に跳びつき子供は犬のトラウマを背負って声にならない声を上げながら足の動きが見えないぐらい高速に足を動かしつつ、ごめんごめんと謝る私の声も耳に入っていないかのような恐怖の表情のまま走り去った。
左手小指は急速に心臓と一体化し、ドクンドクンと脈打ちながら青紫に変色しつつ膨れ上がった。何と言うことだろう。楽しい連休の初日なのに。ま、いきなり犬のトラウマを背負わされた少年に比べたら何と言うことはないか、などと思いながら、家に帰って湿布で小指をぐるぐる巻きにし、痛いのを我慢しながら洗濯物干しに取り掛かった。
当然左手をかばう動きになり、右手だけで作業したりするが、なかなかうまく行かない。洗濯物は両手で干すに限る。体の不自由な人や片腕が使えない方はさぞ大変だろう、などと思いながら、洗濯ばさみを使っていると、なんと間抜けなことだろう。大型の洗濯ばさみの先で右手小指の先、指紋のある部分の皮の表面だけをなぜかバチンと挟んでしまった。痛い。な、な、なぜ?などと思っている間に、指先に血豆ができて来る。ああこれで、左右の小指が使い物にならないことになったか、などと劣勢の軍隊の作戦参謀のような気持ちで両手の指を見る。ふん、これぐらいで、という気持ちも逆に強くなって、このことはすっかり忘れることにした。
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この一連の負傷で気がついたことは、私の脳を、脳だけ取り出して機械の体に入れ替えても、私は私として再生することはできないだろう、ということだ。私は脳にもいるが、左手小指にも右手小指や人差し指にもいる。体中のいたるところにいる私の総体が私だ、ということに、改めて気がついた。
左手小指は今もまだドクンドクン言っていてShiftキーが押せない。天気の良い連休で良かった。
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