い~すと の 愚痴

ある鉄道会社で車掌をしている"い~すと"が語る愚痴

非常停止ボタンは躊躇なく押してください

2017年04月24日 23時02分18秒 | 鉄道員の愚痴
4月15日に京急の八丁畷駅前の踏切で痛ましい事故が起きました。踏切の警報機が鳴り遮断機が降りているにも関わらず踏切内に留まる高齢の男性とその男性を助けようと踏切に立ち入った銀行員の男性の2名が列車にはねられて死亡しました。
報道によると高齢男性は自殺の疑いがあり、銀行員は列車が通過する直前に踏切に入ったようです。お二方の御冥福をお祈り申し上げます。

銀行員の見てみぬふりをせず助けようという勇気や気持ちは賞賛されるものですが、鉄道員である私は単に美談で終わってしまうことを懸念しています。

残念ながら今回の事故では踏切に非常停止ボタンがあったにも関わらずこれが使用されていませんでした。
列車が運行されている線路に立ち入ることは非常に危険な行為であり、私たち鉄道員も許可が必要で安易に入ることはできません。危険であるから列車を止めて安全を確保しなければいけないのが線路に立ち入る際の鉄則であり、年々厳しくなっています。
事故が起きた際に付近の列車を止める列車防護も同じです。現場の安全を確実に確保するためには列車を止める。そして止まったことを確認するしかありません。


私からみなさんにお願いしたいことは一つです。

駅のホームや踏切には非常停止ボタンが整備されています。(一部整備されていない場所もあります。)
みなさんが危ない!列車を止めなきゃいけないと思ったら躊躇せず、速やかに押してください。

踏切で人や車などが立ち往生している。閉じ込められた。
ホームで線路に転落したお客さまがいた。
線路内に障害物がある。
など、こういった事態に気づいたときは直ちに列車を止めないといけないですから非常停止ボタンを押してください。

非常停止ボタンを押すと専用の赤信号が光り運転士に異常を知らせます。電車は自動的にブレーキが掛かるのではなく、運転士が赤信号を確認してブレーキを掛けます。
列車がかなり近づいていたり、万が一赤信号を見落としたりすると列車の停止が間に合わず現場を通り過ぎる可能性があります。なので停止の確認も重要なんです。

非常停止ボタンは躊躇なく押していただきいのですが、最近では賠償請求されるという話が出回っているようです。
お客さまや通行人など異常時に気づいた方が速やかに確実に列車を停止させることのできるものが非常停止ボタンです。
危ないと思って押したものに関して賠償請求されることはありません。結果的に空振りになっても同様です。
あくまで賠償請求されるのは何も異常がなくイタズラで押した場合のみです。ですので押した場合には、そのあと駆けつけた係員になぜ押したのか説明してください。そうすれば賠償請求はされません。


今日お伝えしたいことをまとめます。
非常停止ボタンは危ないと思ったら躊躇なく押す。
押したら駆けつけた係員に理由を説明する。
イタズラでなければ賠償請求はされません。
以上3点です。
どうかよろしくお願いします。