JN1KWRのブログ

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30周年回想 (5) プロ資格に挑戦(1987年~1989年)

2011-03-29 13:22:41 | 回想
 当時メーカーでオーディオ機器の設計の仕事をしていましたが、ふとしたきっかけで資格試験への挑戦を思いつきました。1通(第1級無線通信士=現在の第1級総合無線通信士)なら趣味の延長上にあるプロ資格でもあり、興味も湧くのではないかと安易に考えました。仕事から帰って机に向かってもリグの電源は入れずに、分厚い問題集に向き合うことになりましたが、DXのコンディションも低下、アパマンハムになって思い切り無線ができない状況になっていたのも幸いしました。
 まず1技(第1級無線技術士=現在の第1級陸上無線技術士)から取りかかりました。1技による1通の工学系科目免除で効率的に取得できるからです。学科については1アマの時と同様に問題集を徹底的に覚えるやり方でした。過去数年の出題状況から問題を絞り込んで、すらすらと解答できるようになるまで、繰り返しノートに書きました。法規はポケットサイズのノートを使い、通勤の電車の中で眺めていました。まずは88年6月期の予備試験に合格。7月の本試験で「法規」、「空中線系及び電波伝搬」、そして問題集から5問にヤマをはって一夜漬けした「無線機器」も2問が見事に的中。残りは部分点の積み重ねでしたが、思いがけず3科目に合格。残った1科目「無線設備管理」も89年1月期に受験し、全科目合格となりました。ちょうど22年前の自分の誕生日である89年3月29日付けで、初めてのプロ資格、第1級無線技術士の従事者免許を手にしました。
 1技に残り1科目となったところで、1通の「国内法規」、「国際法規」も並行して勉強を始めていました。「英語」は辞書持ち込み可なのでぶっつけ本番、「地理」は試験の数日前から海岸局の地名を覚えた程度でしたが、89年3月期で科目合格。1技による工学系科目の免除で、残るは電気通信術のみとなりました。
 さて、最後は最大の難関の電気通信術です。その昔は人間業とは思えない欧文毎分125字だったそうですが、既に毎分100字に緩和され、エレキーも持ち込み可になっていました。和文は毎分75字、欧文は普通語の他に毎分80字の暗語というのがあります。試験時間は送信5分間・受信5分間です。当時の1アマの電気通信術は欧文毎分60字、和文50字の速度。実際のQSOではもう少し速度が上がっていましたが、さらにレベルアップしなければなりません。
 受信練習は実際の速いQSOを1字1字全て筆記することから始めました。速度が上がると、頭で受信できていても短い符号が続くと手が追いつかなくなるので、数文字遅れて筆記する練習が必要です。受信に関しては脱字は誤字より減点が少ないので、取れない符号は諦めてすぐ次の符号に集中するようにしました。プロの電気通信術の試験ではアマチュア無線では馴染みのない電報形式も覚える必要があります。仕上げの段階では駒込の電波振興会で買ってきた練習用のカセットテープを使い、受信用紙に記入する練習もしました。
 送信でも5分間ミスなしというのは至難の業です。多少未送信になっても構わないので、無理に速度を上げず確実に打つようにし、間違っても慌てず訂正する練習をしました。QSOでは主に縦振電鍵を使っていましたが、流石に1通の速度で5分間打つ自信はありませんので、試験では最初からエレキーを使用することにしました。パドルはそれまで愛用していたダブルレバーのハイモンドMK-706から、シングルレバーのMK-701に替えました。その時はシングルレバーの方が何となくミスキーイングが少なくなるような気がしたからです。電話による送受信の試験もありました。通話表(「A:Alfa」「朝日のア」ってやつです)によるものです。当時はSSBのQSOも多少はやっていたので、特に試験のための練習の必要はありませんでしたが、今ではすっかり忘れています(hi)。
 電話級、電信級、1アマ、1技は蒲田の日本工学院専門学校が試験会場でしたが、1通は池袋の東京電子専門学校で受験しました。学科の試験の雰囲気には慣れていましたが、電気通信術の試験の緊張感は半端ではなく、無我夢中のうちに試験は終わってしまいました。こんな試験は金輪際ご免だと思いましたが、今から思えば貴重な経験ができたということでしょう。運良く89年9月度に一発で電気通信術に合格し、89年11月に第1級無線通信士の免許を取得しました。
 趣味の延長なら長続きするだろうという安易な考えから受験を思い立ちましたが、試験科目も多く約2年半にわたる長い取り組みになりました。大学には推薦で転がり込んでしまい、苦しい受験勉強を経験していなかったので、生涯で一番勉強したのが無線のプロ資格ということになります(hi)。翌年転職して早速無線技術士の資格を生かせる仕事に就くこともでき、さらにその職場で得た技術や資格は、自営業となった現在の飯の種になっています。
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12 コメント

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1通+1技 (JH0CJH/1)
2011-03-29 18:21:31
KWRさん
まずは誕生日おめでとうございます。
すばらしいですね。 私も大学では1通、1技を目指していましたが、結局途中で挫折したので、独学で成し遂げたということは並々ならぬ決意と精神力が必要であったと思います。でも自営業でこの資格を生かせるってどんな職業なのでしょう。またいつか教えてください。
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30年回想 (JP1FOS)
2011-03-29 21:35:36
3月の終わりのほうのお誕生日だったのですね。
おめでとうございます。
私は和文が有った頃の1アマを受けて、無我夢中で文字を書いたのを覚えています。試験終了時、改めて書いた文字を眺めるたき、文章になっていて感激しました。もちろん、1回で受かってはおりません。
1総は電報形式で癖が有って和文ができても取れないと聞いたことがありますが、大変なのでしょうね。Hi。
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お、おそるべし (JP1PZE)
2011-03-29 22:09:18
誕生日おめでとうございます。

1通って電波高専や専門学校で免除を得て取得する人が大半だと思います。KWRさんは素手で取得したのですね。あの電気通信術の試験に合格することは、ほとんど神の領域です。送信だって半端じゃないですよね。
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お誕生日おめでとうございます (JN1BBO)
2011-03-30 07:12:20
実は私も3月生まれです。Hi。
資格試験の実技は苦手です。プレッシャーに弱いので…。それにしても1通は凄いです。
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Re: 1通+1技 (JN1KWR)
2011-03-30 12:33:25
CJHさん、ありがとうございます。
若いうちだったのでできたのでしょうね。今ではそんな記憶力も根性もありません。
業務に関連する公的資格ということで会社から1技の受験料の補助を頂戴したのに、1年も経たないうちに転職しちゃった悪い奴です。hi
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Re: 30年回想 (JN1KWR)
2011-03-30 12:34:22
FOSさん、ありがとうございます。
折角筆記しても判読できないことがありました。今の移動運用のログも同じですが。hi
電報形式は本文の前にいくつか電文が入るのですが、もう忘れちゃいました。
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Re: お、おそるべし (JN1KWR)
2011-03-30 12:36:24
PZEさん、ありがとうございます。
強電系の学科だったので、1技の予備試験の免除はありませんでした。学科では予備試験が一番苦労したかも。
通信術に関しては、実際のアマチュアのQSOでもある程度の速度は出ていても、5分間続けるというのは本当に厳しかったです。今では絶対に無理です。hi
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Re: お誕生日おめでとうございます (JN1KWR)
2011-03-30 12:38:03
BBOさんも3月ですか。私は花粉症のピークの時期なので誕生日が憂鬱です。(泣)
実技のある資格試験は1通が最後でした。その後電気工事士は別の資格+実務経験により申請だけでもらってしまいました。ちゃんと受験したら手先が不器用なので実技試験は通らないでしょう。hi
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遅ればせながら~ (JH7UJI)
2011-03-31 22:20:29
誕生日おめでとうございます!
ちなみに私も牡羊座です。Hi..

私も1通受験の時には、同じMK-701を使っていました。
私が受験したときには、プレーン125字/分で、聞き取りで、1秒間に2文字以上を5分間書き続けるのが苦痛でした(笑)
KWRさんは、1技から免除を使って1通を受験されたそうですが、私は逆で、合格した1通の免除で同時に1技合格もいただきました。Hi..
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Re: 遅ればせながら~ (JN1KWR)
2011-04-01 16:01:45
UJIさん、ありがとうございます。牡羊座が多いようで、、。

125字/分というと、お若い頃だったのですね。それにしても人間業とは思えません。hi
逆のケースということは、業務経歴とか別の条件があったのでしょうか。
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