年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

花の絨緞

2013-05-12 | フォトエッセイ&短歌

 絨緞は厚い毛織物の敷物の事で難しい字である。ジュータンと読みは何とかなるが、書くとなると手強いのでカーペットで賄う事が多いが、何となく安っぽい感じがしてくる。絨(じゅう)は厚い毛織物、緞(たん)は生糸で織った地に厚い織物で厚々の感じがする。ペルシャ絨毯は世界のブランド品であるが、蛇遣いとか、魔法のランプとか、ラクダの盗賊とか、不可思議な魅惑の織物であった。
 子供の頃に空飛ぶ魔法の絨緞を本当の事と思い、絵本片手に呪文を唱えて遊んだ思い出がある。半信半疑とは云え、このまま本当に飛び出したらどうしたらいいのか、かなり深刻に悩みながらの呪文である。
 転がり落ちたら痛いだろうとか、降りる時にはどうしたらいいのか、そんな思いである。幸いな事にムシロの絨緞はフワリと浮くこともなく姫君を脇に載せて安心して遊ばせてくれた。魔法の絨緞にはそんな子供達の想像力をかきたてるものがあった。
 春の野山を花の絨緞に乗って巡ってみよう、歳時記の新聞記事に誘われて出掛けてみる。ピンクと白の芝桜が新芽の浅緑に映えて照るように展開している。白とピンクのペンキを流したようで風情には欠ける花である。グラウンドカバーとして使用される花とあるがナルホドと納得させられる。5万株が植えられているという。これだけ揃うと有るか無きかの芝桜の香りも濃密となる。いよいよ、春は本番を迎える。
 私、本名は<花詰草、花爪草>なんだけど俗名<芝桜>に地位を奪われてしまったの…、そんな一文を見たので蛇足ながら記しておく。

華の絨緞の異名を持つ芝桜の見事な展開

  武骨なる岩盤蔽う芝桜訪ねし人の眼差しに笑む

  さみどりが花爪草に溶け込んで春の小原は淡彩の中

  五月照るシバザクラ背に声高く山菜商う大男あり

  紅白の花詰草にさ緑が混じりて春の夕暮に霞む

  吊り橋にさんざめく子等の声高し花詰草も笑いて迎う


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