年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

猫だまし

2015-11-25 | 俳句&和歌

◇◇◇   猫だまし

 何とも締まらない千秋楽だった。黒星の日馬富士が、「結びの一番」で白鵬の三連敗の黒星で賜杯が転がり込んでニンマリ優勝である。白鵬に土をつけた横綱鶴龍は何と9勝6負で辛うじて勝ち越した。疑惑の勝敗ではなかったのか。
 まあ、それは兎も角として今場所の話題は「猫だまし」である。小兵舞の海の得意技でお馴染みである。相撲の立ち合いと同時に、相手の目の前に両手を出して叩き、相手の虚をつく奇襲戦法。相手がウン?とまばたきする隙に、有利な体勢に持ち込む。格下力士が一か八かで行う立ち合いの戦法である。
 ドンとぶつかってバッシと四つに組むのを正々堂々の横綱相撲と云うなら「猫だまし」は姑息な、狡猾な立ち合いのイメージは避けられない。故・北の湖理事長は「前代未聞、横綱としてやるべきことではない」と即刻クレームをつけた。白鵬は「楽しんでいます」と切り返した。舞の海解説は「白鵬は話題づくりとして、ファンサービスとしてやったのかも……」。そもそも「猫だまし」というネーミングが面白い。ネコじゃらしを猫の目の前で振ると驚いた猫は突然、中腰に立って前足をばたばたさせる滑稽な姿から来たという。
  白鵬はテレビを通して全国の相撲ファンに「猫だまし」を喰らわせたのではないか。何かと相撲協会との確執が出始めている白鵬、「猫だまし」の真意は不明である

 


  背の砂に二すじ三すじ汗の川切る手刀にうねって光る

  日馬富士鶴竜白鵬本名を知る人ぞなしモンゴルの力士

 


     秋場所のクンロクかすむ猫だまし

     名も体も大砂嵐の角力こそ

 


※白鵬翔(はくほうしょう)=本名:ムンフバティーン・ダワージャルガル
※クンロク=9勝6敗 横綱鶴龍のクンロクは恥ずべき黒星
※角力(すもう)=相撲と同じ、秋の季語