年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

蛇の脱皮

2013-01-21 | フォトエッセイ&短歌

  トグロを巻いて頭と擡げて赤い舌をチロチロと舐める蛇、蛇に怨がないが気持ちの良いものではない。鼠  牛 虎 兎 龍 蛇 馬 羊 猿 鶏 犬 猪と並べてみても蛇はクネクネと地を這う爬虫類(はちゅうるい)で人気度は最低である。出来るものなら出会わないに越したことはない。
 しかし、今年は巳年で年賀状は蛇オンパレードで可愛いマンガ風の蛇が新年を飾った。しかも賀正だからそれらしく巳年の蛇を幸運を運ぶ動物にしなければならない。蛇の脱皮は「復活と再生」を象徴し、多産と豊穣を表す不老長寿のシンボル。七福神のひとつ「弁財天」は蓄財と芸能の女神で、蛇の形をした神として祀られている。
 蛇の抜け殻を財布に入れて蓄財を願えば効果テキメンとか。う~む、そうか「年末ジャンボ宝くじは外れたし挽回しなければ」と風花の舞跳ぶ寒風の中、祭神が金蛇大神という金蛇水神社に初詣を敢行したのだ。宮城県岩沼市の金蛇水神社、如何にも御利益がありそうな社名である。
 そこには期待通り金運円満・商売繁盛の即効蛇が多数いたのだ。まず、これはと思える蛇を選んでお賽銭を上げる。次いで祈願成就が成るように誠の心情で拝礼する。そして、(ここが一番大事)財布を蛇の頭に載せ軽く数回まわして最後に拝礼して終わる。
 いつの段階でどう金運が転がり込んで来るのかは勿論不明ではある。帰路に10円玉を拾うか、年末に6億円を手中にするのか、金蛇大神のみが知ることである。

<蛇にもイケメンがいてその前にはお賽銭が溢れている>

  葦が伏す沼涸れ果てた冬ざれに脱け殻おきて蛇は地にもぐる

  枯れ茅に霜柱立ち冬ざれの蛇の脱け殻こがらしに震え

  葦が伏す冬ざれの沼涸れて蛇の脱け殻からまりてあり

  石なぜて金など貯まる訳はなし でも「運が来る」かと財布を載せる

  天井に青大将がトグロ巻く神の使いと崇め眺める

  友の手のヘビにソロリと触れてみる感触今は記憶にもなし

  蛇つかい魔法のランプの夢尽きず千夜一夜を抱えし頃あり