年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

09'秋浪漫<2>会津街道

2009-11-12 | フォトエッセイ&短歌
 七ヶ宿街道の滑津宿(なめつしゅく)の外れに滑津大滝(なめつおおたき)がある。太平洋に流れる阿武隈川の支流の一つ、白石川の上流にかかる高さ10メートル、幅30メートルの滝である。
 火山から噴出された火山灰が堆積して出来た凝灰岩(ぎょうかいがん)で出来た川床を流れ落ちる。凝灰岩は河川などの浸食に弱いため、さまざまな形に浸食され風光明媚な地形を作る。滑津大滝も階段状になっていることから「二階滝」とも言われる。

<街道から滑津大滝を眺め降ろす。渓流の瀬に映る色づき始めた鮮やか紅葉>

 羽州街道を桑折宿(こおり)まで下ると奥州街道にでる。奥州街道を下って会津街道を西に進むと猪苗代湖である。会津街道は新潟に通じる道で越後街道とも呼ばれる。陸奥(みちのく)とはいえ紅葉が平地を染めるのは後数日を必要とするかもしれない。
 ススキが揺れる。晩秋の凛とした陽射しが季節の変わり目を爽やかに映し出している。ススキは「芒・薄」で、萱(かや)・尾花ともいう。種子(正しくは穎果・えいか)は如何にも儚げな感じである。

<種子には白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなる。種子は風によって飛ぶ>

 琵琶湖・霞ヶ浦・サロマ湖に次いで日本で4番目の面積を持つ猪苗代湖が左手に開けて来る。湖辺を6kmも進むと明治41年に完成した国の重要文化財に指定されている天鏡閣(てんきょうかく)に至る。天鏡閣の命名は、李白の漢詩「明湖落天鏡(めいこはてんきょうをおとして)」に由来していると言われる。
 旧有栖川宮家別荘で西洋文明を移植しようとしている明治史の1ページが展開。一部三階建てのルネッサンス様式を巧みに取り入れた、和洋折衷の建築様式で白い板壁やバルコニーの外観に特徴がある。遙か遠くになった明治を猪苗代湖に映している。

<1952年、福島県の所有となり会議や講習会などに利用していたという>