年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

濡れて行こう

2007-02-23 | フォトエッセイ&短歌

如月雨水。24節気の雨水(うすい:雨水ぬるみ草木が発芽)を越えた。小学校の頃だった。登校途中、崖下の氷柱を取ってはチャンバラごっこで振り回していた。手袋もなく冷たかったナ~。雨でも降れば氷雨となって震え上がり「夕方からは雪になるでしょう」となる予報の季節だ。1メートもある氷柱も珍しくはなかった。暦と体感的寒さが大きくかけ離れる頃であるが、今年はいかにも一致している。
傘を握る手に寒さはなくコートの内は汗ばんで来る。若芽の出る頃、静かに染みいるように降る春雨の風情である。春雨と言えば時代劇の傑作、大川橋蔵の『月形半平太』である。
「月さま雨が……」「春雨じゃ濡れて行こう」 ~動乱の幕末、舞台は京都。桂小五郎に後事を頼まれた月形は、同志の暴発を抑える役目を果たすが理解されず四面楚歌となる。京に潜入した桂から薩摩長州連合成るを聞く月形だが、その夜半平太は同志の手で新選組に売られ、壮絶な斬り死にを遂げる~

 
白堂翁の書跡で参りましょうか。雨水。*初候…土潤い起こる *次候…霞初めてたなびく *末候…草木萌え動く 春寒し人熊笹の中を行く (前田普羅)
  
純白の桃の花が灰のような春雨に潤い、大きくほころんでいます。滴が曇天の空を映して落下しています。