経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

ある会議、または馬と鹿の話

2007年07月13日 | Weblog
 ある会社の経営会議に出た。

カネがない会社だ。現にキャッシュフローに毎日、冷や冷やで、この会議ぎりぎりまで、専務が銀行へ相談へ行っていた。毎日が綱渡りである。

 それで、「なんで・・・」と私は、思った。
 社長から出されている議案は、人事異動の1つを除いて5案とも、大なり小なり金がかかるものばかりだ。

 金をかけてはだめだ、といいたいのではない。カネがないというのも情報、あるいは条件の一つ。その情報に対して、その条件を充足させる最適の対応、案件を講じる、といった考えが何で出てこないのか、ということである。

 それを、はなから、カネがなければ何も出来ない。だがカネがない。だからどうしたらそのカネを調達するか、といった前提で、熱心な論議をしている。馬鹿な論議は、熱心にやっても、より馬鹿なことになることはあっても、賢い結論が出るわけはない。

 馬を鹿と間違えた人を馬鹿と呼ぶようになった。鹿を馬と間違えても、同じだ。
馬肉をミンチしても、それは馬の肉。鹿肉をミンチしても、それは鹿の肉。
 この話はわかるのに、なぜ自分たちの会議が、馬鹿な話と同じだ、といったことがわからないのだろう。
 
 戦略は、択一である。だから2つの方向、選択肢が存在する。それを公平に論議し、1つを選択する。これが経営会議(最高経営会議、取締役会、常務会、呼称はいろいろある)の役割である。それをこの会社では、最初から1つを選び、1つを捨て、戦術の論議をしている。経営会議で、経営の根幹テーマ、戦略が論議されないで、どこでやる?

経営がわかっていない。戦略がわかっていない。戦術がわかっていない。会議がわかっていない。
 
 これだけわかっていないのだから、ほんとうは経営とは呼べない。だが経営レス、といった呼称がないので、文中、経営という語を当てた。(続く)

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