政治が不安定である。
経済が不安定である。
企業が不安定である。
そこに共通するものは、なにか。
このことを、私の関心である企業の増収増益の体質構造づくり
に関する考え方から、普遍性がある共通要因を考察してみたい。
それは、危うい風潮の到来に覚えるからである。
ところで、上に言う構造とは「永続的に増収増益を生み出すしくみ」と理解したい。
だから、私は一過性の増収増益には、あまり関心がない、
が、起業・創業には大いに力を入れている。
なぜなら創業時に増収増益の構造を組み込んでおけば、
その事業は必然的に増収増益の途を歩むことになり、
これが私の理想とするところだからである。
それに正直言って既存企業の場合、たいてい一過性の売上げや利益を求めて、
散々カンフル注射や精力剤を用いており荒れた体質を持っている。
これを完全に取り除き、恒久的な増収増益構造に入れ替えることは、実に難しい。
一過性的なやり方で永劫的な繁栄は得られないことは、
みな承知はしているものの、それを「止めること」、「やらないこと」を恐れる。
誰しも先の恐怖より、今の恐怖を避けたがるものだ。
その結果今日の成果を求めて、一過性的な販売促進(以下販促と略称)を行う。
それが、企業生命を縮めていることには気が付かないし、そのゆとりもない。
今の売り上げのために有効的で高く評価された販促行為が、
将来(さき)の不振や、時には企業の死活にかかわる事態の起因になるとことを、
私たちは、いやっというほど見てきたのではないか。
「お店で繰り返し買うお客を永続的に増やしていくこと」
これを、私は販売促進の要諦と定義としている。
キーは「繰り返し買ってくれる」という点と「永続的に増やす」
この2点にあり、この双方を具現することにある。
そして究極的には事業が繁栄し続けるための構造を構築する、
そのステップにのっとってなされるのが本来の販促であり、
それを具現する手段として科学的計算性に裏打ちされた数々の戦術がある
ということである。
ところが爾来、この販促は、
「どうしたら売れるだろうか」という企業の観点から思考、実施されてきた。
これは「何らかのフォローがないと売れない」ということを前提にしている論理である。
だから営業しなければならない、だから販促が必要だ、
ほっておいて、予算は達成できない」
といったニュアンスが先にあり、裏にある。
当然、その日その日をいかにして客を集め売上を上げていくか、
ということに関心が集中し、行動がそこへ始終する。
だから、そこには、
「どうしたら、このお店が、お客から選ばれるだろうか」。
「どうしたら買って頂け、その結果喜んで頂けるか」
といった消費者を中心、主体においた思考が生まれる土壌がない。
このことは畢竟、事業者自ら「永続的に増収増益を生み出すしくみ」
の構築を放棄してきたことを意味する。
こうした売り手側の論理でなされることに対する、
消費者の不信感からの拒絶意識は高い。
特に昨今のように国のリーダーであるべき総理大臣の存在が、
政党間ならまだしも党内の党利、個利の道具として
もてあそばされている、といった風潮の中にあってはなおさらである。
培う、育てる、このプロセスは、投資だらけで見返りがない期間なのである。
釣り道具を一式揃え、釣り場に出向き、餌を投じる。
ここまでは収穫、見返り、利がない。当然のことなのだ。
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にもかかわらず、ここに利を求めたがる風潮にこそ、ものが育たない根本がある。
そのことが将来(さき)の国益、将来(さき)の企業の存在すら揺るがす
大本になっている「それは、危うい風潮」の到来に思えるからである。
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