経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

行き先なき車

2010年08月20日 | Weblog
早起きしてF県の創業企画書のレフリーをしている。

創業するのは難しくない。
存続し続けることが難しいのであるが、
たいていはこれを飛ばして、学ぶ者も時にして学ばせる方も、
いかに発展するかに心が飛んでいるのが、
「新規創業経営計画」の類である。

まず案じなければならないことは、
自分は何を持って、消費者に貢献できるか。
そうした人たち、すなわちお客がいるのか、来るのか。
どれだけ来ていただけるかであろう。

そして、
事業を支えてくれる消費者の存在が、事業を維持し続け
るだけ、どれだけ確実性を持って見込めるか。
そして足りないとしたら、それをどう補填するか、といったこと。
これが死活を決めるわけだが、その認識がない。

どの計画書を見ても、
開業したら、こちらの経営計画通りお客が来てくれる、
という想定で、数値、計画などが立てられている。

脱サラ組に、この世、自分を中心に回っているかのような
天動説論者が、とくに多いようである。

ターゲットとかセグメントとか、聞いたようなキーワードを
ちりばめて書けば、胸がワクワク、バラ色の夢が実現する、
そんなあどけない思いに浸って書かれた計画書を見れば、
この世、なんと楽観主義、夢想家の多いことよ、と思ってしまう。

それでいてこうしたレポートでの文章の書き出しは、
 厳しい経済情勢の折・・・
 円高傾向で・・・・
 バブル崩壊後、以前・・・
 少子化・高齢化に加えて競合の激化・・・

と、いった世の中、すべてマイナス要因、敵だらけ、といった
羅列をけして忘れていないことに、思わず苦笑してまうのだ。

私は苦笑で済むが、
これから創業、起業し、経営者になろうと言った人は
こんな創作物では,破綻は目に見えている。

雨の日も晴れの日も、曇っても雪降っても、進む、
後退をアクセルとブレーキを自在にこなしてこそ車の運転。

情報も、条件も自分の進歩発展に活かし、活用するためのもの。
このことをしかと意識していないと、おとぎ話か
地獄へのガイドブックかに、なってしまうのだ。

作文と事務手続きで、創業はできよう。
現に、そのことだけを内容とした創業塾、
夢と薔薇を散りばめた創業セミナー
売れて儲かることを説く創業ゼミ
が、巷で氾濫している。

それらに抜けているもの、
車を運転できることが目的ではない。
車を乗り回すことが目的ではない。
どこへ行きたいのか、ゴールは。

行き先を決めず車に乗って、どうするの?。

経営か企画書に目を通すのを中断しこの人たちの行く末を案じる。



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