経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

宝の山

2011年02月12日 | Weblog
「企業全体でせっせとやっていることは、
さらに大きな墓穴堀り・・・」。

こうした私の言い回しが大げさに聞こえ、
その大変さが理解できないとしたら、
それらなしていることが日々の些事として
見過ごしているからに他ならない。

気がつかないから、やがてその損失金額は莫大になる。
そして、突然、コトはおきる。
プラス事を積み重ねれば、プラス事の山となる。
マイナス事を積み重ねれば、マイナス事の山となる。

プラスの山の積み重ねは、
周囲の人々が支えるから崩れることはない。

しかしマイナスの山は、損失の山。
これを喜んで支える人たちがどこにいよう。
だから、突然、山は崩壊する。


とりあえず、この今から
机上と現場での視点のずれ、意識の乖離
といったことから生じる夥しい損失の恐ろしさに気づくことだ。
そしてその分のエネルギーやコストを、
消費者・利用者の喜ぶことに振り替えることである。



これまでマイナスになることに投じていたエネルギーやコストが
プラスになることに投じられるのだから、
余分にかかるどころか、業績に倍加して貢献することになる。

一人の口コミはねずみ算で拡散する。
その内容がマイナス事でもプラス事でも、
変わりないコトを考えれば、当然だ。

もともと事業の本質は、その存在、なす事の意義が、
他の人にとって有り難く、喜ばれることを持っている。
故に存在し、成り立つものである。

人は生きていくために、日常生活で必要なものを欠かせない。
これまで、山を超え、谷を越えて、
それを手に入れに行っていた村人たち。

そうした村に、その山の向こうから峠を越え、
それらの商品を背に担った商人にくる。
そうしたときの村人の気持ちはどうであろう。
商人に対する、気持ちはいかがなものか。

そうした村人の思い、気持ちを、
今の商人達は自ら彼らに抱かせることができるのか。
そうした村を訪れる商人に、チラシやCMが必要だろうか。

こうした話をすると、きまって

「そりゃ、時代が違いますよ」
「今はね、競争関係がありますしね」
「ものあまりの時代で、お店もいっぱいありますしね」

と、言い出す。言い出さなくても、心にそう思っている。
そうした堂々巡りしたい人は、「どうぞ、そのまま」と言いたい。


私は言いたい。
「時代が違っても変わらないものありますよ。
そこへ着眼されたら」

「今、競争関係があるから、なおのこと、
お客様が喜ばれることを欲されておられるのです。
そこへ着眼されたら」

「ものあまりの時代で、お店もいっぱいありますから、
消費者は選択眼が鋭く自分たちが喜べるお店を探しておられるのです。
あなたのお店がそれになれば良いではないですか」


ときおり私は、悲しくなる。
宝の山は、人間にとっては宝の山だが、
人間以外の動物たちにとっては瓦礫の山にみえるのか、と。