経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

小事、大事に至る

2011年02月07日 | Weblog
以前、私が利用したホテルの話。

HPには、「脱日常性の開放感」とあり、
カタログには、「ご家庭のくつろぎを」というコピー。
さらに部屋のバスルームには、
「限られた資源の節約にご協力ください」
といったステッカーが貼られていた。

この矛盾、おかしさにこのホテルの経営者や支配人は
気がついていないのだろうか。

こうしたことにも気がつかない彼らが、
これまた自ら謳い文句としている「最高のおもてなし」ができるのだろうか。

それとも彼らの自宅のバスルームには、
「「限られた資源の節約にご協力ください」といったステッカーが
貼られているのであろうか。

私からみたら、わざわざ手間暇とコストをかけて、
マイナスになることをやっているように思えて
しょうがないのだ。

ホテルの、この部屋の水道は飲めるのか。
ひょっとしたら屋上のタンクは、いつぞやワイドショウで、
取り上げられたがあったが、汚れ放しではないだろうか。

こんな不安を持つユーザーは少なくはない。それに対して
「地下からくみ上げた自然水です。たっぷりお飲みください」
というステッカーが貼られてあるホテルがあった。

これは見事だと思って、以来定宿をここに乗り換えた。


消費者を不愉快にし、悪口のクチコミをさせ、
お客に背を向けさせる要因も、
反対に、良いぞ、良いとこだよとクチコミをし、
お客の呼び込みをしてくれるといったことの分岐要因は、
高邁な経営理念、方針といった抽象的、間接的なものからではない。

直接的、具体的に五感で、見聞き感じられる形、コトとして、
客が受け取る想いや感じが、ユーザーの選択を左右しているといってよい。
それら一つ一つを、経営者からみたら些事・小事に見える。

しかしその些事、小事は、間違いなく形、コトである。

そしてその選択により、経営が左右され、困るのも、喜ぶのも
企業でありその経営者の方である。
大事になるのも、小言になるのも、起因はこうした些事からである。
なぜなら大事は、経営者ならずとも従業員が気がつくし、
経営者の小言が怖くて糺すからである。
だから大事になるのは、経営者すら見逃しそうな些事・小事である。

端的に言えば、些事が、売上の好不調という結果を左右している
といっても過言ではあるまい。