経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

そば談義のそばで

2007年09月22日 | Weblog
 小林さんとその師匠 蕎麦の達人、田中國安さんが話しているのは、むろん蕎麦の話である。それもうまい卵焼きは、味醂は何処のに限る。これを◎ミリリットルとか、師匠が小さな、それもくしゃくしゃなシミだらけのメモ帳を元に、弟子に話している。

 私は小林さんの隣に座っている訳だし、ふたりは声を落としているのではないから、全部内容が聞こえる。聞こえても私には、まったくわからない。そば屋ではないからだ。

 だが、蕎麦以外のことならわかる。わかったことは、大きく次の3点。
1に、ふたりが相互に信頼視あっている師弟で、それも私が入り込めないような親密な関係だ、ということ。
2に、あの「俺が、俺が、」の小林さんが、きわめて自然な形で、聞き役、教わる姿勢に入っていることに、いつもと違う彼を発見したようで、感服したこと。
3に、蕎麦のことはわからないし、聞こえないが、田中翁は、私に商いの神髄を話してくれている気がしたこと。
 小林さんには、蕎麦の話。私には商いの神髄、まるで二重音声の講話を聞いているような、そんな錯覚さえ覚えたぐらいである。

 翁は、もちろん商いの神髄とか、商い秘伝とは、について話しているのではない。
だが、私の耳には・・・・・。
     こんな最低の立地で、
     こんな小さな、狭い店舗で、
まったく宣伝もせず、
     ひっきりなしにお客が来て、
週休二日、一日5時間の営業で、
従業員と自分たち8-10人を養い、
かつ繁盛店であり得る、
それは、なになのか、
が聞こえてくるのである。

 それは私が、このお店に入ってすぐ仮説を立てたことに対しての明快な答え、それが、翁の口から流れ出ている。しかも明快にシンプルに、である。

 飛行機の時間が、17時でなかったら、と少し後ろ髪を引かれたが、うまい蕎麦を頂いて、ばたばたとお暇した。