「髪結い伊三次捕物余話」の文庫本第6
巻の最後のお話し。青春のほろにがさと
ともに、スピード感のある展開であった。
5巻の暗さと比べたら様変わりとなって
いる。
宇江佐真理さんは、昨年の11月に亡くな
られたが、ライフワークともいわれる代
表作が「髪結い伊三次捕物余話」だ。
亡くなられてから、少しずつ読み始めた。
これがなかなかおもしろい。
江戸時代の髪結いと芸者の恋と結婚、そ
のなかでの捕り物が展開されていく。
貧乏な髪結いと芸者のとりあわせは普通
では考えられないところがおもしろい。
伊三次は十手をもたない「小者」として
活躍していくが、上司の同心をはじめ、
みんな欠陥人間ではないかと思われるほ
ど人物描写がすばらしい。スーパーマン
は誰もでてこない。
いわゆる江戸の「市井」ものだ。
時代小説の醍醐味は、市井の人情ものの
なかにあるのではないだろうか。
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