交配が成立して~子犬が産まれる期間は約62日です。無事に出産にいたる子もいれば、偽妊娠で終わる子もいます。これまでイノセントでは、受胎率が高くて☞ 90%以上の確率でした。ルクレチアの交配後から、毎日・・毎日・・身体の様子を見てきました。25日を過ぎた頃から、段々と下腹が膨らんできました。私は、イケる・・イケる 受胎してくれたと思い、ルックちゃん、ありがとう
と喜んでいました。
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しかし、お腹のふくらみかたが普通ではなく、30日を過ぎた頃からパンパンになってきました。長年の経験から、これは違う 妊娠ではない
と察知した私は、病院へ行きました。そしたら、その勘は当たっていました。ルックは妊娠したのではなく、子宮の中で炎症を起こしていました。子宮蓄膿症まではいっていないけれど・・・炎症で腫れていると。私は⇒ やっぱりそうだったのか・・・ルックとエニオに申し訳なくて辛い出来事でした
先生は、このようなケースは、手術をして子宮を取るのが安全策です。手術をしますか と聞かれました。私は悩みました。ルックはこのときまだ2歳半でした。やっと迎えることができた、初の女の子。この子の、子供が欲しかった
まだ若いから・・可能性があるなら。私は先生に言いました。子宮を取らないで・・
治る可能性があるなら、そちらの方法を選択したいと。そしたら先生は、はい!ではやってみましょう。でもお薬の治療で治る見込みが立たない場合は、すぐに手術に切り替えますよと。はい!分かりました。私は祈る気持ちでルクレチアを病院に託しました。毎日面会に行きました。治療は主に点滴治療です。一度に沢山注入するのではなくて、何時間も時間をかけて少しずつのほうが、ワンの身体に負担が少ないからと。
それから5日くらいで炎症は収まり、身体全体も回復しました。ご飯も最初からよく食べていました。たしか~10日ほど入院&通院していたと思います。ルックは入院した時も家に戻ってからも常に元気で、自分が病気をした自覚はないようでした。私の機転が早かったので、蓄膿症になる前での発見でした。
その後1ヵ月検診・3カ月検診・6カ月検診でも異常なく、完治しておりますので、交配しても大丈夫ですよ!と先生はおっしゃいました。
しかし・・その後ルクレチアにヒートが来ても、エニオが興味を示すことはありませんでした。交配にいたらないのですから~子犬を宿ることはありません。ここで、この組み合わせの子犬は・・諦めるしかありませんでした。
5年ほど前ですね。ビックサイトで、ルクレチアの応援に来てくださったソフィ&アンちゃんのパパさん・ママさんです。ありがとうございました。
エニオ君たら、私を見事にふってくれたわ。ワタシだってなかなかの美人だし、ショーでカッコよく走ったのよ。エン君は、レイラを好きなのは分かってるけど。。。ワタシは、うっふんレイラに負けたわ
by ルック。
いえいえ違うのよ。負けたのではないのよ。私は考えました。この子はきっとヒートは来ていても、排卵が少ないのだろうと。排卵が少ない子は、見ていて分かります。男の子へ対してのモーション&アタックも少ないです ヒートの期間も短いです。交配に慣れた男の子は、排卵の少ない女の子には、強硬な態度は取りません。それらがぴったりと当てはまりました。この子に子供を望むのはやめようと思っていました。
ルクレチアは、男の子との交配はできないだろうとあきらめていて、繁殖する気持ちも失せていたのに・・新たな光が灯ったのです。それは、2016年に迎えた男の子・ミリオンの存在でした。ミリオンは、ルクレチアのヒートに、ものすごく反応しました。ルックちゃん~好き好き
とラブラブ光線
すごい勢いで迫りました。今まで何度もエニオに冷たくあしらわれていたルックも、ビックリ仰天
嬉しかったようで、しっぽを上げて~よろしいのよ
と受け入れようとしました。
ミリオンは、ルックに対して、やる気満々でした。男の子がその気にならないことには、大切な儀式は成り立ちません。ミリ君、ありがとうね。しかし~肝心なところで、うまくいきません。交配って、何度経験しても緊張します。男の子の身体も、女の子の身体も傷つけないように、慎重な注意や配慮が必要です。ワンコも、うまくいかないときは、多大な体力を要します。
私はいつも、自分一人で交配の作業をしてきました。デリケートなIGは、第三者が入るとできなくなる場合もあります。だから、私一人で行ったほうがスムーズでばっちりでした。
しかし、この2匹に限っては病院へ行きました。かかりつけではなく、初めての病院です。それは、その病院には繁殖科という項目があり(その点では)有名な病院でしたから。ここを受診しているのは、海外から輸入したワンの、貴重な血液の子孫がほしい~というショーブリーダーが多かったです。私の友人ブリさんも、子犬に恵まれずにこの病院にかかっていました。先生もそのことを理解されており、北海道大学・獣医学部で繁殖を専門に研究された方でした。
その病院で2匹の検査をしていただきました。そこで伝えられたのは、ルクレチアは排卵が非常に少なくて、自然妊娠はむずかしいだろう ということでした。自分でも分かってはいましたが・・まさかの・・自然では・・むずかしいとは。分かってはいても、こうはっきりと告げられるとショックは大きかったです。
しかし先生はおっしゃいました。そこでやめてしまえば、先はないですよ。行動を起こして初めて、先に進めますからと。排卵を活発にさせるホルモン注射がありますので試してみますか?そのお薬は危険性はなく、多くの方が使用してきました。その結果50%の確率で妊娠にいたっていますよと。当時ルックは4歳になっていました。
私は、このように繁殖に理解のある先生と出会えたことも、ご縁であり、自分のこれからの為になる勉強だと考えました。そして注射を打っていただきました。ルックには申し訳ないけれど、まだ・・赤ちゃんがほしい~
という、かすかなのぞみを抱いていました。その注射はヒートが来てから2~3回打つのが通常です。そして通院しながら排卵の状態を見ていきます。でも、頑張ったわりには排卵数は上がりませんでした。
しかし、ミリオンはやる気は大いにありました。周りに先生方がいらっしゃるのに、ルックにきちんと乗って、男の子の仕事をこなしてくれました。そうです~この病院で、わたくしの人生初の⇒ワンの人口受精をいたしました。先生方の手でです。先生方がテキパキとやってくださり、キレイに消毒もしてくださり完璧でした 私は一部始終をみて、勉強しました。これなら私にもできるわ
ここまでの20年間、わたくしは、全部自然交配でした。ブリーダーの中の多くの方は、人工授精をされています。そのほうがワンの負担も少なくて安全と言われています。それも、先生の行為を見て分かりました。本当に早くて、すぐに終わりました。大型犬同志は交配も大変です。友人のフレンチブルのブリーダーさん達も、人口受精だそうです。
私がここまで自然交配だけで来られたのは、良いワンコたちに恵まれていたんだなと~つくづく思いました。改めて、歴代のワンコたちに感謝しました。
その後・・ルクレチアは、妊娠することはありませんでした。想定していたことなので、落胆はしていません。先生は、ボクが学んだ北海道大学の、繁殖プロジェクトを紹介いたしましょうか。と言ってくださいました。でも私のきもちは決まっていました。NO~!です。自然に逆らうことは無理があります。これまで勉強させていただいただけで十分でした。
ホルモン注射を打った帰り、車の中で疲れ切って横たわるルクレチアの姿を、見ているだけで切なくなりました。ワンはそんなこと望んでいないのに、私に付き合わされてしまった。文句も言わずに、今日はどこへ行くの?とついてきてくれた。その従順な姿を、瞳を思いだしては涙 でした。うちに来たばっかりにね・・・子供が欲しいばっかりにね。ごめんね。もうこれでおしまいだよ。痛かった注射は、しなくていいよ。
ルクレチアは遠い海のかなたから、飛行機を乗り継いで、長い時間をかけてきてくれました。それだけで、嬉しかった。それだけで、大満足だったのに。私も初心を忘れかけていた( 一一) このまま元気に、イノセントで長生きしてほしいです。
現在のルックです。みんなと仲良くて、とても良い子です。
今年7歳になったよ。右端は11歳になったエニオ君。おじいちゃんになってきたよ。寝てばかりです。
レイラとエニオは、共に11歳になっても相変わらず仲良し~ラブラブです。最近撮ったばかりの写真です。
おじいちゃん&おばあちゃんになりつつある二人の中に、割り込むルクレチアです。かつての うっふんレイラには負けたけど・・割り込んでやるわ
ワタシのほうが若くていい女なのに・・
エン君ったら、いつまでも うっふん
レイラにぞっこんね
ルックさん~わざわざ、こんな小さなクッションに入ってこなくてもいいのに。根に持ってるの?そ んなワケないよね。
ワンコが歳を取るのは早くて・・写真にも表れてきます。でも私は、歳を取って仙人みたいになっていく様子も愛おしくて可愛いです。老犬になりましたが、あえて載せました。誰でも、平等に歳をとりますよ。
ヨーロッパ同士の両親犬からの繁殖は、ルックちゃんからの夢は叶うことができませんでした。
その後、オペラが来日しました。オペラがCHを完成した後、初めてのエニオとの交配において、無事に赤ちゃんを授かり、出産することができました。ルックで、苦悩しながらできなかったことを(+_+) 数年後にオペラが叶えてくれました。
最初の男の子・ロナルドを迎えてから~実に10年以上の歳月が流れていました。
IGの輸入は、繁殖を目的で輸入したのではありません。私が、好きでたまらないタイプだから。まずは家庭犬として大切に育てていくこと。ショーにおいて私の好きなヨーロッパタイプを、日本でアピールしていくこと。譲ってくれたブリーダーさんへのお礼として、JKC・CHを完成すること。それからゆっくりと繁殖のほうへと移っていきました。だから、決して急いでいなかったので、この年月でした。順風満々だったとは言えませんでしたが、ゆっくりと私の夢は叶いつつあります。
その後も、オペラとミリオンの子供も授かりました。繁殖の基本⇒お互いの欠点を補う繁殖 スタンダードを目指すことは、いつも頭にあります。イタリアングレーハウンドだけを繁殖している、専門のブリーダーですから、当たり前のことです。
一度は叶わなかったことも、あきらめずに前を向いていけば、叶うかもしれません。ワンを道具のように扱わずに大切にしてきたことを。ワンたちは、私の愛情を感じてくれているはず。だから答えてくれていると思います。
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