昨夜は大きなお風呂でゆっくり疲れをとり、今朝は気持ちよく目覚めた。今回も夫と息子がツイン、私がシングルで宿泊中。2人の部屋にモーニングコールをしてからゆっくり足湯に浸かり、いつもどおりの旅先の朝のスタートだ。
朝食を摂り、義妹夫妻とレストランで挨拶して、今日はそれぞれ別行動だ。義妹は数十年ぶりに友人たちと会うという。
天気予報では曇り後雨、というのがちょっと心配ではあったが、予定通り、地元のタクシー会社が運行する定期観光ツアーに1日参加だ。
駅に歩いていくと、既にロータリーにジャンボタクシーが待っている。最後尾には年配の男性2人。私達3人で5人の御一行だ。8人乗りジャンボタクシーの運転手さんの庄内弁(「○○の~」と語尾にのんびりした「の~」が付く)を聞きながら、なんだか気持ちがほっこり。
この街に最初に来たのは結婚してまもなくのこと。その時義母のお友達の車に乗せて頂いて、観光スポットを回ってから既に四半世紀以上が経っている。その後、近場の温泉に泊まったことはあったけれど、観光らしい観光はしていないので、とても新鮮だ。
今日の最初の目的地はパワースポット・羽黒山の国宝五重塔。随神門から始まる表参道は、山頂まで約1.7km、2446段の長い石段である。見ただけでクラクラしそうだけれど、両側には樹齢350~500年の杉並木が続き、長寿のパワーが漲っているのを感じる。その数は400本以上で国の特別天然記念物に指定されており、森林浴の森日本100選にも選ばれているという。
深呼吸をすると両肺に新鮮な空気が浸み込んでいくようで本当に気持ち良い。山頂まで徒歩約50分だが、今回は五重塔まででUターン。途中の石段には盃やひょうたん、蓮の花などが33個彫られているそうで、これを全部みつけた人は願いが叶うという。とはいえ、時が経って石も擦り減っているので見つけるのは難しい。ドライバー兼ガイド(ガイドライバーというそうだ。)のSさんに山伏など3つほど教えて頂いた。雨が降った後で木々の濃い緑が美しく映える。
再び車で山頂を目指す。羽黒大神、月山神、湯殿山神を合わせて出羽神社と称し、三所の神々を合祀しているので建物を三神合祭殿という。一か所お参りをすれば3か所分の御利益があるという、一粒で3度美味しい神様である。その瓦葺は2メートルの厚さがあるそうで、屋根の急なカーブが雪深い地であることを物語っている。
鐘楼は「行く年来る年」でもおなじみのスポットでもある。正面には鏡池があるが、「古鏡」という私の好きなお菓子はこの鏡池が関係しているそうだ。
ここでおみくじ大好きの息子がトライすると末吉。よくもそんなに彼のことをご存知ですね、というほどあまりに当たっているので、思わず皆で顔を見合わせてしまう。しっかり読んで、その教えを忘れないでほしいものである。
続いては最上川舟下り。「五月雨を集めて早し最上川」という、あまりに有名な芭蕉の句であるが、その芭蕉丸に乗って1時間の船旅である。ここで雨がぽつぽつし始める。なんとかお天気がもってほしいと思いながら、お昼の竹籠弁当を渡して頂き、乗船。今日の船長さんは毒舌NO.1のIさん、船頭さんは癒しNO.1の女性Hさんだ。
テーブルを真ん中に畳敷きで座布団がしつらえられていて、とても快適。オレンジ色の救命ベストを着用していざ出発だ。一昨日までの雨で川の水量はたっぷり。それでも極静かな流れである。ちょっとしたアトラクションのような急流も楽しい。風が涼しく吹き渡りとても心地よい。
途中、水上コンビニに横づけし、お弁当では足りない夫がタコ焼きやら串焼きやらだだ茶豆のアイスクリームやらいろいろ買い込んでいる。見事な白糸の滝を拝み、あっという間に降船場に到着だ。
舟下りが午前中コースの最終観光地になり、大阪から来られたというご兄弟は酒田駅で降車。駅に向かう途中、前が見えないほどの土砂降りになる。皆で船の中でなくてよかった、危機一髪だったね、と言い合う。壮観な風力発電機が見えるはずが殆ど視界が利かず、おぼろげにシルエットが浮かぶだけ。これからは私達3人とドライバーSさんだけになり、もうプライベートタクシー状態である。午後のコースは湊町・城下町コースと名を変えて次なる観光スポットへ向かう。
相馬樓は、江戸時代より料亭「相馬屋」として賑わっていたそうだ。現在残る木造の主屋は、明治27年の庄内大震災の大火で焼失した直後、残った土蔵を取り囲んで建てられたもの。国の登録文化財建造物に指定されている。
現在は内部がすっかりリニューアルされ、1階は「茶房くつろぎ処」、2階の大広間はベニバナで染めた少しピンクが勝った畳が敷かれ、扇形の座布団に座って舞娘さんの踊りや食事を楽しむ演舞場に、厨房は相馬樓酒田舞娘の稽古場になっているそうだ。樓内の土蔵には、立派な雛人形や樓主所有の書画や古美術等を展示されている。
京都のだらりの帯の舞娘さんとは一味違った2人の舞娘さんと、1人の芸妓さんによる踊りを愉しみ、その後、舞娘さんとツーショット。
ツアーごとのシャッターチャンスだったのだが、私達はトップバッターで3人だけ。他の団体さんから注目を浴びてしまい、ちょっと恥ずかしい。夫は美人の芸妓さんの隣を陣取り、私は新人の舞娘さんの隣に座り、息子は「なんで僕はお母さんの隣なの・・・」と後でぼやくことしきり。その後、どの団体も大人数で賑やかな集合写真を撮影していた。
続いて本間家・旧本邸へ。本間家旧本邸は、本間家三代光丘が、幕府の巡見使一行を迎えるための本陣宿として明和五年(1768)に新築し庄内藩主酒井家に献上した、二千石格式の長屋門構えの武家屋敷だ。巡見使一行が江戸に戻ると屋敷を酒井家から拝領し、昭和20年の春まで住んでいたという。
桟瓦葺平屋書院造りで、武家屋敷と商家造りが一体となっている建築様式は、全国的にも珍しいのだそうだ。入り口には樹齢400年を超える赤松があり、そこでも長寿のパワーを頂く。 今日はまたしても寿命が延びたことを実感する。別館で小さなお雛様や米粒ほどのミニチュアのお寿司等可愛いお土産をゲット。
酒田といえば、山居倉庫である。かつて吉永小百合さんが撮影されたという欅並木と倉庫をバックに、3人で記念写真を撮って頂く。
その後、山居倉庫・夢の倶楽で買い物を愉しむ。息子は昨夜頂いた“つや姫”が美味しかったと買って帰ろうということに。
ここで酒田に別れを告げ、再び田園風景の中を走って最後の目的地である鶴岡・致道博物館へ。四半世紀前に一度、夫に案内してもらって訪れたけれど、今日は開館65周年記念で酒井家の遺宝展を見学することが出来た。国宝の刀を2本持っている地方の博物館は珍しいそうだ。今日は信長から頂いたという太刀を拝見してきた。
こうしててんこ盛りの1日観光も無事終了。止んだかと思うといきなり土砂降り。観光スポットへの出入りが大変だったけれど、ドライバーのSさんが車を入り口に横づけにしてくださったり、行く先々の方が傘を差してくださるなど、皆さんに親切にして頂いて、とても助かった。
3人だけだったので、降車予定地の駅ではなく宿泊先のホテルで降ろして頂くことも出来、ラッキーだった。親切なドライバーSさんのおかげで充実満喫の日曜日だった。
それにしても、料金の約65%は観光スポットの入場料と昼食のお弁当代である。ジャンボタクシーが満席であったとしても、残り35%から人件費を払い、車の減価償却を・・・、果たして利益は?などと考えてしまうほど良心的なお値段であった。これは、庄内観光に来られる方には絶対のお薦め物だ。
ホテルで態勢を立て直し、夕食はホテルに近い洋食屋さんに出かけた。ここでもとてもリーズナブルに美味しく頂くことが出来て、大満足。
明日は昼過ぎの飛行機で帰京する。一日中出ずっぱりでちょっと草臥れたけれど、次回家族揃って来るとしたらどんなに早くても4年後の、義母の七回忌になるだろう。思い切って目いっぱい観光することが出来て、いい日曜日だった。
朝食を摂り、義妹夫妻とレストランで挨拶して、今日はそれぞれ別行動だ。義妹は数十年ぶりに友人たちと会うという。
天気予報では曇り後雨、というのがちょっと心配ではあったが、予定通り、地元のタクシー会社が運行する定期観光ツアーに1日参加だ。
駅に歩いていくと、既にロータリーにジャンボタクシーが待っている。最後尾には年配の男性2人。私達3人で5人の御一行だ。8人乗りジャンボタクシーの運転手さんの庄内弁(「○○の~」と語尾にのんびりした「の~」が付く)を聞きながら、なんだか気持ちがほっこり。
この街に最初に来たのは結婚してまもなくのこと。その時義母のお友達の車に乗せて頂いて、観光スポットを回ってから既に四半世紀以上が経っている。その後、近場の温泉に泊まったことはあったけれど、観光らしい観光はしていないので、とても新鮮だ。
今日の最初の目的地はパワースポット・羽黒山の国宝五重塔。随神門から始まる表参道は、山頂まで約1.7km、2446段の長い石段である。見ただけでクラクラしそうだけれど、両側には樹齢350~500年の杉並木が続き、長寿のパワーが漲っているのを感じる。その数は400本以上で国の特別天然記念物に指定されており、森林浴の森日本100選にも選ばれているという。
深呼吸をすると両肺に新鮮な空気が浸み込んでいくようで本当に気持ち良い。山頂まで徒歩約50分だが、今回は五重塔まででUターン。途中の石段には盃やひょうたん、蓮の花などが33個彫られているそうで、これを全部みつけた人は願いが叶うという。とはいえ、時が経って石も擦り減っているので見つけるのは難しい。ドライバー兼ガイド(ガイドライバーというそうだ。)のSさんに山伏など3つほど教えて頂いた。雨が降った後で木々の濃い緑が美しく映える。
再び車で山頂を目指す。羽黒大神、月山神、湯殿山神を合わせて出羽神社と称し、三所の神々を合祀しているので建物を三神合祭殿という。一か所お参りをすれば3か所分の御利益があるという、一粒で3度美味しい神様である。その瓦葺は2メートルの厚さがあるそうで、屋根の急なカーブが雪深い地であることを物語っている。
鐘楼は「行く年来る年」でもおなじみのスポットでもある。正面には鏡池があるが、「古鏡」という私の好きなお菓子はこの鏡池が関係しているそうだ。
ここでおみくじ大好きの息子がトライすると末吉。よくもそんなに彼のことをご存知ですね、というほどあまりに当たっているので、思わず皆で顔を見合わせてしまう。しっかり読んで、その教えを忘れないでほしいものである。
続いては最上川舟下り。「五月雨を集めて早し最上川」という、あまりに有名な芭蕉の句であるが、その芭蕉丸に乗って1時間の船旅である。ここで雨がぽつぽつし始める。なんとかお天気がもってほしいと思いながら、お昼の竹籠弁当を渡して頂き、乗船。今日の船長さんは毒舌NO.1のIさん、船頭さんは癒しNO.1の女性Hさんだ。
テーブルを真ん中に畳敷きで座布団がしつらえられていて、とても快適。オレンジ色の救命ベストを着用していざ出発だ。一昨日までの雨で川の水量はたっぷり。それでも極静かな流れである。ちょっとしたアトラクションのような急流も楽しい。風が涼しく吹き渡りとても心地よい。
途中、水上コンビニに横づけし、お弁当では足りない夫がタコ焼きやら串焼きやらだだ茶豆のアイスクリームやらいろいろ買い込んでいる。見事な白糸の滝を拝み、あっという間に降船場に到着だ。
舟下りが午前中コースの最終観光地になり、大阪から来られたというご兄弟は酒田駅で降車。駅に向かう途中、前が見えないほどの土砂降りになる。皆で船の中でなくてよかった、危機一髪だったね、と言い合う。壮観な風力発電機が見えるはずが殆ど視界が利かず、おぼろげにシルエットが浮かぶだけ。これからは私達3人とドライバーSさんだけになり、もうプライベートタクシー状態である。午後のコースは湊町・城下町コースと名を変えて次なる観光スポットへ向かう。
相馬樓は、江戸時代より料亭「相馬屋」として賑わっていたそうだ。現在残る木造の主屋は、明治27年の庄内大震災の大火で焼失した直後、残った土蔵を取り囲んで建てられたもの。国の登録文化財建造物に指定されている。
現在は内部がすっかりリニューアルされ、1階は「茶房くつろぎ処」、2階の大広間はベニバナで染めた少しピンクが勝った畳が敷かれ、扇形の座布団に座って舞娘さんの踊りや食事を楽しむ演舞場に、厨房は相馬樓酒田舞娘の稽古場になっているそうだ。樓内の土蔵には、立派な雛人形や樓主所有の書画や古美術等を展示されている。
京都のだらりの帯の舞娘さんとは一味違った2人の舞娘さんと、1人の芸妓さんによる踊りを愉しみ、その後、舞娘さんとツーショット。
ツアーごとのシャッターチャンスだったのだが、私達はトップバッターで3人だけ。他の団体さんから注目を浴びてしまい、ちょっと恥ずかしい。夫は美人の芸妓さんの隣を陣取り、私は新人の舞娘さんの隣に座り、息子は「なんで僕はお母さんの隣なの・・・」と後でぼやくことしきり。その後、どの団体も大人数で賑やかな集合写真を撮影していた。
続いて本間家・旧本邸へ。本間家旧本邸は、本間家三代光丘が、幕府の巡見使一行を迎えるための本陣宿として明和五年(1768)に新築し庄内藩主酒井家に献上した、二千石格式の長屋門構えの武家屋敷だ。巡見使一行が江戸に戻ると屋敷を酒井家から拝領し、昭和20年の春まで住んでいたという。
桟瓦葺平屋書院造りで、武家屋敷と商家造りが一体となっている建築様式は、全国的にも珍しいのだそうだ。入り口には樹齢400年を超える赤松があり、そこでも長寿のパワーを頂く。 今日はまたしても寿命が延びたことを実感する。別館で小さなお雛様や米粒ほどのミニチュアのお寿司等可愛いお土産をゲット。
酒田といえば、山居倉庫である。かつて吉永小百合さんが撮影されたという欅並木と倉庫をバックに、3人で記念写真を撮って頂く。
その後、山居倉庫・夢の倶楽で買い物を愉しむ。息子は昨夜頂いた“つや姫”が美味しかったと買って帰ろうということに。
ここで酒田に別れを告げ、再び田園風景の中を走って最後の目的地である鶴岡・致道博物館へ。四半世紀前に一度、夫に案内してもらって訪れたけれど、今日は開館65周年記念で酒井家の遺宝展を見学することが出来た。国宝の刀を2本持っている地方の博物館は珍しいそうだ。今日は信長から頂いたという太刀を拝見してきた。
こうしててんこ盛りの1日観光も無事終了。止んだかと思うといきなり土砂降り。観光スポットへの出入りが大変だったけれど、ドライバーのSさんが車を入り口に横づけにしてくださったり、行く先々の方が傘を差してくださるなど、皆さんに親切にして頂いて、とても助かった。
3人だけだったので、降車予定地の駅ではなく宿泊先のホテルで降ろして頂くことも出来、ラッキーだった。親切なドライバーSさんのおかげで充実満喫の日曜日だった。
それにしても、料金の約65%は観光スポットの入場料と昼食のお弁当代である。ジャンボタクシーが満席であったとしても、残り35%から人件費を払い、車の減価償却を・・・、果たして利益は?などと考えてしまうほど良心的なお値段であった。これは、庄内観光に来られる方には絶対のお薦め物だ。
ホテルで態勢を立て直し、夕食はホテルに近い洋食屋さんに出かけた。ここでもとてもリーズナブルに美味しく頂くことが出来て、大満足。
明日は昼過ぎの飛行機で帰京する。一日中出ずっぱりでちょっと草臥れたけれど、次回家族揃って来るとしたらどんなに早くても4年後の、義母の七回忌になるだろう。思い切って目いっぱい観光することが出来て、いい日曜日だった。