ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.5.24  大切なのは、自分の“心”がどう感じるか

2013-05-24 23:28:10 | 日記
 先日、3年に一度必ず受けなければならない人権問題研修に参加した、と書いた。
 人権問題研修というとかつては同和問題一色で、その名も同和研修といった。その後、男女平等問題や拉致問題等が加わり、人権問題研修と名前も変わっていった。
 今回は犯罪被害者支援に関する研修会。これまで参加した人権問題研修では、初めての課題だった。

 冒頭「都と区市町村における犯罪被害者等支援」について、人権部の担当課長から犯罪支援者等支援の意義、支援の歩み、支援計画に基づく都の取組、区市町村における支援、今後の課題等概略説明があった。
 続いて公益社団法人被害者支援都民センターの方から「犯罪被害者等の置かれた現状について」と題して、NHKのニュース番組で取り上げられた特集番組の録画を見た後、現状と必要な支援、東京都の総合相談窓口としての犯罪者支援都民センターの活動状況、基本的な対応と今後の課題についてお話があった。
 何より圧巻は、休憩後、犯罪被害者の声として最愛の1人息子さんを突然のトラック追突事故で亡くされた田中和枝さんの講演だった。
 「もう一度会いたい(遺族の手記)」という小冊子が配られ、その中に田中さんご夫妻の文章が掲載されていた。ご主人の文章に加え、奥様は「手」という詩を書いておられたが、講演の最後にはその詩をご自身で朗読され、講演を終わられた。

 2トントラックの運転手が車を止めることなく走行しながら車内のガムを取ろうとしてそのまま息子さんに追突したという。原付バイクに乗っていた仕事帰りの息子さんはいきなり跳ね飛ばされ、トラックの底部と道路の間に挟まれたまま40メートル引きづられた、というあまりに酷い事故。
 息子には全く過失がなかった、とはいえ、そうは思ってくれない方もいて、息子の名誉と人権を守るため、裁判等慣れない手続きを必死でこなしながらこれまでの日々を過ごしてきました、と掲げられた息子さんの写真の隣で、最初から最後まで毅然ととても良く通る声で(舞台女優のお仕事をされているという。さもありなんであった。)お話をされた。
 その講演中、会場ではあちこちで鼻をすする音が聞こえた。私も何度もハンカチで目を拭うことになった。

 行政に携わる者としてその相談窓口で何が出来るのか。
 それは決してその場だけの社交辞令の言葉でもなければ、良い対応やモノ言いをしようという気負いでもない。その断腸の思いを受け止め、寄り添い、ともに考えることである。
 ともすれば被害者の方たちに二次的被害を与えてしまう窓口職員としての立場の重さ、恐ろしさに一瞬たじろぐものがあった。

 支援センターの方から「自分の心がどう感じるか」、田中さんのお話はそのことについてご自身でよく考えながら聴いてください、という言葉が重く残った。

 信頼関係が築けていない相手からの安易な相槌、励ましの言葉は決して嬉しいもの、有難いものではない。もちろん、他の人と状況を比べられたり、その自責感を助長されたり、その人の道徳観念等の押しつけというのは全くもってノーサンキューだ。
 これは、一介のがん患者として日頃から感じていることでもある。逆に心底自分のことを思ってくれていると判っている相手-互いの信頼関係が築けている相手-からの短い励ましの言葉には素直に頷ける。

 30歳という若さで仕事もプライベートも順風満帆の中、フィアンセを遺し突然命を絶たれた田中さんのご子息・圭さんの無念を思うと、本当に胸が締め付けられそうになる。
 そのご冥福を心からお祈りしたい、と思う。

 今日も朝から夏の強い陽射しでクラクラするほどだった。まだ体が暑さに慣れていない所為かぐったり疲れる。
 先週、歯科検診をしたばかりなのに、昨夜食事中に奥歯を被せた金属がとれてしまった。ゾメタのこともあるので放っておけない。慌てて朝一番で先生に泣きつき、駆け込みで診て頂いた。かぶせたものがだんだん緩くなり、中の歯が少し溶けてきていて、隣の歯の裏側も虫歯になりかけているとのこと。とりあえず今日は応急処置のみ。来週から当分治療に通うことになりそうだ。
 折角の週末、イマイチ食べ物も美味しくなく、何ともとほほである。

コメント
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